2026年9月19日、第一回「前橋国際芸術祭2026」が始まりました。
会期は12月20日までの80日間。国内外70組のアーティストが参加し、アート・建築・音楽・詩・演劇・食が交差する、歩いて巡れる「都市の芸術祭」です。
この芸術祭には、もうひとつ押さえておきたい特徴があります。
行政ではなく民間が立ち上げたこと。
実行委員長兼総合プロデューサーを務めるのは、田中仁財団代表理事でジンズホールディングス代表取締役CEOの田中仁さんです。
白井屋ホテルを再生させた当人でもあります。
今後はビエンナーレ形式で継続し、前橋の「次の10年」を考える場として位置づけられています。
いま、前橋が注目されている理由は明快です。
2016年に前橋市が策定したまちづくりビジョン「めぶく。」から10年。
藤本壮介さんの白井屋ホテル、平田晃久さんのまえばしガレリアをはじめ、民間主導の再開発で建てられた先鋭的な建築群が、この小さな中心市街地に集中しています。
芸術祭のコンセプト「めぶく。Where good things grow.」は、その10年の続きとして掲げられたものです。
筆者は会期序盤の土曜日、朝10時のアーツ前橋から夕方の閉場まで、一日ですべての会場を歩いて回りました。
結論から言うと、日帰りで全部回れます。
ただし条件がいくつかあって、それを知らないと確実に取りこぼします。
この記事では、実際に一日歩いた立場から、チケットの買い方・所要時間・混雑・整理券・ランチまで、現地で役に立った情報を順番にまとめます。
前橋国際芸術祭2026の概要
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 展覧会名 | 第一回 前橋国際芸術祭 2026(めぶく。Where good things grow.) |
| 会期 | 2026年9月19日(土)〜12月20日(日)/80日間 |
| 会場 | 群馬県前橋市 中心市街地エリア(アーツ前橋ほか) |
| 開場時間 | 10:00〜18:00(最終入場17:30) |
| 休場日 | 水曜日 |
| 参加作家 | 国内外70組(会場は中心市街地の約500m四方に21会場) |
※会場ごとに開場日・開場時間が異なります。特に前橋文学館は9:00〜17:00と閉館が1時間早いので注意してください。
アクセス
- JR前橋駅 北口から徒歩約10分(アーツ前橋まで)
- 上毛電鉄 中央前橋駅から徒歩約7分
- 東京駅から:新幹線で高崎駅 → 両毛線で前橋駅/所要約1時間20分
- 主要会場は半径約500mに集中。会期中の移動はすべて徒歩で完結します
チケット
| 券種 | 価格(税込) |
|---|---|
| パスポートチケット(一般) | 3,000円 |
| パスポートチケット(学生) | 2,000円 |
| パスポートチケット(一般・前橋市民) | 3,000円 ※めぶくPay利用で優遇あり |
- オンライン購入:ArtSticker、JRE MALLチケット、e-plusチケット(公式サイトからリンク)
- 当日購入:アーツ前橋 総合カウンター
- パスポートは会期中有効。一日で回りきれなくても、後日そのまま使えます
【実体験メモ】チケットは絶対にオンラインで買っておくこと
朝のアーツ前橋は、開場前の時点で当日券の窓口に30〜50人の列ができていました。
一方、オンラインで購入済みならその列とは別ですんなり入場できます。
10時台の30分は一日のスケジュールを大きく左右するので、ここは事前購入一択です。
3. 「建築の聖地」としての前橋──芸術祭のコンセプト

この芸術祭がほかの地域芸術祭と決定的に違うのは、作品を置く「器」そのものが目的地になっていることです。
前橋の中心市街地には、この10年で建てられた建築が驚くほど密集しています。

藤本壮介さんが手がけた白井屋ホテル、平田晃久さんのまえばしガレリア、永山祐子さんの前橋アーケードテラス、長坂常さんの和菓子店「なか又」、中村竜治さんのMビル、髙濱史子さんによる「つじ半 前橋」。屋外にはジャスパー・モリソンさんの公共トイレ、藤原徹平さんのガーデンパーク、SUPPOSE DESIGN OFFICEによる広場まであります。

