渋谷BEAMギャラリーで始まった体験型展覧会「恐怖心展」。
ホラー作家・梨(なし)氏とホラー演出集団「闇」、テレビ東京プロデューサー・大森時生氏が手がける新企画です。
過去に東京・名古屋で約10万人を動員した「行方不明展」のクリエイター陣による展示会で、「恐怖心」をテーマにした内容が特徴です。
「恐怖心」とは生命の危険に直結する怖さだけでなく、一見恐ろしい対象でないものにも湧く漠然とした不安や嫌悪感を指します。
実際、展覧会では「先端」「閉所」「視線」といった身近な事柄に潜む恐怖を題材とし、映像や音響、実物展示を組み合わせたリアルな演出で来場者に恐怖体験を促します。
目を引くビジュアルや不気味な雰囲気がSNSで話題になり、連日多くの来場者が詰めかけるほど注目度の高いイベントとなっています。
本記事では渋谷BEAMギャラリーで開催中の「恐怖心理展」について、アクセスやチケットなどの概要から、混雑状況や所要時間、販売されているグッズ、そして個人的な感想をまとめています。
これから「恐怖心理展」に行こうとしている方の参考になれば幸いです。
展覧会の概要

会期 | 2025年7月18日(金)~8月31日(日) |
開館時間 | 11:00~20:00 (最終入場は閉館30分前まで) |
料金 | 2,300円(税込) (小学生以上有料/未就学児は無料) |
会場 | 渋谷 BEAM ギャラリー(渋谷駅から徒歩約5分) |
住所 | 東京都渋谷区宇田川町31-2 |
チケットについて
チケットは当日窓口での販売はないため、事前にローソンチケットかチケットぴあで購入する必要があります。
また、下記の日程は日時指定制となりますのでチケット購入時に行きたい日時を選ばなければなりません。
土日祝日 | 7/19(土)、7/20(日)、7/21(月祝)、7/26(土)、 7/27(日)、8/2(土)、8/3(日)、8/9(土)、8/10(日)、8/11(月祝) 、8/16(土)、8/17(日) 、8/23(土)、8/24(日)、8/30(土)、8/31(日) |
お盆期間 | 8/12(火)、8/13(水)、8/14(木)、8/15(金) |
所要時間に混雑状況

私は日曜の17時〜行きました。
渋谷BEAM一階のエレベーター前から整列して入場していきます。
展示スペースの大きさはBEAMギャラリー4階全体を使っており、予想しているより広かったです。
車椅子・ベビーカーでの入場も可能ですが、建物の構造上一部バリアフリー対応していない箇所があるため注意が必要です。
また、トイレは場内になく、事前に済ませる必要があります 。
私の行った日はすでに日時指定券が完売しておりましたが、やはり会場内はかなり混雑しておりました。
展示物によっては並んでみる必要があったりもします。
会場内は写真撮影、動画撮影が可能です。
顔を黒塗りできるフォトスポットも数箇所ありました。
入場してから退場までの所要時間はだいたい1時間半くらいでした。じっくり見たら2時間くらい、サクサクみる人でも1時間近くはかかるのでは無いかと思います。
展覧会の内容

会場は4つのテーマエリアに分かれており、それぞれ異なる「恐怖心」を体験できます。
各エリアでは写真や映像、音、匂い、実物オブジェが巧みに配置されており、来場者は五感を通して“恐怖”を感じ取る仕掛けになっています。
ここから実際に会場で撮影した写真を中心に展示内容をご紹介します。
ネタバレが嫌な方はご注意ください。
また、動画にまとめてInstagramでも紹介しておりますので、よかったらそちらも見ていただけると嬉しいです。
存在に対する恐怖心
エントランスを抜けると薄暗い廊下があり、その先に「存在に対する恐怖心」のエリアが広がります。
ここでは目に見える「実体」に対する恐怖がテーマで、鋭利なものへの恐怖を表現した展示が特に印象的でした。




例えば、ハサミや鉛筆、錐(きり)などの鋭利な物体が壁一面に所狭しと並べられ、すべて先端がこちらに向いた状態でアクリルケース越しに展示されています。

この「先端恐怖」のコーナーでは、実際には安全に保護されているにも関わらず、ギラリと光る尖った刃先が視界に入るだけで身体がゾクッと震えました。



ほかにも、頭のない人形に、天井から水が落ちるコップ、巨大な風船、古い着ぐるみなどの展示があります。




普段なら無害なはずの存在に対する違和感が不気味な雰囲気を醸し出しています。


社会に対する恐怖心

続いて「社会に対する恐怖心」のコーナーでは、人間関係や社会的つながりから生まれる漠然とした恐怖が扱われます。


具体的には、人とのコミュニケーションや集団生活にまつわる不安がさまざまな展示で表現されていました。





奥に進むと、隙間から電話機が覗くブースがあり、一定間隔で電話の呼び出し音が鳴り響きます。電話をかけたり受けたりする際に感じる緊張や不安を再現しているそうで、着信音が鳴るたびにその場がざわめくような気配を感じました 。

