現代アート・シーンに革命を起こし、その存在が謎に包まれた英国生まれの異端児バンクシーの展覧会「バンクシー展 天才か反逆者か」東京・原宿駅前のWITH HARAJUKUで開催中です。
本展覧会は本人非公式ながら、貴重なオリジナル作品を含む、版画、立体オブジェクトなど70点以上のバンクシー作品を始め、映像やポスターなど計100点以上の作品が集結しました。
バンクシーがその作品に込めたメッセージを読み取ろうとするのも楽しみ方の一つだと思います。この展覧会には多数作品が展示されていますが、なんとほぼすべての作品に音声ガイドが付いています。一つ一つ音声ガイドを聞きながら作品を見てまわるとかなりの大ボリュームな展示会となっています。
この展覧会は全国巡回中で、私は横浜で開催していた時に一度行きました。しかし作品数が多くて時間が足りず、後半かなり飛ばして見てしまったため、今回の東京展に再度行くことを決めていました。
本記事は東京・原宿駅前のWITH HARAJUKUで開催中の「バンクシー展 天才か反逆者か」について、「チケット」「アクセス」などの概要に加え、「混雑状況」や「所要時間」、そして私なりの感想をまとめたものになります。
開催概要・アクセス・チケット
開催概要
- イベント名:バンクシ―展 天才か反逆者か
- 期間:2021年12月12日(日)~2022年3月8日(火)
- 会場:WITH HARAJUKU
- 開館時間:10:00~20:00(最終入場は閉館時間の30分前)※12/18(土)~12/19(日)、12/25(土)~12/30(木)の営業時間は9:00~20:00※1月以降の営業時間は9:00~19:00
- 休館日:2月24日(木)
東京での開催が終わったら、札幌へ巡回していくようです。(3月24日~)
アクセス
- 会場 WITH HARAJUKU
- 住所 東京都渋谷区神宮前1丁目14-30
- JR山手線「原宿」駅(東口)より徒歩1分
- 東京メトロ千代田線・副都心線「明治神宮前<原宿>」駅(2番出口)より徒歩1分
会場のWITH HARAJUKUは原宿駅のすぐ目の前。アクセスしやすいので表参道でのショッピングやデートついでに行くのにちょうどよいですね。
チケット
チケットはスマートフォンがチケットになる販売手数料無料のお得な日時指定前売りチケットと、当日窓口販売チケットがあります。入れ替え制ではないため、一度入場したら閉館時間までゆっくりと作品を見ることができます。
日時指定前売りチケットは購入ページから、空き状況を確認し、日時指定でチケットを購入します。予約時間は30分単位で、その時間内に入場します。
購入後にメールで届くQRコードチケットを表示できるスマートフォン、または印刷して受付スタッフに提示して入場します。
当日券は会場1Fのブースで購入が可能。在庫に余裕がない場合は販売されず、行った時間帯には入れなくて待つということもあるので、事前に日時指定チケットのご購入することをお勧めします。
<日時指定前売りチケットの価格>
区分 | 一般 | 大・専・高 | 中学生以下 |
平日 | 1,800 | 1,600 | 1,200 |
土日祝 | 2,000 | 1,800 | 1,400 |
<当日窓口販売チケット>
区分 | 一般 | 大・専・高 | 中学生以下 |
平日 | 2,200 | 1,800 | 1,200 |
土日祝 | 2,400 | 2,000 | 1,400 |
価格の面でも前売りのほうがかなりお得です。
どちらも未就学児入学無料。ただしベビーカーでの入場は不可です。
無料の音声ガイドが楽しめる
本展では音声ガイドが無料で利用できます。QRコードを読み取り、スマートフォンで聴くことができます。
音声ガイドの数を数えてみたらなんと96個も。展示されているほとんどの作品に音声ガイドが付いています。ちゃんと計っていないのでわからないですが、全部聞いていたら3時間くらいになるのではないかなと。
音声ガイドを聞いて、バンクシーが作品に込めた思いを考察すると、より楽しめると思います。
ぜひスマートフォンのイヤホンを持って、バッテリーが切れないようにしておき、音声ガイドをフルに活用してみてください。
そんなに長居できないという方もご安心を。音声ガイドの会場外でも利用できるのであとでゆっくりと復習するという使い方もおすすめです。
会場の待ち時間、混雑状況に所要時間、ロッカーやトイレは
私は日曜の10:00~10:30のチケットを購入。会場には10:00ちょうどに着きました。
会場への入口は3階です。展示会場にはロッカーが無いので不要な荷物はWITH HARAJUKUのコインロッカーなど、近隣施設のロッカーを利用する必要があります。
入場するのに少し並びましたが、10分も待たずに入れました。
会場はなかなかの混雑。通路が狭くなっていて、音声ガイドを聞きながら作品をゆっくり鑑賞する人も多いので、密になる場面もありました。
第一会場と第二会場で分かれていますが、各会場内にトイレは無いので事前に済ませておくか、第二会場に移動するときに済ませておきましょう。