つまりこの街では、アートを見に行く道中がすでに展示なのです。
芸術祭は建築・屋外作品を29点リストアップしており、その多くは無料で、会期に関係なく誰でも見られます。
【実体験メモ】公式マップの「建設予定」表記に注意
屋外作品リストのうち6点(10・18・20・21・25・29)は「建設予定」の扱いで、現地には立て看板が立っているだけです。
マップの番号を頼りに歩いていると「作品が見つからない」と時間を溶かします。
マップを見て次の作品へ向かうときは、その番号が建設予定かどうかを先に確認してください。
実際に鑑賞できるのは23点です。
コラム:なぜ前橋だったのか
地域芸術祭の多くは「自然」や「過疎」を舞台にしてきました。
越後妻有の棚田、瀬戸内の島。
それに対して前橋が選んだのは、シャッター商店街という、もっとも身も蓋もない日本の現実です。
田中さんは記者会見で、作品とともに街を見ることで芸術祭は完成する、という趣旨のことを語っています。
ひとつの美術館ですべてを見ようとしないこと。
それがこの芸術祭の正しい歩き方です。
実際に歩くとよく分かります。
弁天通りもオリオン通りも、アーケードの下はシャッターが目立つ。
その同じ通りに、ギャラリーと現代建築と芸術祭の会場が挿し込まれている。
きれいに整えられた「アートの街」ではなく、再生の途中経過そのものを見せているのがこの芸術祭の誠実さだと感じました。
参加作家も幅が広く、マルタン・マルジェラ、蜷川実花、川俣正、ミロコマチコ、渋谷慶一郎、石川直樹、ジム・オルーク、最果タヒ、尾花賢一、クワクボリョウタ、山縣良和、山田紗子、吉開菜央ほか70組が名を連ねます。
ファッション、写真、音楽、詩、映像、建築が同じパスポートで横断できる構成です。
ポイント整理
- コンセプトは「めぶく。Where good things grow.」。2016年の市のビジョンから10年目の到達点
- 主要会場は徒歩圏に集中。移動時間がほぼゼロで密度が高い
- 建築・屋外作品29点は大半が無料で鑑賞可能
- オフィシャルギャラリーとしてTaka Ishii Gallery、TOMIO KOYAMA GALLERY、MAKI Gallery、rin art association、Art Office Shiobaraが参加
- 2年に一度の開催。第一回は2026年9月19日〜12月20日
所要時間と混雑状況
所要時間の目安
| 回り方 | 目安 |
|---|---|
| 主要会場だけさっと見る | 2〜3時間(アーツ前橋・白井屋・ガレリアのみ) |
| 全会場を早足でコンプリート | 約4時間 |
| 全会場をじっくり見る | 10:00〜18:00の一日がちょうどいい |
歩く距離自体は大したことがありません。
主要会場は半径約500mに収まっているので、移動だけならコンプリートに4時間もあれば足ります。
ただ、それは「回れる」だけの話です。
実際には一つひとつの作品に足を止め、建築を見上げ、商店街の空気を吸いながら歩くことになります。
開場の10時から閉場の18時まで、一日使ってちょうどいい——これが実際に全会場を回った実感です。
移動が短いぶん、浮いた時間はそのまま鑑賞に充てられます。
実際に回った順番

