新国立競技場を中心とする東京都内複数の場所に、8名+1組のアーティストが建物やオブジェを設置し、自由で新しい年のランドスケープを提案する試み「パビリオン・トウキョウ2021」が開催されました。
藤森照信、妹島和世、藤本壮介、平田晃久、石上純也、藤原徹平、会田誠、草間彌生、真鍋大度+Rhizomatiksといった著名なアーティストがそれぞれ、このプログラムのために設計した作品が様々な場所で無料で見ることができます。
7月のとある日曜、1日かけて新国立競技場近くの作品を徒歩で見て回ってきましたので、見てきた作品やルートなどをご紹介します。
見た作品とルートの説明。事前予約など
日曜丸一日を使って見てきた作品と、その順番は下記になります。
- 真鍋大度+Rhizomatiks <2020-2021>(ワタリウム美術館向かい側の空き地)
- 藤森照信 <茶室「五庵」>(ビクタースタジオ前)
- 会田誠 <東京城>(明治神宮外苑いちょう並木入口)
- 藤本壮介 <Cloud pavilion(雲のパビリオン)>(代々木公園パノラマ広場付近)
- 平田晃久 <Global Bowl>(国際連合大学前)
- 藤原徹平 <ストリート ガーデン シアター>(旧こどもの城前)
- 草間彌生 <オブリタレーションルーム>(渋谷区役所第二美田竹分庁舎)
パビリオン・トウキョウ 各作品マップ
7の「草間彌生 <オブリタレーションルーム>」は1枠20分ごと、10名限定の入れ替え制となっており、事前予約が必要。毎週月曜日12:00に翌週分の予約を開始しています。
2の藤森照信 <茶室「五庵」>の内部に入るには当日予約が必要です。鑑賞時間は11:00~19:00(土曜日は12:00~19:00)。1枠30分ごとの入れ替え制になっています。当日予約の受付場所は、「ワタリウム美術館1階カウンター」(10:20~17:00受付)になっています。
この日は30度を超える真夏日。茶室の当日予約受付開始時間に合わせて、まずはワタリウム美術館から向かいます。
ワタリウム美術館に着いたのは10:40頃。受付に事前予約をお願いし、12時からの回を予約。予約のチケットと、地図や作品説明が記載されているパンフレットを受取り、ここから作品巡りスタートです。
真鍋大度+Rhizomatiks <2020-2021>
最初の作品はワタリウム美術館の向かい側に設置された<2020-2021>です。小さな空き地の中で光を放つディスプレイの作品。2020年春の最初の緊急事態宣言から現在までに収集した様々なデータを使用して、AIが文字や映像に変換し続けます。
藤森照信 <茶室「五庵」>
ワタリウム美術館から徒歩10分以下。予約時間まで少し余裕があったので途中のミニストップでソフトクリームを食べて休憩を挟みます(外は灼熱なので休憩大事!)。
予約時間の10分前に着くようにしてくれとワタリウム美術館のスタッフに言われたので10分前に着くと、来場者情報の記入をする用紙を渡され、必要事項を記入します。
芝に覆われた外観の茶室。私には2Fが顔に見え、生き物のように見えます。時間になると、1Fの小さな円形の入り口から内部に。
私の枠は計8名。4名ずつに分かれ、順番に2Fの茶室に上がります。1Fには作品の製作風景や作者のインタビュー動画を見ることができます。2Fへはハシゴを使って上がるので、女性の方はスカートをはいていくのは控えたほうが良さそうです。2階への入り口もかなり小さくなっていますが、上がると4畳半の素敵な空間が待っています。
大きな窓からは新国立競技場を臨むことができます。風通しもよく、涼しくてリラックスできる空間でした。
会田誠 <東京城>
次に向かうのは明治神宮外苑いちょう並木入り口。ここで誤算。五輪期間中は通行止めになっている道路があるのを忘れていました。大回りしていちょう並木入り口まで向かうことに。私はこの順番で見てしまいましたが、ワタリウム美術館に行く前に東京城を見に行ってたらスムーズだと思います。
作品はダンボールとブルーシートでできた2つの城。廉価であるにもかかわらず堅牢性を備えた頼もしい2つの素材を使うことで、何があっても容易に挫けない人間のしなやかな強さを示しているそうです。
本作が設置されている石塁は、かつて江戸城を支えていた石垣を用いて神宮外苑造営の際に建設されたもの。いちょう並木の入り口に建てられているだけにまるで対となる門番のようにも見えます。
藤本壮介 <Cloud pavilion(雲のパビリオン)>
東京城を見た後、ランチ休憩を取り、表参道を通って代々木公園に向かいます。
原宿門から代々木公園に入り、しばらくすると見えてくるのがこの作品。暑くて辛かったですが、この作品には晴天がよく似合います。
