千葉県佐倉市にある「DIC川村記念美術館」。SNSなどで特徴的な丸みを帯びた外観の建物の写真をたびたび見かけており、前々から気になっていた美術館でした。でも千葉県佐倉市という場所が遠そうだったのでなかなか行けずじまいでした。
しかし、この10月から「マン・レイのオブジェ 日々是好物|いとしきものたち」という面白そうな企画展が始まったので、ついに10月の3連休を利用して行ってみることにしました。
実際に行ってみたら、東京駅から約1時間と思ったよりアクセスも良く、美術館で作品鑑賞するだけでなく、庭園やレストランなども楽しめ、丸一日満喫できる素晴らしい場所でした。
本記事では「DIC川村記念美術館」へのアクセス、チケット、建築について、展示されている作品について、レストランでのランチ、所要時間や混雑状況、そして私の個人的な感想をまとめたものになります。
私同様に「DIC川村記念美術館」が気になっていたけど、まだ行けてない方などの参考になればうれしいです。
DIC川村記念美術館とは

印刷インキの世界トップメーカーであるDIC株式会社が、その関連会社とともに収集した美術品を公開するために、約9万坪の広大なDICの総合研究所がある敷地内に建てられ、1990年に開館しました。
創業者である故・川村喜十郎氏以来、3代にわたって集められたコレクションの数は1000点以上。
17世紀のレンブラントによる肖像画から、モネやルノワールら印象派の絵画、ピカソ、シャガールなどの西洋近代美術、そして20世紀後半のアメリカ美術まで幅広く所蔵されています。
DIC川村記念美術館の概要
- 住所:〒285-8505 千葉県佐倉市坂戸631
- 開館時間:9:30〜17:00※入館は16:30まで
- 休館日:月曜日(※祝日の場合は開館し翌平日に休館)、年末年始、メンテナンス期間
アクセスについて
DIC川村記念美術館に行く際に一番気になったのがアクセスでした。
しかし、調べてみると東京駅から約60分で直行できる高速バスが運行していたり、佐倉駅から無料送迎バスが出ていたりと思っていたより都内からはアクセスしやすかったです。
それぞれのアクセスについて詳細を下記にまとめています。
東京駅から高速バス
東京駅八重洲北口から徒歩5分の場所にある「京成バス3番のりば」バス停から1日1本DIC川村記念美術館行きのバスが出ています。
9:55 東京駅発 → 11:02 DIC川村記念美術館着
料金は片道1360円。料金は後払いでICカード決済でも現金でも可能です。
ちなみに美術館から東京駅への高速バスも1日1本運行しています。
15:29 DIC川村記念美術館 → 16:42 東京駅着
行きも帰りも事前予約不要。料金も同じです。
京成佐倉駅・JR佐倉駅から無料送迎バス
電車で京成佐倉駅、またはJR佐倉駅まで行き、そこから無料の送迎バスで行くという方法もあります。
京成佐倉駅は京成上野駅から約60分+送迎バスで約30分。
JR佐倉駅へは東京駅から約60分+送迎バスで約20分。
無料の送迎バスは8:50〜15:50の間にだいたい1時間に2本くらい出ています。
帰り美術館発の送迎バスも10:50〜17:15の間に同じく1時間に2本くらいのペースで出ています。
車で
DIC川村記念美術館には収納台数300台の無料駐車場もあります。
車でのアクセスは東京・箱崎JCTより約50分。
東関東自動車道佐倉I Cより約10分。
バイクや自転車用の駐輪コーナも用意されています。
いずれも詳しくはDIC川村記念美術館のサイトでご確認ください。
ちなみに私は初めて訪れるのでどのくらい滞在するか読めなかったので、電車で京成佐倉駅まで行き、そこから無料送迎バスを利用しました。
京成佐倉駅の南口を出て、右手にあるバス乗り場から9:50発のバスに乗りました。

バスの側面にはアンディー・ウォーホルの花がペイントされていました。

バスに揺られること約30分。DIC川村記念美術館のバスロータリーに到着。
バスを降りてすぐの場所にインフォメーションがあるのでそこでチケットを購入します。
チケットについて

庭園エリアに入る「入園料」と美術館で展覧会を見るための「入館料」に分かれています。
「入園料」はなんと無料。ギフトショップやレストランも入館チケット無しで利用できますので、美術館の展示が目当てではなく庭園でゆっくりと過ごしたり、美味しいランチを食べに訪れるのも良さそうです。
一方「入館料」は開催中の企画展によって異なります。
ちなみに2022年10月8日〜2023年1月15日の間は下記料金になります。
- 一般:1,500円
- 学生・65歳以上:1,300円
- 小中学生・高校生:600円
この夏までは感染症のため、来場前に予約が必要だったようですが、今は事前予約不要です。
ただし館内が混雑する場合は一時的に入場制限をかける場合があるようです。
美術館について
チケットを購入して早速美術館に向かいます。
佐藤忠良さんの彫刻作品<緑>を横切って、施設の中に進みます。

