2025年3月に、50年の歴史に幕を閉じ、一度休館する神奈川県民ホール。
休館前最後の現代美術展として、2024年12月から「眠れよい子よ よい子の眠る/ところ」が開催中です。
2022年は「ドリーム/ランド」、2023年は「味/処」という「場」をコンセプトにした美術展を開催してきました。
本展覧会では「場」というコンセプトに加え、休館を前に「よい子」と「眠る」というキーワードを追加。
5名のキュレーターによって選ばれた、各地域から気鋭の作家5名の作品を紹介しています。
個人的に大好きな神奈川県民ホールでの現代美術展も、一旦今回が最後。
今回の展覧会も神奈川県民ホールギャラリーの空間が見事にマッチした、素晴らしい内容でした。
本記事では「眠れよい子よ よい子の眠る/ところ」について、アクセスやチケットなどの概要、展覧会の様子を、所要時間や混雑状況、そして個人的な感想をまとめています。
神奈川県民ホールギャラリーの展覧会にまだ行ったことがない方がこの記事をきっかけにして足を運んでいただけたらうれしいです。
展覧会の概要
会期 | 2024年12月15日(日) 〜2025年1月25日(土) |
休場日 | 木曜日 |
開館時間 | 11:00〜18:00 ※入場は閉場30分前まで |
入場料 | 一般:900円 学生・65歳以上:500円 高校生以下無料 ※現金決済のみ |
会場 | 神奈川県民ホールギャラリー |
住所 | 〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町3-1 |
神奈川県民ホールの最寄り駅はみなとみらい線の日本大通り駅。
山下公園や中華街といった横浜の観光名所とも近く、中華はもちろん、洋食やカフェなどのおいしいお店も周辺に多数ある場所です。
歴史を感じる建物も多く、横浜散策のついでに訪れるのもおすすめです。
展覧会の様子
本展覧会では5名のキュレーターによって選ばれた、5名の作家を紹介しています。
現代社会における人間のありかたとして「よい子」、「眠る」という概念を、現代美術とパフォーマンスの表現として展開しています。
それではここから実際の展覧会の様子を写真中心にご紹介していきます。
岩谷雪子
最初に登場する作家は岩谷雪子さん。
紹介するキュレーターは神奈川芸術文化財団の中野仁詞さん。
植物をこの地球上で我々と共最も重要な存在の一つと捉えている岩谷さん。
採集した植物で立体やインスタレーションなどの作品を制作しています。
今回の展覧会では、神奈川県民ホール周辺で採集した植物を、使われなくなった施設の物と共に作品として再構築させています。
ギャラリー入り口にもよくみると作品が展示されています。
階段で地下一階に降りる途中にも作品があります。こちらはモールス信号と同じように種子が並べられています。
間接照明の位置にも作品が。
地下一階のロッカーも展示スペースにしています。
市川友章
怪人や動物をモチーフにした油彩画、木彫作品を制作する市川友章さん。
紹介するキュレーターは水戸芸術館現代芸術センター学芸員の畑井恵さん。
本展では登場人物が幼少期から大人になるまでの年代順に怪人シリーズを展示しています。
学校で授業を受け、遠足に行き、家族写真を撮るなど怪人たちの日常生活を描き出しています。
中瀬由央
音とそれをとりまく事象をテーマに制作する中瀬由央さん。
紹介するキュレーターは芦屋市立美術博物館学芸員の大槻晃実さん。
リーフレットが置かれており、本展の作品についての解説が記載されております。
暗闇の薮を動く映像に、自身は映らず身に付けた機材のLEDの光跡が残る写真作品。
蝙蝠の超音波発声や、電波塔のような役割を担った街路樹から発信される超音波などの人間には認識できない隠れた音の探索を行うよう作品が展示されています。
ひがれお
沖縄県出身のひがれおさんは、自身の家族史の収集や子供時代の記憶の再現を糸口に、沖縄のイメージの再構築を行っています。
今回の展覧会では「眠るよい子」の対義語として「夜更かしする悪い子」がモチーフ。
米軍基地のハロウィーン、フェンス越しの友人たち、祖父の見た戦争や幽霊など、記憶から形作られた物語が輪郭を持ち、闇の中で交差します。
紹介するキュレーターは大阪中之島美術館の主任学芸員、中村史子さん。
多和田有希
幻術療法や民間信仰のリサーチをもとに、人間の精神的治癒のシステムをテーマに、ユニークは手法を用いて制作をする多和田有香さん。
紹介するキュレーターは慶野結香さん。
今回の展覧会では眠りや夢、夜を通じて、人々が共有する体験と個人的な記憶の間に生ずる関係性を探ります。
所要時間、混雑状況など
私は年始最初の日曜日の午前中に行きました。
会場には私を含めて数人しかおらず、かなりゆっくり作品を鑑賞することができました。
展示作品数はそこまで多くはありませんが、じっくり見たので所要時間は大体1時間ほどです。
尚、会場は写真・動画撮影が可能となっております。
作品はもちろん、3月の休館前に神奈川県民ホールの写真もいっぱい撮っておきましょう。
展覧会の感想
紹介されている5名の作家さんが「よい子」と「眠る」をテーマに作品を展開。
それぞれ個性的なアプローチで、どれも興味深くとても楽しめる展覧会でした。
50年もの歴史ある神奈川県民ホールギャラリーの空間もうまく活用されており、一旦休館してしまい、しばらくここで展覧会を楽しめないのかと思うとかなり寂しい気持ちにはなります。
一方でまだ神奈川県民ホールギャラリーの展覧会を見たことがないというかたは、ぜひ一度足を運んでみてほしいです。
ということで、「眠れよい子よ よい子の眠る/ところ」の超個人的なオススメ度は…。
★★★★☆
あくまで私個人の感想ですが、参考にしていただければ幸いです。
これからも少しずつアートやファッション関係の記事を書いています。
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