以前横浜で見たということもあり、所用時間は1時間半くらい。
横浜の時とボリュームはそれほど変わらないかなという印象だったので、ちゃんと一から見ると3時間以上はかかるボリュームだと思います。
ちなみに会場を出たとき入口を見てみたら長い列が出来ていました。
時間によっては少し入場するのに待つこともありそうです。
展覧会は撮影可能。フォトスポットも
この展覧会では全作品写真撮影可能となっています。※フラッシュは禁止
気に入った作品の写真がたくさん撮れますし、会場にはフォトスポットも用意されていました。
3階会場入り口には<ガール・ウィズ・バルーン>の作品になれるフォトスポット。
こちらも3階会場入り口付近に<ラフ・ナウ>の中に加われるフォトスポット。
第一会場入り口の電話ボックスに
バンクシーのアーティスト・スタジオを再現した展示。
第一会場から第二会場の間にある時計の作品。
会場出口付近にある<ノー・ボール・ゲームス>のフォトスポット。
フォトスポットを活用して、バンクシーの作品の一部になった写真が撮るのもおすすめです。
展示内容と印象に残った作品の紹介
とにかくバンクシーの多数のバンクシー作品が間近で一気に見られるのがこの展覧会の最大の魅力だと個人的には思っています。
会場ではいくつもの写真や映像から再現したバンクシーのスタジオからはじまり、バンクシーはどういったアーティストなのかを紐解いていきます。
バンクシーの作品はどれもキャッチーでユーモラスに見えますが、その背景には鋭い社会風刺や政治的メッセージが込められています。
この展覧会では政治、文化、倫理、そして戦争などのテーマごとに作品をまとめ、その裏側にある制作意図をあぶり出していきます。
解説は実際に足を運んでガイドを見てもらいたいので詳しく書きませんが、簡単に気になった作品などを展示順にご紹介していきます。
消費
バンクシーの作品で頻繁に取り上げられるテーマの一つ「反消費主義」。
2011年にある廃ビルの壁に出現した<フライング・ショッパー>。少女がカートと共に落下する様が描かれています。
イギリスの紙幣のエリザベス女王をダイアナ妃に変えた偽紙幣<DIフェイスド・テナー>。
「バンク・オブ・イングランド」の文字が「バンクシー・オブ・イングランド」と代わっていたり、もう一方のダーウィンの肖像画の下には「誰も信用するな」と書かれています。
<ドーナツ(ストロベリー&チョコ)>はドーナツが移動販売車の上に乗せられ、5人もの警察官が護衛している様子が描かれています。
重要人物のようにドーナツを手厚く警護し、このドーナツのために交通渋滞が起こっていたら、誰もが腹を立てますよね。
<バーコード>はバンクシーの初期の代表作のひとつ。
バーコードは単色のステンシル版画。バーコードを模した檻からヒョウが通り抜けて出てきている様子が描かれています。
バンクシーと世界の芸術文化
アンディー・ウォーホルとジャン=ミシェル・バスキアの作品を同じ空間で鑑賞できるようになっています。
ウォーホルの<マリリン>の肖像と、その作品からインスピレーションを受けて制作した<ケイト・モス>が並べて展示されています。
イギリスのロックバンド「ブラー」のアルバム<シンク・タンク>のカバーアートもバンクシーが手がけています。
私も学生の頃、このアルバムを購入しましたが、当時はバンクシーのことは全くわかっていませんでした。
政治
政治もバンクシーが好んで取り上げるテーマです。
有名な女王の像を白黒のサルの肖像と置き換えた<モンキー・クイーン>や、イギリス議会議事堂の下院で議員がサルと化している<モンキー・パーラメント>などが展示されています。
武力行使への反対
バンクシーは武力による制圧に頻繁に批判しています。多くの作品で軍隊や警察をからかっており、本展でもその一部をみることができます。
この<メット・ボール>は警察のヘルメットと650個の小さな鏡を組み合わせています。まるでミラーボールのよう。
監視カメラ
イギリスで人間が監視カメラに映る回数は1人一日あたり平均300回だそうです。カメラの設置されている数は2007年時点で420万台に達していて、それは世界中の監視カメラの20%に相当するとのこと。
犯罪検出を支援するための設置なのですが、監視カメラの映像で解決した犯罪はわずかしかない実情に抗議の意味を込めているようです。
抗議
バンクシーの作品のほとんどは彼の社会に対する抗議であるともとらえられます。
バンクシーの作品のなかでも最も有名なもののひとつである<ラブ・イズ・イン・ジ・エアー>(フライング・スロアー)は火炎瓶を投げようとしている人の手を花束に変えています。
これはどんな変革も平和的な手段で達成しなければならず、そうしなければもっと大きな暴力を引き起こすことになるというメッセージのようです。
戦争
人間が選択し得る業として、最も卑劣なものである「戦争」。
バンクシーの作品に込められた反軍国主義のテーマは、政治と抗議のテーマと深く絡み合っています。