作者にとって雲は憧れのような存在と言っており、国境を越えて浮かぶ存在である雲は、世界中の人々を包み込む大屋根のような存在で、この作品は多種多様な人々が集うための場所をコンセプトとして考案されています。
平田晃久 <Global Bowl>
また表参道を通り、青山通りを渋谷方面に向かう途中の国際連合大学前にあるのがこちらの作品です。
このお椀のような形のパビリオンは、通り抜けたり座ったりすることができます。私が行ったときも、子供がいっぱい中で遊んでいました。
木材を三次元カットして組み合わせる、日本の最新技術を生かした建築が、力強い物質感と工芸品のような緊張感があります。
藤原徹平 <ストリート ガーデン シアター>
国際連合大学のすぐ隣の旧こどもの城前。岡本太郎の<こどもの樹>に取り巻くようにつくられたのが<ストリート ガーデン シアター>です。
木組みと植物が複雑に絡み合った姿をしています。「植木梁」と名付けられた植木鉢を載せた梁は、構造体であり、植物の居場所をつくる小さな建築であり、人が都市で腰を休めるファニチャーでもあります。「植木梁」には、植木鉢が多数出演する他、野菜や雑草や花やハーブなど様々な植物が植えられています。
長時間歩き疲れたので、少し腰を休めてのんびりと青山通りを眺めていました。ちょうど日陰になっていて、風通りもよく心地よかったです。
草間彌生 <オブリタレーションルーム>
最後に訪れたのが渋谷区役所第二美竹分庁舎にある<オブリタレーションルーム>です。私は16時で予約。ちょうど到着したのは10分前で、受付にて丸いシールを受け取り、時間まで前室で待ちます。
床、壁、家具、すべてが真っ白に塗られた部屋に、鑑賞者が色とりどりの丸いシールを貼っていく参加型のインスタレーションです。会期を通して水玉で埋め尽くされ、次第に部屋が「消滅」していきます。
床、壁、家具、すべてが真っ白に塗られた部屋に、鑑賞者が色とりどりの丸いシールを貼っていく参加型のインスタレーションです。会期を通して水玉で埋め尽くされ、次第に部屋が「消滅」していきます。
中はけっこう広く、私が行ったときはまだ白い空間も残っています。機会があれば、また開催終了間際に行って、どのように部屋が「消滅」したのかを見届けに行きたいと思います。
新国立競技場から少し離れた作品
今回見れなかった作品に関しての情報も少しまとめておきます。それぞれ離れている場所にありますが,近くに行く機会があればぜひ見に行ってほしいくらい良い作品です。
妹島和世 <水明>
※見学には、浜離宮恩賜庭園への入園料が必要です。
入園方法の詳細・注意事項は、浜離宮恩賜庭園公式サイトをご覧ください。(当面の間入園するためには事前予約が必要となります。)
この作品を見るためにはじめて浜離宮恩賜庭園に行きましたが、かなり広くてこの庭園目当てに来ても十分楽しめます。
庭園内にある中島の御茶屋も必見です。
石上純也 <木陰雲>
※入場制限を行う場合があり、ご入場をお待ちいただく可能性がございます。 事前予約が必要となる場合もあります。
ここもパビリオン・トウキョウの作品のために初めて訪れました。建物自体もかなり雰囲気あります。
あいにくの雨でしたが、穴から落ちる水滴が綺麗でとても良かったです。個人的にはこの作品が一番印象的に残っています。
建物内でも展覧会をしているようでしたが、事前予約制だったため入らず。内部も気になるので、別の機会にまた訪れたいと思います。
藤本壮介Cloud pavilion(雲のパビリオン)
代々木公園で見ましたが、高輪ゲートウェイで同作品を見ることができます。隈研吾さんが手掛けた高輪ゲートウェイ駅構内の雰囲気に不思議とマッチしています。
パビリオントウキョウ2021 全作品を鑑賞した感想
10時過ぎに外苑前駅で降りてから、渋谷区役所第二美竹分庁舎を出たのが16時半ごろ。歩行距離は約12キロ。結構歩きました。でも距離よりも、暑さがとにかく辛かったです。
まとめて7作品見ることができましたが、1作品ずつの距離があるので、この周辺に出てくる機会が多い方は無理してまとめてみなくてもいいかと思います。やはり夏のアート散歩はきついですね。
また離れている3作品はその展示されている場所自体もすごく良いので単体で見に行く価値は十分にあると思いました。
パビリオントウキョウ2021の作品自体は、無料で見ることができ、体験できるものもあり、パビリオンができることで今までとは違った景色を見ることができたので、とてもよかったです。これからパビリオントウキョウを見にいこうとしている方に、この記事が参考になれば幸いです。
またパビリオントウキョウと同時期に開催中の「水の波紋展2021」の作品を合わせて見るのもおすすめです。水の波紋展については別記事にまとめておりますのでそちらも参考にしてみてください。
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