国立西洋美術館ではじめて現代美術を大々的にに展示する展覧会「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」が開催中です。
展覧会では日本で実験的な制作活動をしている、さまざまな世代の20を超えるアーティストたちの作品を展示。
いままで西洋美術だけを所蔵・保存してきた同館でしたが、そのコレクションに触発され、未来の芸術をつくっていける刺激の場となっていたかという問いに、作品を通じて答えるという試みを行っています。
本記事ではアクセスやチケットなどといった展覧会の概要、混雑状況や所要時間、そして個人的な感想をまとめております。
これから本展に行こうと検討している方の参考になれば幸いです。
展覧会の概要
タイトル | ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ |
会期 | 2024年3月12日(火)~5月12日(日) |
開館時間 | 9:30〜17:30 ※金・土曜日は9:30~20:00 ※入館は閉館の30分前まで |
休館日 | 月曜日、5月7日(火) ※3月25日(月)、4月29日(月・祝) 、4月30日(火)、5月6日(月・休)は開館 |
会場 | 国立西洋美術館 企画展示室 |
住所 | 〒110-0007 東京都台東区上野公園7番7号 |
チケットについて
チケットの価格は以下の通りです。
- 一般:2,000円
- 大学生:1,300円
- 高校生:1,000円
- 中学生以下:無料
観覧当日に限り、本展のチケットで常設展も見ることができます。
常設展はかなりのボリュームがあるので、ゆっくり回ればこの館内で1日楽しめます。
写真撮影について
一部作品を除いて写真撮影が可能です。
撮影禁止の作品には撮影不可マークが付いています。
フラッシュ撮影や三脚を使った撮影、動画撮影は禁止されています。
混雑状況と所要時間
私は祝日の午前中に行きました。
会場内はそれなりに人が入っていますがいつもの企画展よりは空いている印象。待つことも無く、鑑賞しにくいというほど混んではいませんでした。
入場してから出るまでの所要時間はだいたい1時間半くらい。結構早めに回っていたと思うのです2時間くらいはかかるのではないかと思います。
展覧会の内容
展覧会は0〜7章で構成されています。
音声ガイドの用意はありませんが、章のはじめと、その章で紹介されるアーティストごとに解説がしっかりついているのでとてもわかりやすかったです。
それではここから展示されている作品をご紹介をしていきます。
0章「アーティスのために建った美術館」
一番最初にの章では松方コレクションと西洋美術館の歴史を紹介しています。
また、国立西洋美術館の建築に内在するモデュロール(寸法体系)を基準として制作された杉戸洋の作品が、西洋美術館を設計したコルビジエの描いたモデュロールの絵と並べて展示されています。
第1章「ここはいかなる記憶の磁場となってきたか?」
美術館はさまざまな時代や地域に生きた・生きるアーティストの記憶群が同居し、それぞれの力学を交差させ合う磁場ととらえる章です。
ここでは中林忠良、内藤礼、松浦寿夫の作品が展示されています。
中林忠良
内藤礼
松浦寿夫
第2章「日本に『西洋美術館』があることをどう考えるか?」
西洋美術館のコレクションする作品はあくまで西洋美術の文脈において収蔵されていることに着目した章。
この章では小沢剛と小田原のどかの作品が展示されています。
小沢剛
小田原のどか
第3章「この美術館の可視/不可視のフレームはなにか?」
美術館の枠組みそのものに着目した3章。ここでは布施琳太郎と田中功起の作品が展示されています。
布施琳太郎
田中功起
第4章「ここは多種の生/性の場となりうるか?」
白人男性中心主義な既存の西洋美術史の言説体系に基づくコレクションが形成されてきた同館を、多様性の観点から見つめた章。
鷹野隆大、ミヤギフトシ、長島有里枝、飯山由貴の作品が展示されています。
鷹野隆大
ミヤギフトシ
長島有里枝
飯山由貴
「反-幕間劇」
4章と5章の間には弓指寛治の膨大な数の絵画により構築された「上野公園、この矛盾に充ちた場所:上野から山谷へ/山谷から上野へ」と題された展示があります。
展示は階段から始まっています。
かなりの作品数に驚きますが、ひとりひとりのストーリーが伺える内容でとても面白いです。
個人的にはここの展示エリアが今回一番印象に残りました。
第5章「ここは作品たちが生きる場か?」
作品を半永久的に未来へと残していくことを望まれた機関である美術館。5章ではその永続性と現状について問いています。
ここでは竹村京とエレナ・トゥタッチコワの作品が展示されています。
竹村京
エレナ・トゥタッチコワ
第6章「あなたたちはなぜ、過去の記憶を生き直そうとするのか?」
過去の芸術作品の記憶はくりかえし読み換えられ、時空を超えて変容しつつ残存していきます。6章では自らの身を投じて変容させる行為を試みているアーティストたちを紹介。
遠藤麻衣、パープルーム、ユアサエボシの作品が展示されています。
遠藤麻衣
パープルーム
ユアサエボシ
第7章「未知なる布置をもとめて」
最後の7章では今回の展覧会のタイトル「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋がとなりえてきたか?」という問いに対して、現在の画家たちが西洋美術館収蔵作品に匹敵しうるのかを検証しています。
杉戸洋、梅津庸一、坂本夏子、辰野登恵子の作品を、モネ、ポール・シニャック、ジャクソン・ポロックなどの絵画と並べています。
坂本夏子、梅津庸一
杉戸洋
辰野登恵子
坂本夏子
梅津庸一
会場を出た場所にグッズも販売
会場を出ると、展覧会のオリジナルグッズや出展作家の書籍やグッズが並んでいます。
展覧会のオリジナルグッズは図録にクリアファイル、トートバックと少なめでしたが、シンプルで意外とよかったですね。
展覧会の感想
「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋がとなりえてきたか?」という問いに対して検証するように作品を紹介する形式の展示方法。
20を超える日本に暮らすさまざまな世代の多様性あるアーティストたちが参加。解説量が多く、さまざまな角度からの検証を行なっているので美術全般に興味がある私にはとても楽しめる内容でした。
展示がごちゃごちゃしていて苦手な方もいるかもしれませんが、私は楽しめました。
ということで、「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」展の超個人的なオススメ度は…。
★★★☆☆
あくまで私個人の感想ですが、参考にしていただければ幸いです。
これからも少しずつアートやファッション関係の記事を書いています。
Instagramで記事の告知を行なっていますので、よかったらフォローお願いします。
コメント