| 順 | 立ち寄り先 |
|---|---|
| 1 | 前橋駅 → 東和銀行本店併設「憩いの広場」(川俣正) |
| 2 | アーツ前橋(10:00・オンラインチケットで列をスキップ) |
| 3 | 馬場川通り → 白井屋ホテル → 馬場川公衆トイレ |
| 4 | 前橋中央通り商店街 → 裏ノ間 re/noma → パーラーレストラン モモヤでランチ(11:30) |
| 5 | 本屋 水紋 → Maebashi Works → ya-gins → Bentena SHOP |
| 6 | 広瀬川河畔緑地 → STREET FURNITURE EXHIBITION → 前橋文学館 → 太陽の鐘 |
| 7 | 旧近藤時計店 → オリオン通り商店街 |
| 8 | ハウゼビル(13時前に整理券を取得し、田所淳作品を鑑賞) |
| 9 | map前橋“市民”ギャラリー → Shop rin art association → まえばしガレリア |
| 10 | BnA noie → 寺町藝術センター |
| 11 | ハウゼビルへ戻り、蜷川実花(14:30の回) |
| 12 | 白井屋ホテルのベンチでコーヒー休憩 → 帰路 |
混雑と、知らないと詰む3つのこと
① 当日券は朝から長蛇の列
アーツ前橋の開場の10時ですでに30〜50人並んでいました。
その中の大半が当日券購入者のようで、そのまま当日券販売窓口でかなりの並びができていました。
しかし、オンラインで事前にチケットを購入している人は別の列となり、すんなり入場できました。
地味ですが時間を節約できるポイントです。
② 蜷川実花の作品は整理券制
ハウゼビルの蜷川実花 with EiM は整理券制で、13時前に取りに行った時点で14時半〜の回でした。つまり2時間待ち。
午前中のうちに整理券だけ先に確保して、待ち時間でほかの会場を回るのが正解です。
筆者は他会場を回りきってから戻る形にしましたが、朝いちばんで整理券を取れていればもっと余裕がありました。
③ 白井屋ホテルのラウンジは予約で満席
ランチもカフェも予約でいっぱいでした。利用したいなら予約必須です。
白井屋で食事を組み込む前提のプランを立てている人は、必ず事前に押さえてください。
混雑しやすい時期
- 会期序盤の土日(話題性がいちばん高い時期)
- 10月の前橋まつり期間(一部会場が閉場対応になる場合あり)
- 会期末の12月(「終わる前に」層が動く)
- マルタン・マルジェラの展示は会期限定のため、その期間に集中しやすい
一日で巡った全会場レポート

歩いた順番のまま書きます。ルートを組む参考にしてください。
① 前橋駅 →「憩いの広場」→ アーツ前橋

駅から北へ向かう途中、東和銀行本店に併設された「憩いの広場」に川俣正さんの《Tree hut workshop No.1/No.2》が立っています。
市民とともに構想された2基のツリーハット。
屋外なので開場時間に関係なく見られ、駅からの道すがら最初に拾える作品です。
「Tree Hut」は2007年にノルウェーで始まり、世界各地で展開されてきた川俣さんの代表的なシリーズ。
前橋ではアーツ前橋正面のケヤキにも設置されていて、街路樹そのものが作品の支持体になっています。
何気なく通り過ぎていた木を見上げるために足を止めた瞬間、背景だった街が前景に出てくる。
芸術祭の入口としてこれ以上ない作品です。
なお本作は、芸術祭の終了後も継続して展示される予定とのことです。

そこから数分でアーツ前橋。総合カウンターでパスポートの受付と公式マップの受け取りを済ませます。




商業施設を改修した美術館で、フロアを曲がるたびに天井高が変わる設計そのものが見どころです。





いちばん足が止まったのは山縣良和さんの大掛かりなインスタレーションでした。

ひよこのぬいぐるみが壁を突き破り、作品が隣の展示室まで 続いていく——という言い方では足りない、会場の構造そのものを破って侵食していくような展示です。


美術館の壁を「越境させる」という発想が、まちなかに展示が散らばるこの芸術祭全体の構造とも重なって見えました。


吹き抜けを使ったアレクサ・クミコ・ハタナカさんの《儚い》も見逃せません。

カナダを拠点に手漉き和紙で制作してきた作家で、何百もの和紙の断片を縫い合わせた大作です。
近くで見ると染めの繊細さが際立ち、離れて眺めると断片がひとつの巨大な生き物のように見えてくる。
上下階を貫くアーツ前橋の空間だからこそ成立する作品です。











滞在は40分〜1時間。ただしこれは完全に失敗です。
このあとの会場数を考えて駆け足で回ってしまいましたが、実際には全会場コンプリートに4時間もあれば足りる。アーツ前橋にはもっと時間を割くべきでした。
ここを起点にする人は、最低でも1時間半は確保してください。
② 馬場川通り → 白井屋ホテル → 馬場川公衆トイレ

アーツ前橋の西側、白井屋までの200mほどに屋外作品が凝縮しています。
SUPPOSE DESIGN OFFICEのばばっかわスクエア、尾花賢一さんの《ばばっかわ男》、藤原徹平さんのガーデンパーク。

白井屋ホテルはヘリテージタワーの4層吹抜けが圧巻で、共有部のアートは宿泊しなくても無料で見られます。
面白かったのは、緑に覆われたグリーンタワーの斜面に、ミロコマチコさんのカラフルなプラスチックの植物が挿してあること。

