東京国立近代美術館で「大竹伸朗展」が開催中です。
日本を代表するアーティスト大竹伸朗の16年ぶりとなる大回顧展。
大竹伸朗といえば、直島の「I♥湯」や「はいしゃ」などの作品を最近見てきたばかりで、個人的にも旬なアーティストだったので早速行ってきました。
展示作品数はなんと約500点!大回顧展ということでアーティスト大竹伸朗について詳しく知れる良い展覧会でした。グッズもユニークなものが多く、必見です。
本記事では「大竹伸朗展」のチケットなどの概要、展示内容、所要時間や混雑状況、グッズ、そして私の個人的な感想をまとめています。
大竹伸朗展の概要
- 会期:2022年11月1日(火)~2023年2月5日(日)
- 休館日:月曜日(ただし1月2日、9日は開館)、年末年始(12月28日~1月1日)、1月10日(火)
- 開館時間:10:00〜17:00(金曜・土曜は10:00〜20:00)※入館は閉館30分前まで
- 会場:東京国立近代美術館
- 住所:〒102-8322千代田区北の丸公園3-1
チケット
観覧料は以下の通りです。
一般 | 1,500円 |
大学生 | 1,000円 |
高校生以下 | 無料 |
当日券の販売もありますが、予定枚数が完売してしまうこともあるので、来場日時を1時間毎に指定できる日時指定制チケットを事前に購入することをおすすめします。
日テレゼロチケット、ローソンチケットからも買えますが、QRコードで入場できて発券の必要がない「大竹伸朗展オンラインチケットサイト」で購入するのがおすすめです。
音声ガイド
大竹伸朗展には音声ガイドはありません。
ちなみに会場で紙の作品リストや解説もなく、キャプションも作品番号のみ。
その代わりに「Catalog Pocket」というアプリで作品リスト、セクション解説、音作品を提供しています。
来場前にインストールしておくことをお勧めします。
iOS (App Store)
Android (Google play)
また、公式サイトには簡易作品リスト・会場マップのPDF版も用意されていました。
大竹伸朗(おおたけしんろう)とは
1955年東京都生まれ。80年代から絵画を中心に音や写真、映像を取り込んだ立体作品などの多彩な表現を展開してきました。
異分野のアーティストとのコラボレーションも行うなど、デザイン、文学、音楽など、あらゆるジャンルで活躍してきました。
直島銭湯「I♥湯」や家プロジェクト「はいしゃ」などの瀬戸内海を舞台にした作品で親しまれている一方、ドクメンタ13(2012)やヴェネチア・ビエンナーレ(2013)の二大国際展にも参加し、国内外で高い評価を得ています。
1988年に愛媛県宇和島へ移住してからは、現在も宇和島を拠点に活動しています。
東京国立近代美術館の入り口には<宇和島駅>とうい作品が取り付けられていますが、宇和島駅が改築されるとき、廃棄される予定だった駅名ネオンを大竹が貰い、保管していたものだそうです。
大竹伸朗展の内容について
デビュー個展から40年の節目に開催される本展では、これまでの創作活動を約500点という膨大な数の作品で振り返ります。
会場は「自 / 他」「記憶」「時間」「移行」「夢 / 網膜」「層」「音」という7つのテーマに基づいて構成。
会場マップを見ていただいても順路はありません。
会場での写真撮影は可能ですが、フラッシュ撮影、接写、動画撮影は禁止なので気を付けましょう。
各テーマはゆるやかにつながっており、時系列ではないので、行き戻りしながら自由に作品鑑賞ができる空間となっています。
前述したように会場には作品番号以外の作品名、制作年代、解説などの情報がないので、どっぷり作品に集中できるようになっています。
ここからは写真中心にテーマごとに簡単に会場の様子をご紹介していきます。
「自 / 他」
一番最初の展示室のテーマは「自 / 他」。
自画像や大竹さんの化身(アバター)、あるいは自己を形成してきたイメージの群れがずらりとひしめく壁で始まります。
注目は最初期(9歳の頃の制作)のコラージュ・ワーク<「黒い」「紫電改」>。※画像右中央
成人してからの作品が周りに並んでいますが、不思議と違和感はあまりありません。
むしろこんな幼い頃からコラージュ・ワークに取り組んでいたことにびっくりします。
そしてその奥の広い展示室にあるのは、象徴的なサブタイトルが付された近年の大作<モンシェリー:スクラップ小屋としての自画像>
ドクメンタ13において屋外で展示され、大きな話題を呼んだ作品です。
小屋にはギターが設置され、定期的に音を奏でています。
その裏には巨大なスクラップブックがあります。
このテーマには最初期から近年の作品までおよそ60年の幅が凝縮されています。
「記憶」
