神奈川・箱根にあるポーラ美術館でアメリカの現代美術を代表するアーティスト、ロニ・ホーンの個展「ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?」が開催中です。
国内の美術館でロニ・ホーンの個展を行うのは初めてで、ポーラ美術館の大型企画展としても同時代の作家を単独で取り上げるのは初めての機会。
SNSなどで本展の投稿などを見て、ガラスの彫刻作品などがとてもキレイだったので実物が見たいと思い、箱根旅行を計画して早速行ってきました。
箱根の国立公園にとけこむように立つポーラ美術館にとても合ったすばらしい内容でした。屋外にある森の遊歩道に設置された作品もとても良かったです。
本記事は「ロニ・ホーン展」に実際行ってきてみて、どんな作品が展示されているか、所要時間や混雑状況、そして個人的な感想をまとめたものになります。
「ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?」展とは
![神奈川・箱根のポーラ美術館で開催中「ロニ・ホーン展」に行った感想。混雑状況や所要時間など](https://cyundaka.com/wp-content/uploads/2022/01/b1163cfa91dc30252cdfd646fa20e12c-800x600.jpg)
現在ニューヨーク在住のロニ・ホーン(1955年~)は世界有数の美術館で個展を開催しており、現代における重要な作家ひとりとして評価されています。
本展では、1980年代から今日まで約40年間のホーンの活動を紹介。
近年の代表作である「ガラス彫刻」をはじめ、アイスランドの温泉で女性の表情の微妙な変化を6週間にわたって記録した写真作品や、ホーン自身の思考や記憶と強く結びついたドローイング作品などを展示し、「連続と差異」という彼女の一貫した問題意識に迫っています。
展覧会の概要
展覧会名 | ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる? Roni Horn: When You See Your Reflection in Water, Do You Recognize the Water in You? |
開催期間 | 2021年9月18日(土) ~ 2022年3月30日(水) ※会期中無休 |
開館時間 | 午前9時~午後5時 ※入館は午後4時30分まで |
会場 | ポーラ美術館 展示室1, 2 遊歩道 |
住所 | 〒250-0631 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原 小塚山1285 |
ポーラ美術館前にはバス停があり、バスでのアクセスもしやすくなっています。
車で行く場合は隣接する大きな駐車場に止められますが有料です。(1日¥500)
入館料
大人 | 1800円 |
シニア割引 (65歳以上) | 1600円 |
大学・高校生 | 1300円 |
中学生以下 | 無料 |
障害者手帳をお持ちのご本人及び付添者 ※1名まで | 1000円 |
ポーラ美術館では事前の日時指定予約は不要となっています。ただし15名以上の団体もしくは貸し切りバスでの来館時は事前に予約が必要になります。
また、混雑状況に応じて展示室内の人数を制限しており、所定の制限人数に達した場合は展示室入口で入室を待つ場合があるそうです。
音声ガイドについて
音声ガイドは現在新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、利用を見合わせているそうです。
ただ、公式サイトから作品解説が見れるので(展示スペースに作品解説へ飛ぶQRコードあり)、そちらを活用しました。
会場内の混雑状況、展示内容について
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チケットを購入して、エレベーターでB1Fに降り、展示室1に入ります。
ちなみにロッカーはチケットカウンターのある1Fに100円返却式のものがあります。
トイレは各階に設置されています。
私は日曜に9時過ぎにいきました。
チケットカウンターは並びがなく、展示室内も人はまばらでとても作品が見やすかったです。
ちなみにほとんどの作品は撮影可でした。
それでは順番に作品をご紹介していきます。
企画室に入ると<死せるフクロウ>
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<無限の瞬き>などの写真の作品を見ることができます。
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写真の作品が続くのかなと思っていると、すぐに見たかった<ガラス彫刻>シリーズが姿を現します。
<ガラス彫刻>シリーズ
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窓から自然をとりこむ開放的な展示室に8つのガラス彫刻が設置されています。
水を湛えた器のように見えますが、実は数百キロものガラスの塊だそうです。
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周囲の風景や光を反射し、静と動、穏やかで荒々しい、透明感と重量感といった相反する性質を内包しています。
8つの作品それぞれにはユニークなタイトルが付けられているのも注目です。
<エミリのブーケ>
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壁に立てかけられた6本の角柱からなるこの作品は、アメリカを代表する詩人「エミリ・ディキンスン」が書いた手紙の言葉から選んだ一節を引いた作品。
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しかし、角柱に書かれた言葉は側面から見ると言語の体をなさず、意味を失い純粋な形として解体されています。
同じ空間には<ゴールド・フィールド>という大きな金箔のような作品も展示されています。
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金の持つ文化的なコンテクストを取り払い、純粋な物質へと還元しながらも、波立つ水面や山脈などの風景も想起させます。
<トゥー・プレイス>
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1975年にアイスランドを訪れてから、定期的に滞在して制作を行うようになったホーン氏。
現在も刊行を続けているシリーズ<トゥー・プレイス>は、彼女とアイスランドとの関係の集大成とも言える作品群になっています。
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アイスランドの灯台の中に2ヵ月も滞在して制作された水彩ドローイング集「ブラフ・ライフ」や、アイスランドで撮影した風景や動物、人々の写真などでアイスランドでの旅の軌跡をたどることができます。