蛍光ピンクや水色、紫。どう見ても作り物とわかる人工の植物が、本物の下草や苔のあいだから生えています。
作品名は《空気に根をおろす》。白井屋ホテルのアートイルミネーション2026としての展示なので、夜に訪れるとまた違う表情になるはずです。
自然に擬態させるのではなく、明らかな異物としてそこにある。
だからこそ「これは作品だ」と一目でわかるし、緑の斜面の見え方まで変わってしまう。
ホテルのサインの脇にも挿さっているので、通りから無料で見られます。

そして白井屋のすぐ先に、ジャスパー・モリソンさんが設計した公衆トイレ。

トイレが作品リストに入っている芸術祭というのが、前橋らしさを端的に表しています。
③ 前橋中央通り商店街(ランチを挟んで)

アーケードの下は会場密度がいちばん高いブロックです。
雨でも回れるのが地味にありがたい。ランチ前に裏ノ間 re/nomaへ寄り、11時半に食事を挟んで、午後から本格的に攻めました。



- 裏ノ間 re/noma(《ネオ・ネオ・ダダダ MAEBASHI》)※ランチ前に訪問
- 本屋 水紋(田中隆太+アルケノード編集委員会《移動式公開編集会議アルケノード》)
- Maebashi Works/ya-gins/map前橋“市民”ギャラリー──この3会場は《sub low》という共同プログラム。飯沢康輔、河津慧、光景旅団らが参加しています
- Bentena SHOP(Bentena SHOP+SNARK Inc.《SITE PORTAL》)





まずアーケードそのものに、尾花賢一+石倉敏明の《赤城山リミナリティ Part3 山と凧と十二様》が吊り下げられています。

12枚のバナーで構成された作品で、赤城山の民俗、からっ風、山の神「十二様」を題材に、山と街と人のつながりを描いたもの。
人類学者(秋田公立美術大学教授)の石倉さんとアーティストの尾花さんが続けてきた《赤城山リミナリティ》シリーズの第3作です。
商店街の屋根の下に土着的な図像が並ぶ光景がよく、通り抜けるだけの人の目にも入ります。
ここは無料で見られます。
Bentena SHOP は、建物をまるごと使った展示でした。

2階はボールペンが床一面に敷き詰められた部屋。誰の手元にもある量産品が、数で埋め尽くされた瞬間に別のものに見えてきます。

4階には浴室とサウナ室、さらにルーフトップの部屋にも展示があります。



ya-gins では、飯沢康輔さんが壁一面に描いた作品。



壁をまるごと使ったスケールで、ここは本当によかった。
④ 広瀬川河畔緑地 → 前橋文学館 → 太陽の鐘

商店街を抜けて北東へ。
広瀬川沿いのレンガ敷きの遊歩道が約1km続き、道中にはSTREET FURNITURE EXHIBITION 2026の作品が点在しています。

街路家具と名はついていますが、どれも個性的な造形で、腰を下ろして休むような代物ではありません。
座る前提で近づくと肩透かしを食うので、あくまで鑑賞対象として見てください。
なおこの企画は9/19〜10/4と10/9〜12/20の2期制で、設置作品が入れ替わります。
時期を変えて訪れれば、ここだけは違うものが見られます。

正式名称は「萩原朔太郎記念・水と緑と詩のまち前橋文学館」。
17時閉館です。ここだけ1時間早いので、時間を逆算して組み込む必要があります。
鑑賞できるのは3階のみです。



開催されていたのは萩原朔美さんの展示で、写真と映像を軸に、詩人・吉増剛造さんとの映像書簡や1971年から続くアートブックシリーズなど約30点。
ここの展示はかなり面白かったので、時間が押していても飛ばさないことをおすすめします。
川沿いには岡本太郎《太陽の鐘》。

高さ24mの支柱にぶら下がる鐘で、ランドスケープは藤本壮介さんの設計です。
⑤ 旧近藤時計店 → オリオン通り商店街 → ハウゼビル
旧近藤時計店では2組。

最果タヒ+佐々木俊は、暗い空間のなかで看板に描かれたメッセージが点灯していくインスタレーション。
言葉が光として浮かんでは消える、詩人とグラフィックデザイナーの組み合わせらしい展示です。
関口光太郎さんは、新聞紙とガムテープでつくられた巨大な彫刻。