記憶という行為ないし機能に強い関心を抱いてきた大竹さん。
記憶とは外部の刺激を取り込み、それが保存され、必要に応じて再生されること。
印刷物やゴミとされるようなものまで、ありとあらゆるものを貼り付け、作品の中にとどめていく制作は、それ自体が忘却に抗う記憶術かのようです。
「時間」
時間も素材のひとつと捉えています。
さまざまなものに貯蔵された時間を拾って、集めて、指でノリを塗りつけて、貼り合わせ、重ねています。
この「網膜」シリーズの制作年は30年もの幅があり、驚くほど長大な時間の経過が1点の作品中に収められています。
一方で時間は不確定な偶然を呼ぶ素材として利用した作品が<4つのチャンス><赤いヘビ、緑のヘビ>の2点。
30分という制限時間を設けて描かれた作品となっています。
「移行」
大竹さんはロンドン、ニューヨーク、ナイロビ、そして日本の津々浦々へと旅を繰り返してきました。
その各地から土着的な素材を集めてきましたが、特に日本のローカルな図像がよく登場します。
そして「移行」は自身が身体的に場所を移すことだけでなく、制作方法でもあります。
美術館の入り口に設置された<宇和島駅>を代表とするように、作品のほとんどは模写や切り貼りなど、元あった場から転移させることで成り立っています。
「夢/網膜」
露光ミスのために捨てられたポラロイド写真が、「当時漠然と頭の中に描いていたイメージをあまりに忠実に再現していること」を発見。
これをさらに傷つけたり引き伸ばしたりしてから、その上に透明なプラスチック樹脂をのせ、どろどろとした質感とつるつるの色彩がそれぞれ独立したまま重なり合った絵画を作りました。
こうして「頭の中のイメージ」が再現され、20代の頃から続けている夢日記に現れる情景もまた「既にそこにあるもの」として収集対象のひとつになっています。
「層」
まず大量のスクラップブックが展示されている通路を通ります。
その後、印刷製本技術の粋を凝らした豪華本や、既製印刷物のカラーコピーを編集して綴じた手製本などを紹介しています。
大竹さんはかつてロンドンの街頭で見たポスター貼りの職人を見て興奮した記憶について語っております。
ポスターが貼られた壁の上からそのまま次のポスターを貼っていくと、時間の経過が蓄積されるとともに、覆われた下層が消えていきながらも気配を残し、その残った気配こそが重要なのだそうです。
「音/音響」
会場を2階に移動すると、音をテーマにした部屋があります。
大竹さんにとっては音も採集される素材の一つ。
注目は1980年にロンドンでアーティストのラッセル・ミルズらと行ったサウンド・パフォーマンス、ステージそのものを作品化した大作<ダブ平&ニューシャネル>。
ここの小屋から大竹さんが操作するようです。
2階廊下のモニターに実際の演奏されている映像を見ることもできます。
そして小型エレキ・ギターの付属したスクラップ・ブックと
最新作の<残景0>(2022年)でこの展覧会は締めくくられます。
「21世紀のBUG男 画家・大竹伸朗」
2階の展示室前にはNHKで放送された番組「21世紀のBUG男 画家・大竹伸朗」を8K映像で見ることができます。
椅子も用意されており、座ってゆっくり鑑賞できます。
ただ90分もあり、予定があったので私は少しだけ見てスルーしてしまいました。
もし興味がある人はスケジュールに余裕を持っていきましょう。
特設のグッズショップについて
美術館のエントランスロビーに特設ショップがあります。
かなり豊富な種類の大竹さんグッズが販売されています。
図録はまだ完成しておらず予約受付中です。
ショップ向かいの壁に台割があり、だいぶ特殊な図録なんだなと。
他にはニューシャネルのトートや缶入りキャンディ、アパレルやノート、クリアファイル、マスキングテープなどさまざまなアイテムが売っています。
個人的には靴下が気になったので購入。
チラッと見えたらかわいいと思いません?
「大竹伸朗展」の混雑状況、所要時間に感想
私は祝日の午前中に行って、並ばずに入場できました。
展示室は多少人はいるものの、そこまで混雑しておらず快適に作品鑑賞ができました。
ゆっくり写真をとりながら会場を回って、所要時間は大体1時間半くらいです。
NHK映像などを全て見ると3時間は必要だと思います。
作品解説などや順路がないので集中して作品空間に没頭できる良い展覧会でしたが、あまり大竹伸朗さんについて詳しく知らない人には難しいかも??
ということで、「大竹伸朗展」の超個人的なオススメ度は…。
★★★☆☆
あくまで私個人の感想ですが、参考にしていただければ幸いです。
これからも少しずつアートやファッション関係の記事を書いています。
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