<円周率>
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北アイスランドで7年にわたって撮影した45点の写真からなる作品。
野生の鴨の巣跡から手作業で羽毛を集めることを生業とするビョルソン夫妻の生活風景が展示室に円環を描くように展示されています。
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壁面の少し高い位置に各作品が展示されていることで没入感ももたらされ、気づくと展示室内でぐるっと円を描くように回り、繰り返される生活や命の循環を見出すことができます。
<水と言う>
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2012年5月、ルイジアナ近代美術館(フムレベック、デンマーク)でのパフォーマンスヴィデオ作品です。
「水」についての思考をめぐる散文詩で、ポップ・ソングの歌詞や事件のニュースを挿入しながら、人を闇に引き寄せる水の恐ろしさ、様々な色や形を映し出す水の魅惑、その不可知性について、作家の思索は自在にたゆたい連綿と続いてゆきます
<静かな水(テムズ川、例として)>
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ロンドンの中心部を流れるテムズ川の水面を写した15点。表情を変える水面に、よく見ると細かな数字が配置され、「脚注」のように添えられた文章と結びついています。
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水の深みや波立つ水面が呼び起こすさまざまな感情や問いかけ、そこから連想される不穏な物語、ディキンスンらの詩文からの文学的引用などを織り交ぜながら、ホーンの言葉が散文のように綴られています。
まさにこの展覧会のタイトル「水に映るあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?」と私たちに問いかけているようです。
<大型ドローイング作品>
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B2Fの展示室2に移動して、最初に見ることができるのが大きいものでは高さ約3メートルにもおよぶ大型のドローイング作品群です。
ドローイングはホーン氏にとってもっとも身近な表現手段であり、一定して継続されている唯一の形式。
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近づいて見てみると、手書きの記号や印、紙の切れ目があり、それらが一度ばらばらに切断され、繊細な手作業によって再び組み合わされたものであることが分かります。
<ハック・ウィット><犬のコーラス>
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水彩で描かれた慣用句や文学作品からの引用文が細かく裁断され、別の語句と組み合わさり、あざやかな色彩をともなう視覚的要素へと変化するコラージュ作品。
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ホーン氏はただ画面を分断し、再びつなぎ合わせるだけでなく、シュルレアリスムの作家たちのような言葉遊びの要素を加えています。
<あなたは天気 パート2>
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100枚ものポートレートが展示室の四方を取り囲む作品。
アイスランドの温泉で6週間にわたって女性の表情の微妙な変化を記録し続けたものです。
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一見どれも同じようですが、一つとして同じ表情はなく、刻一刻と様相を変える空のようです。まさにタイトルの「あなたは天気」の意味がありのまま実感できます。
森の遊歩道に設置されたガラス彫刻作品<鳥葬>
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展示室内の作品を見た後は、美術館屋外にある森の遊歩道に新たに設置されたガラス彫刻作品<鳥葬>を見に行きます。
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作品は遊歩道近くではなく、森の中に分け入った場所に設置されています。水を湛えた巨大な器のようにみえるこの作品は周囲の自然を映し出すと同時に、どこまでも透き通った内部へと誘い込みます。
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<鳥葬>というタイトルは、死者を自然の中に葬るチベットの風習から採られています。作品も自然の中で風化し、やがて朽ちていくという自然界の循環の一部であってほしいという作家の思いが込められているそうです。
展覧会オリジナルグッズが並ぶミュージアムショップも注目
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本展限定の展覧会オリジナル・グッズをB1Fのミュージアムショップで購入が可能です。
なんとBEAMS DESIGNがプロデュースしており、ロニ・ホーンの作品や世界観をとり入れたオリジナルTシャツ、トートバッグ、マグカップなどの限定グッズを多数並んでいました。
ポーラ美術館ミュージアムショップ以外に、美術館公式オンラインショップでも購入できるそうなので気になる方はぜひチェックしてみてください。
「ロニ・ホーン展」の所要時間と感想
美術館内の作品鑑賞にかかった所要時間はだいたい45分くらい。森の遊歩道を入れたら1時間くらいだと思います。
はじめにも言ったように、箱根の自然にマッチした作品はとても見ごたえありました。
私が行った時間帯は人も少なく、ゆっくりと作品見れたので満足度は高かったです。
森の遊歩道での散歩もとても楽しかったです。
ということで、「ロニ・ホーン展」の超個人的なオススメ度は…。
★★★★☆
あくまで私個人の感想ですが、参考にしていただければ幸いです。
箱根は彫刻の森美術館にはよく行っていたのですが、作品数が多いですが、人も多く、わいわいと楽しい雰囲気。
一方、ポーラ美術館は落ち着いてゆっくり自然とアートを楽しむことができるので、個人的にはこっちのほうが好きかもしれません。
窓に囲われた開放的なカフェで一休憩しましたが、コーヒーも美味しくて疲れるというよりはリラックスできました。
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ロニ・ホーン展が目的でなくても、ポーラ美術館はとてもおすすめできるスポットです。
これからも少しずつアートやファッション関係の記事を書いています。
Instagramで記事の告知を行なっていますので、よかったらフォローお願いします。
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