かたや光、かたや紙とテープという、素材の落差が同じ建物のなかで効いていました。

オリオン通り商店街を抜けて、銀座通りのハウゼビルへ。

ここで蜷川実花 with EiM の整理券を取得します。
13時前の時点で14時半〜の回。
同じハウゼビル内の田所淳さんの作品は整理券なしで見られるので、先に鑑賞しました。

映像とサウンドによるインスタレーションで、ビルの暗がりと相性がよく、蜷川実花を待つあいだの時間つぶしどころか、単体で十分に見応えがあります。
⑥ map前橋“市民”ギャラリー → Shop rin art association → まえばしガレリア

ハウゼビルを出て、まず map前橋“市民”ギャラリーへ。展示されていたのは河津慧さんの作品です。
続く Shop rin ではマルタン・マルジェラ《PODIUM》。




そのまま平田晃久さん設計のまえばしガレリアへ。

Taka Ishii Gallery、TOMIO KOYAMA GALLERY、MAKI Gallery、Art Office Shiobara、rin art association、KOTARO NUKAGA、Yutaka Kikutake Gallery の7組が集積する会場です。



ガレリアでいちばん印象に残ったのはマルタン・マルジェラの展示でした。

個人的な事情もあります。少し前に九段ハウスでマルジェラの展示を見たばかりで、記憶が新しかった。

東京の洋館で見たときと、前橋の新しい建築のなかで見るときとで、同じ作家の仕事がまったく違う顔を見せるのが面白かったです。


なおマルジェラの展示は会期限定(9/19〜10/27)。目当てにする人は会期を確認してから訪れてください。



⑦ BnA noie → 寺町藝術センター

中心部から東へ。三河町エリアです。
JR前橋駅から徒歩約10分、上毛電鉄 中央前橋駅からは徒歩約5分。
他会場から少し離れて見えますが、実際は駅との往復動線上にあるので、帰りがけに組み込めば無理がありません。
BnA noie は1階がギャラリーとスナック「3/SUN」、2階が一日一組限定のアートホテル。



寺町藝術センターは、築68年の旧編物学校のビルが会場。

展示は2階がクワクボリョウタ+前橋工科大学阿部研究室、3階がフリッツアートセンターです。

⑧ ハウゼビルへ戻る(蜷川実花 with EiM)

整理券の時間に合わせて再訪。結論から言うと、整理券制にするだけの体験でした。

ビルをまるごと使った大掛かりなインスタレーションで、蜷川実花さんらしい色の飽和した空間が広がります。

特徴的なのは、音声によって物語が進行していくこと。

写真作品を「見る」のではなく、物語のなかを歩かされる感覚に近い。

滞在時間は20分ほどでした。

銀座通りのビルという会場が、その色彩をいっそう強く見せていたと思います。
締めくくり:白井屋ホテルのベンチで

最後は白井屋ホテルのベンチで、ブルーボトルコーヒーとSHIROIYA the BAKERYのパン。
一日歩いた足を休めながら、藤本壮介さんの吹抜けをもう一度見上げる時間が、この芸術祭のいい締めになりました。
食事と休憩──前橋まちなかで実際に入った店
会場だけでなく、食事の選択肢も記事にしておきます。
一日歩くなら、ここは事前に決めておいたほうがいいです。
ランチ:パーラーレストラン モモヤ
中央通り商店街にある老舗の洋食店。
妻とオムライス、ナポリタン、プリンアラモードを注文しました。



昭和のままのレトロな外観と店内で、シャッターの目立つ商店街からは想像できないほど賑わっています。
早めのランチで11時半に入店したのは結果的に正解でした。ピーク時間は待ちが出ます。
味は文句なしでした。芸術祭の合間に入る店としては大正解です。
芸術祭のオリジナルメニューがある店
公式マップには、芸術祭のオリジナルメニューや関連作品を楽しめる飲食店が16軒載っています。ROBSON COFFEE アーツ前橋店、喫茶マルカ、Noche Azul、More Soup、コーヒーハウス シープ、LAUGH COFFEE、双子蒸留所、里の家、グルマンカレー、3/SUN、Bistro欅、SHIROIYA the LOUNGE、Blue Bottle Coffee Shiroiya Cafe、SHIROIYA the PÂTISSERIE など。
食事そのものを芸術祭の一部として組み込める設計になっています。
休憩:白井屋ホテルのベンチで、ブルーボトルコーヒーとパン
一日の締めは白井屋ホテル。
ブルーボトルコーヒーのドリンクと、SHIROIYA the BAKERY のパンを買って、館内のベンチで休みました。席を予約する必要がなく、吹抜けの空間をそのまま味わえるのがいいところです。

