普段何気なく使っている「家」。
その背景には、住みやすさや機能性、そして美しさを追求する多くの建築家たちの挑戦が隠れています。
現在、国立新美術館で開催中の「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s‒1970s」では、1920年代から1970年代にわたる住宅建築の革新的な取り組みを、実物大の模型や豊富な資料を通じて体感できます。
専門知識がなくても分かりやすく解説されており、訪れるすべての人に新たな視点と刺激を提供してくれる展示となっています。
本記事では「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s‒1970s」について、アクセスやチケットなどの概要、所要時間に混雑状況、販売されているグッズ、そして個人的な感想をまとめています。
展覧会の概要
会期 | 2025年3月19日(水) ~ 2025年6月30日(月) |
休館日 | 毎週火曜日 ※ただし4月29日(火・祝)と5月6日(火・祝)は開館、5月7日(水)は休館 |
開館時間 | 10:00~18:00(金土~20:00) ※入場は閉館の30分前まで |
会場 | 国立新美術館 |
住所 | 東京都港区六本木7-22-2 |
国立新美術館は、広々とした展示空間と洗練された内装で知られ、六本木エリアのアクセスの良さも大きな魅力です。展覧会は、初めての方でもゆったりと作品を楽しめる環境が整えられています。
チケットについて

チケットの価格は以下の通りです。
- 一般:1,800円
- 大学生:1,000円
- 高校生:500円
- 中学生以下:入場無料
チケットは当日会場窓口のほか、公式オンラインチケットサイトで購入が可能です。
日時指定制ではありませんが、当日窓口で並ぶ可能性もあるため、事前にオンラインサイトで購入しておくのがおすすめです。
オンラインサイトで購入した場合はスマートフォンなどでQRコードを表示するだけで入場でき、発券の手間もなく便利です。
所要時間に混雑状況

私は日曜日の午前中にいきました。
入場までの並びはありませんでしたが、会場内は結構人が入っている印象です。
しかし、展示の鑑賞はしやすく、快適に回ることができました。
入場してからの所要時間は1時間半くらい。早い人なら1時間かからず、じっくり見たいという人は2時間強くらいかかるのではないでしょうか。
写真撮影は撮影可のマークが付いた展示(主に模型)のみ。動画撮影やフラッシュや三脚、自撮り棒などを使った撮影は禁止となります。
会場は1階と2階に分かれており、1階展示の最後に特設のグッズショップがあります。2階の展示はチケットなしでも見られるようです。
展示内容の魅力

本展は、20世紀に活躍した著名な建築家たちが追求した住まいの在り方―「快適さ」「機能性」「芸術性」―をテーマに、住宅建築における多彩な実験や試行錯誤の過程を、以下の7つの視点から分かりやすく紹介しています。
以下に各テーマについてまとめております。写真はテーマに関連のないものも貼っています。予めご了承ください。
1. 衛生

住空間の清潔さや健康維持を重視した設計思想について、風通しや日光の取り入れといった具体例を通じて説明。建築家たちが、生活環境をいかに改善しようとしたかを丁寧に解説しています。

2. 素材

伝統的な建材から、コンクリートや鉄などの新素材を取り入れた設計への転換が、住宅の耐久性やデザインにどのような変革をもたらしたかを、多様な資料で示しています。

3. 窓

自然光をふんだんに取り入れるための巨大な水平窓など、建物と外界をつなぐ工夫が、室内の明るさと開放感をどのように実現しているのかが分かりやすく説明されています。

4. キッチン

生活の中心となるキッチンが、使いやすさや収納力、調理効率の向上を目指してどのように設計されたか。時代背景や社会の変化とともに進化したキッチンの役割が解説されています。

5. 調度

家具や内装の配置が、空間全体の雰囲気や機能性に与える影響について、当時の最新デザインの実例を交えて紹介。美的感覚と実用性が融合した調度品の魅力が伝わります。

6. メディア

雑誌や映像、広告などを通じて新しい住まいの情報がどのように発信され、一般に広まっていったのか。建築家たちが情報発信に工夫を凝らした背景を読み解きます。

7. ランドスケープ

建物とその周囲の自然環境の調和を図るための工夫を、外部空間のデザインとして紹介。住環境全体の快適さを引き出すためのアプローチが分かります。

クラウドファンディングで実現した原寸大《ロー・ハウス》

展覧会の2階(天井高8m)の展示室では、ミース・ファン・デル・ローエがかつて構想した未完のプロジェクト《ロー・ハウス》を、原寸大の模型で再現しています。
ミースは1930年代、ドイツで数多くの中庭付き住宅(コートハウス)を設計しましたが、その多くは実現しませんでした。

残された図面から、室内と中庭が一体となる空間構成を読み取り、そのビジョンを再現するために、クラウドファンディングによる資金調達を経て巨大模型が制作されました。
展示室内には、再現された中庭や各部屋、さらにミース自身がデザインした椅子が配置され、照明の色変化で一日の光の移ろいも体験できます。

さらに1階展示では、ニューヨーク近代美術館所蔵のコートハウススケッチが日本初の形で公開されるなど、ミースの革新的な試みを多角的に感じられます。
名作家具を体感できるデザインコーナー

同じく2階エリアには、同時代に誕生し現在も多くの人々に愛用される家具デザインを実際に見ることができるエリアが設けられています。

このコーナーでは、住宅建築とともに発展してきた家具の歴史と、その時代の美学を体感できます。

単なる展示に留まらず、実際の使用感やデザインの細部までじっくりと観察できるため、モダニズムの理念がどのように日常に根付いているのかを実感できるスポットとなっています。

家具の展示は無料で、建築やインテリアデザインに興味を持つ方には必見の内容です。

特設のグッズショップにも注目

1階展示の最後には特設のグッズショップがあります。

本展覧会の図録のほか、Tシャツやステッカー、トートバッグなどの定番グッズのほか、本展覧会ならではのスケールや建築家などの書籍などが販売されておりました。


展覧会の感想

「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s‒1970s」は、過去の建築実験から現代の暮らしへのヒントを探る、貴重な展示です。
建築家たちが挑んだ革新の数々を、実物大の模型や多様な展示資料を通じて体感できるこの展覧会は、専門知識がなくても楽しめる内容になっています。
特に、クラウドファンディングで実現されたミースの《ロー・ハウス》の原寸大再現や、現在も愛される名作家具を直接見られるコーナーは、時代を超えたデザインの普遍的な魅力を存分に感じさせてくれます。
家族や友人とともに、未来の住まいについて新たな発見を求めて、ぜひ足を運んでみてください。
ということで、「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s‒1970s」の超個人的なオススメ度は…。
★★★☆☆
あくまで私個人の感想ですが、参考にしていただければ幸いです。
これからも少しずつアートやファッション関係の記事を書いています。
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