途中には庭園の眺めて休憩できる場所も。

林を進むと大きな池と噴水が見えてきます。奥にある作品はジョエル・シャピロの<無題>。

白鳥やガチョウも見えて、庭園でゆっくりしたい気持ちを抑えて美術館へ向かいます。

この特徴的な2つの円筒に三角屋根の建物が美術館です。

美術館を挟むように清水九兵衛の<朱甲面>と

フランク・ステラの<リュネヴィル>が展示されています。
美術館は2階建て。エントランスホールは吹き抜けになっていて、入った瞬間に天井照明に目を奪われます。

ちなみにホールまでは撮影可能。
ホールも中央にある彫刻作品は撮影禁止です。
受付でチケットを見せていざ入館。

ステンドグラスからの差し込む光も綺麗ですね。

良く見ると、天井照明やステンドグラス、そして床の装飾など2つの円がモチーフになっていることに気付きます。

この美術館を設計したのは日本を代表するモダニズムの建築家「海老原一郎」。
海老原一郎はDIC株式会社の2代目社長であり、初代館長となった川村勝己と同級生でした。
この重なる2つの円には「作家と鑑賞者の二つの精神の出会い」そして「川村勝己と海老原一郎の友情」という意味が込められているそうです。
1階にはロッカー(100円返却式)、トイレがあります。

トイレはここだけじゃなく1階、2階全部で3、4箇所くらいありました。
ピクトグラムも可愛いですよね。

大きさや意匠の異なる11の展示室があり、コレクションしていた作品のサイズや形状、周りに醸し出す雰囲気まで考慮して作られているそうです。
モネやシャガール、ピカソやルノワールといった作品が展示されているヨーロッパ近代絵画の部屋。
小さな空間にレンブラントの肖像画が1点だけ掛けられた部屋、細長い通路のような展示室は抽象美術の作品が並ぶ部屋を通ると企画展の展示室にたどり着きます。
私が訪れた時は新収蔵品を迎えたジョセフ・コーネルの企画展が開かれていました。
ちなみにこの展示室からは茶室に入ることができます。茶室についてはあとで取り上げるので一旦展示室に戻ります。
次の展示室に向かう途中に渡り廊下があります。
大きな窓あり、その前にはソファが置かれているので外の風景を眺めてこちらで休憩もとれます。
渡り廊下の先には照度を抑えた小ぶりの展示室があり、シュルレアリスムの作品など第二次世界大戦前後のヨーロッパ美術の作品が展示されています。
その奥の小さな展示室にはブラッサイの作品が展示されていました。
反対側には暗くて細い通路が続いており、その先にはマーク・ロスコの作品が展示されている「ロスコ・ルーム」があります。
この展示室はマーク・ロスコの連作<シーグラム壁画>7点を展示する部屋として2008年に増築。
壁面に1点ずつ絵を掛けられるよう変形七角形の部屋となっています。
繊細な絵肌を引き立てるため壁には珪藻土、床には黒く焼いたナラ材を用いて、光の反射を抑え
巨大な連作に囲まれ、とても素晴らしい空間。
これを見るだけに来てもいいと思える部屋でした。
2階に上がると大きな窓のある展示室はトゥオンブリー・ルーム。その名の通りサイ・トゥオンブリーの作品を展示するため2016年に開設された展示室なのですが、私が行った時には、ジュールズ・オリツキーの<高み>という巨大な絵画が展示されていました。
その先には抽象表現以降のアメリカ美術の大型作品を展示するために設計された広い展示室があり、エルズワース・ケリー、フランク・ステラやアンディー・ウォーホルなどの作品が展示されていました。
この展示室を抜けると開催中の企画展の入り口となっています。
私の行った時は「マン・レイのオブジェ 日々是好物|いとしきものたち」という展覧会が開催しておりました。
マン・レイ作品のなかでもオブジェに注目した展覧会ですが、ユーモアな作品が多数見られ、時系列にマン・レイの活動を追っていてとても面白かったです。
無料の音声ガイド
DIC川村記念美術館の常設展作品のキャプションにはほとんど解説はついておりません。
もう少し詳しく作品について知りたい方には、主要作品37点の解説に加え、庭園や施設についての紹介が聞ける無料の音声ガイドが聞けるアプリがあります。
館内で使用する場合はイヤホン・ヘッドホンが必須です。
現地はスマートフォンの電波があまり良くなかったので、もし利用される方は事前にダウンロードしておくことをおすすめします。
無料で参加できるガイドツアー
音声ガイドの他に、毎日14時から無料のガイドツアーも開催されています。
定員は先着15名まで。15分前くらいに申し込みましたが私が行った日は10人くらいの参加でした。
参加を希望する場合は館内受付に申し込み、シールを見えるところに貼って定刻にエントランスホールで集合します。
イヤホン機器を受け取り、ガイドスタッフの解説を聞きながら館内を巡っていきます。
所要時間は45分なのでけっこうサクサク進むため、解説を聞いた後にもう一度じっくり作品を見るのがいいかもしれません。
常設展示作品だけでなく、企画展の作品も解説してくれるのでおすすめです。
展示室内にある茶席で休憩