バンクシーは戦争と軍隊に対する自らのスタンスを「世界で最も大きな犯罪を実行するのは、規則を破る側ではなく、規則を守る側の人間だ。命令に従う連中が爆弾を投下し、いくつもの村を破壊する」と明確にしめしています。
マクドナルドとミッキーマウスに挟まれた少女が描かれてる<ナパーム>。
2人は少女を救おうとしているのか、それとも恐ろしい結末に導こうとしているのか…。
巨大な爆弾をティディベアを抱きしめるかのように抱えている<ボム・ラブ>やヘリコプターにピンクのリボンで飾っている<ハッピー・チョッパーズ>などが展示されています。
このコーナーの最後には2006年に湖水泳場に設置された標識の作品<ノー・スイミング>が再現されたものが展示されています。
世界一悪い眺めのホテル
バンクシーがパレスチナにオープンした<ウォールド・オフ・ホテル>。
横浜の展示では一室を再現していましたが、ここではロゴと写真の展示のみとなっていました。
ディズマランド
2015年に5週間限定で開園されたテーマパーク<ディズマランド>。
2.5エーカーもの敷地を使い、17カ国約50人のアーティストが制作した現代アートが散りばめられた壮大なテーマパークだったようです。
ここではそのディズマランドの映像インスタレーションを見ることができます。
またディズマランド以外にもバンクシーの過去でイギリス・ブリストルで開催された個展の情報などを見ることができます。
バンクシーズ・ラット(バンクシーのネズミたち)
バンクシーはよくネズミのモチーフを作品に取り入れています。
ネズミはどのような状況でも生き抜くことのできる動物で、都会の環境に最も適した野生生物です。
都会で暮らす私たちもある意味ネズミで、システムが作り出す環境の中で生き抜こうともがき、そのシステムを出し抜こうとズルく巧妙に生きています。
ネズミがモチーフの作品ではグラフィティ・ライターのキング・ロボとの対決の舞台となった<アイ・ラブ・ロンドン・ラット・フォトグラム>が有名です。
バンクシー・アートの生と死
バンクシーのアート作品が他のストリート・アーティストのものと同様に、ごく短命です。
ストリートに描かれた作品は、市政当局や競合するグラフィティ・グループ、ただ嫉妬心を持つ人たちによって塗りつぶされてしまいます。
また、ある作品は壁から切り取られて金儲けのために売られ、その一方で自然に崩れていくものもあります。
<パルプ・フィクション>はクエンティン・タランティーノ監督による同名映画の主人公たちに中でなくバナナを持たせた作品。
この作品は人々を刺激してより残虐にしてしまうという理由で塗りつぶされています。
<グラフィティ・エリア>はロンドンのショーディッチ地区に10年以上前に出現。違う時期で、キャラクター絵なしの同じようなメッセージがブリストルやサンフランシスコでも見つかっていたが、すでに上塗りされてしまっています。
しかし、ロンドンでは作品が保存されることになり、他のストリート作品とは違いガラスで保護されています。
ガール・ウィズ・バルーン
このハート形の風船を手放そうとしている少女の絵は、バンクシーの作品のなかでも最もわかりやすいもののひとつとされてきています。
この作品を使って、バンクシーは美術史上最も大胆不敵と言っていいような悪ふざけをやってのけました。
<ガール・ウィズ・バルーン>の1枚がオークションで100万ポンド強の値がついた直後に、シュレッダーで細断されるように仕組んだのです。
本展では<ガール・ウィズ・バルーン>の作品と共に、オークションの様子が映像作品として展示されています。
展覧会の最後にはグッズショップも
展覧会場の最後にはグッズショップがあります。
そこでは図録をはじめ、アパレルから文房具などの幅広いグッズが販売されています。
バンクシーのエッセンスを取り入れたカッコいいグッズもいいですが、個人的には多数の作品が解説付きで掲載されている図録がおすすめです。
「バンクシー展 天才か反逆者か」の感想
「バンクシー展 天才か反逆者か」は一気にたくさんのバンクシー作品が解説付きで見れるので、バンクシーについて興味はあるけどよくまだ知らないという方にはすごくおすすめな展覧会だと思います。
フォトスポットもあるので友達やカップルで行って、記念撮影もできます。
しかし、注目度の高い展覧会のため、会場はかなり混雑が予想され、展示ボリュームもたっぷりあるので時間に余裕をもっていくようにしましょう。
ということで「バンクシー展 天才か反逆者か」の超個人的なオススメ度は…。
★★★☆☆
あくまで私個人の感想ですが、参考にしていただければ幸いです。
ちなみにバンクシーの展覧会といえば東京での開催は終了してしまいましたが、全国巡回中の「バンクシーって誰?展」についても別の記事でまとめていますので、よかったらそちらも見てみてください。
これからも少しずつアートやファッション関係の記事を書いています。
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