一方で、SHIROIYA the LOUNGE はランチもカフェも予約で満席でした。
白井屋で食事を予定している人は必ず予約を。
予約なしで白井屋の空間を楽しみたいなら、コーヒーとパンを買ってベンチで、というのが現実的な選択肢になります。
会期後半に行く人へ
この記事は会期序盤に訪れた記録です。11月以降に行く人は、次の3点が変わります。
| 対象 | 変化 |
|---|---|
| マルタン・マルジェラ | 10月27日で終了。11月以降のまえばしガレリアは残り6ギャラリーの展示に |
| STREET FURNITURE EXHIBITION | 10月9日から第2期。設置作品が入れ替わります |
| ミロコマチコ《空気に根をおろす》 | アートイルミネーション作品。日没の早い冬のほうが本来の姿に近いはず |
つまり、同じ芸術祭でも前半と後半で見えるものが違うということです。
パスポートは会期中ずっと有効なので、序盤に行った人がもう一度足を運ぶ理由にもなります。
まとめ・感想
こんな人におすすめ
- 建築が好きな人──藤本壮介・平田晃久・永山祐子・長坂常が徒歩圏に集中する場所は、国内でもここだけ
- 地域芸術祭を歩き慣れている人──移動がすべて徒歩で完結する、体力的にいちばん楽な芸術祭
- 商店街・まちの記憶に惹かれる人──シャッター街と現代建築が同居する風景そのものが見どころ
- 日帰りで芸術祭を味わいたい東京圏の人──東京駅から1時間20分、朝出て夜には帰れる
- 写真を撮りたい人──屋外作品が多く、被写体に困りません
- 前橋に来たことがない人──芸術祭がそのまま初めての前橋観光になります
感想
一日歩いて何より印象に残ったのは、作品と作品のあいだの「街」でした。
会場から会場へ200m歩くたびに、閉じたシャッターと、新しい建築と、芸術祭ののぼりが順番に現れる。
取り繕っていないその落差が、この芸術祭のいちばんの展示物なのだと思います。
体力的にはむしろ楽な部類です。
会場が徒歩圏に収まっているので、早足なら4時間でコンプリートできてしまう。
それでも一日かける価値があるのは、移動に使わずに済んだ時間を、そのまま作品に使えるからです。
ただし段取りは必要です。
チケットは事前購入、蜷川実花の整理券は午前中に確保、白井屋の食事は要予約。
この3つを外すと、どこかで確実に取りこぼします。
一日を通していちばん心に残ったのは、ハウゼビルの2作品でした。
整理券制の蜷川実花 with EiM と、同じ建物の田所淳さん。
人気が集中しているのも納得です。
色の飽和した空間を音声の物語に引かれて歩く体験と、映像と音のインスタレーション。同じビルのなかで方向性の違う2つを続けて浴びられるのが贅沢でした。
整理券を取ってでも見る価値があります。
そしてもうひとつ、個人的に大きかったのが白井屋ホテルです。
実は今回が初めての前橋観光でした。
白井屋はずっと見に行きたいと思っていた場所で、ようやく実現した。
芸術祭という口実ができたおかげで、一度も来たことのなかった街に足が向いたわけです。
次は泊まりたい。
日帰りで、徒歩で、全部回れる芸術祭。
この手軽さは本当にありがたいです。バスや車の乗り継ぎを考えなくていいぶん、思考のすべてを作品に向けられます。
パスポートは会期中ずっと有効です。
無理に一日で詰め込まず、2回に分けて訪れるという選択も十分あり得ます。
会期は2026年12月20日(日)まで。
次に来るときは、白井屋に泊まって、朝の街から歩き始めたいと思っています。
関連リンク
- 前橋国際芸術祭2026 公式サイト:https://maebashi-biennale.com/
- アーツ前橋:https://artsmaebashi.jp/
- 白井屋ホテル:https://www.shiroiya.com/
- 前橋文学館:https://www.maebashibungakukan.jp/
- 寺町藝術センター:https://teragei.com/
- BnA noie:https://bna-hotel.com/


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