先ほどちょっと紹介しましたが、1階奥の企画展示室から茶室に入ることができます。
茶室といっても和室で正座してというものではなく、テーブルと椅子が用意されており、外の景色を見ながらお茶と和菓子が楽しめます。

抹茶と上生菓子のセットで800円。生菓子は注文ごとに違うっぽいですね。

こちらは企画展マン・レイのオブジェが開催中の期間限定のセット。
マン・レイの作品をモチーフに金沢の老舗「和菓子 村上」が創作したオリジナル和菓子を、棒ほうじ茶とのセットになっています。

この茶室は美術館の奥にあるということで本当に静かな場所で、窓の外の庭園の景色を見ながら美味しいお菓子を味わう…。とても贅沢な時間でした。
ミュージアムショップ
1階のホールにはミュージアムショップが併設されています。
美術館のコレクションをモチーフにしたオリジナルグッズや企画展限定グッズなどさまざまなグッズが販売されています。
庭園について

美術館を出て庭園を散策します。
美術館前の池を中心に、林、芝生の広場、テラス、小川とかなり広くて自然も豊か。
いろいろなところにベンチが設けられているもの◎。

植えられている植物もツツジ、モミジ、サクラ、アジサイにハスやスイレンなど訪れる四季によって楽しめるものばかりです。
奥の方のある芝生の広場にはヘンリー・ムーアの<ブロンズの形態>という彫刻作品があります。

芝生の上でレジャーシートを敷いてリラックスしている人もチラホラ。

広場の正面にはトイレや飲み物の自動販売機が置かれているテラスがあります。

芝生広場を眺めながら自販機で買ったコーヒーを飲んでちょっと休憩。
コーヒーは1杯100円でした。

休憩を終えてさらに奥に進むとオオガハスやスイレンが群生するエリアに。

ぐるっと回っていると川辺に白鳥が羽を休めていました。

すごく近くに行っても逃げなくてびっくり。
とにかく広く、自然がいっぱい。景色もところどころ変わるので一周ぐるっと歩くだけでもとても楽しいです。
しかも庭園だけなら入園料は無料。
もし近所に住んでいたら定期的に通って、四季の移ろいを楽しみたいものです。
レストラン「ベルヴェデーレ」でランチ

せっかくなので施設内にあるレストラン「ベルヴェデーレ」でランチをとることにしました。
12時前に行ったらすでに何組か待っており、40〜50分待ち。
もうちょっと遅くに行っていたら諦めていたかも…。
受付でQRコードの印字された整理券を受け取り、スマートフォンで読み取り、呼ばれるのを待ちます。
QRコードで読み取ったサイトからは何組待っているかが確認でき、メールアドレスを登録すると順番が来たらメールで通知してくれます。
庭園をぶらぶらしていると通知が届いたのでレストランに戻ると席に案内されます。
少しずつたくさんの料理が味わえるフルコースメニューのランチコース(3,600円)を注文。
前菜、スープ、パスタ料理、メイン、デザートに食後の飲み物付き。

庭園を見ながら、美味しい料理を堪能できました。
ギフトショップ
レストランにはギフトショップが隣接されています。
こちらも美術館のチケットなしで利用でき、インテリア雑貨やおもちゃ、あとは国内外のお菓子やジャムにアイス、ワインなどの飲み物を販売しており、またミュージアムショップとは違ったラインナップで見ているだけでも楽しかったです。
ここでアイスなどを買って、庭園で食べるのも良さそうでした。
帰りも無料の送迎バスで京成佐倉駅から
美術館→庭園→レストランでランチ→美術館でガイドツアー→茶室で休憩と過ごしていると東京駅へ直通の高速バスの時間を逃しました。
バスロータリーにはベンチがたくさん置かれています。屋根もついているので雨の日も安心。バスの時間まで座って待つことができます。
正面を見るとここにも屋外作品がありました。

この作品は飯田善國<働くコスモス>。
少し離れた場所にはラウンジもあり、こちらも自由に使うことができるそうです。

サクッとランチ食べて近くの別の美術館に移動しようと思っていたのですが、丸1日堪能してしまいました。
DIC川村記念美術館に行った感想
初めてDIC川村記念美術館に行きましたが、ロスコ・ルームをはじめとしたここに美術空間が体感でき、自然あふれる庭園でゆっくりとするのも良し、美しい庭園を眺めながら美味しいランチもいただける素晴らしい美術館でした。
10月の土曜日に10時半ごろに訪れ、16時過ぎまで滞在。
レストラン以外は混雑しているところはなく、非日常の空間を至る場所で楽しめます。
東京から直通バスなら約1時間、電車とバスでも1時間半と思ったよりアクセスがしやすかったので、ショートトリップ感覚で訪れるのにもおすすめです。
ということで「DIC川村記念美術館」の超個人的なオススメ度は…。
★★★★☆
あくまで私個人の感想ですが、参考にしていただければ幸いです。
これからも少しずつアートやファッション関係の記事を書いています。
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