汚い毛髪が床に落ちているなと思ったら、その上の液晶には美容師が投稿した体験談を元に再現したドラマが流されています。


また「笑い声に対する恐怖心」エリアでは、人々の冷たい笑い声が収録された音声が流れます。

さらに「忘却に対する恐怖心」のコーナーには、小さな文字でびっしりと執筆された日記が展示されており、過去を忘れてしまうことへの恐怖を暗示しています。
そのほか、「老化に対する恐怖心」を表現したブースでは、20代の男性が何かに怯えているというエピソードとともに抗加齢サプリの空き瓶が山積みにされています。

大量の薬瓶が並ぶ様子は、誰しも避けられない加齢と老いへの不安を象徴しているようでした。

また、個人ブロガーが推すという臭い測定器(デオドライザー?)が目立つように展示されており、体臭や汗といった「臭気」に関する恐怖を取り上げていることも興味深かったです。
空間に対する恐怖心

さらに進むと「空間に対する恐怖心」のコーナーに入ります。

ここでは「ある場所や空間そのもの」にまつわる恐怖がテーマで、閉所・高所・海洋など、広い意味での場所に関連した展示が並んでいました。

狭い通路には、暗闇の中で押し寄せる波の音が鳴り響く映像作品が設置されています。ダイビング中にパニックに陥ったダイバーの主観映像で、水中の不安定な映像が視界をぐらつかせ、狭く閉じ込められたような感覚になります。

その先には病院の匂いが充満したコーナーもありました。脱脂綿に消毒液のような匂いを染み込ませたオブジェが置かれ、病院という閉鎖的な場所や医療行為への恐怖心を五感で訴えかけてきます。

他には、古びた布団や畳を通路の床に敷き詰めた展示(「汚れに対する恐怖心」)もあり、視覚だけでなく肌に触れる感覚からも不快感を与えてきます。

映像では、映画監督・近藤亮太氏による監修作品が随所で流されており、いずれも立ち止まってじっくり見入ってしまうほど緻密に作り込まれていました 。
概念に対する恐怖心

最後は「概念に対する恐怖心」のエリアです。ここでは「死」や「幸せ」「廃棄(ごみ)」「無限」といった抽象的・普遍的な概念そのものに焦点を当てています。

はじめの「鏡に対する恐怖心」は布で被さった鏡に囲まれ、ガラスの床の下には割れた鏡が敷き詰められて思わず目を背けそうになります。

「幸せに対する恐怖心」を描いた展示もとても印象深かったです。

SNSで『不幸自慢』がバズったインフルエンサーの投稿を引用したパネルでは、彼女が活動休止直前に「もう『幸せ』だと言うのが怖いです。
フォロワーの数がそのまま『自分の不幸を願う人の数』みたいに思えて…」とつづっています。すでに現実の恐怖心を乗り越えて別ステージに進もうとする彼女の言葉から、この恐怖心の根深さが伝わってきました 。

また「廃棄に対する恐怖心」のコーナーでは、ワンルームマンションに住む大学生が“いつか使うかも”との思いから捨てられずに溜め込んだごみの山が展示されていました。コンビニ弁当の空き容器、古雑誌、衣類などが無造作に積み重ねられ、強烈な異臭まで演出されています。

一見ただのゴミの山ですが、「捨てる=大切な思い出を失う」という不合理な恐怖心によって生まれた異様な光景であると解説されており、見る者に考えさせる迫力がありました。





隠れ展示物やフォトスポット

会場のいたるところには、ぱっと見では展示とは気づかない「隠れ展示物」も仕掛けられています。

恐怖心を抱く人たちの思いを綴った手書きの手紙やレシートなどが床に落ちており、来場者がそれらを探しながら鑑賞できます 。


また、吊り下げられた黒い球体のオブジェを使ったフォトスポットもあります。

オブジェの後ろに立って撮影すると、展覧会ポスターのように顔が黒い影で隠れ、不気味な記念写真を撮れる仕組みになっていました。
グッズショップの紹介

出口付近には物販コーナーがあり、展覧会オリジナルグッズが販売されています。

Tシャツにトートバック、ステッカーやクリアファイル、そして公式パンフレットなど恐怖展ならではのアイテムが並び、ついつい手に取りたくなります。

また、100円を入れて回すガチャガチャも設置されており、展示作品にちなんだ小さなおまけがカプセルで当たります。

筆者もつい余分に持っていた100円玉を投入し、「どんなモノが出てくるのか……?」とドキドキしながらハンドルを回してしまいました。

展覧会の感想
「恐怖心展」は単なるホラー演出ではなく、誰もが心の奥底にもつ“恐怖心”に向き合うことを目的にしたユニークな展覧会です。
鮮烈なビジュアルや五感に訴える体験型展示で驚かされる場面も多いのですが、同時に自分の過去の経験や価値観を振り返るきっかけにもなります。
テレビ東京プロデューサーの大森氏は「喜怒哀楽に属さない内向きの感情である“恐怖心”に焦点を当て、自分がどんな状況で不安になるのかを先取りして学ぶことで、精神的な防御力がつく」と語っています。
闇代表の頓花氏も、「恐怖心を知ることで世界の不思議に気付くきっかけにしてほしい」と、本展の意義を説明しています 。
筆者自身、初めて訪れた時は暗闇にライトが向けられるだけで息をのんでしまいましたが、終わってみると恐怖心が少し身近に感じられ、自分と向き合う貴重な体験になりました。
梨氏も「展示はコミュニケーションツールになる」と話しており、一度は一人でじっくり鑑賞した後、二度目は家族や友人を誘って「自分は○○が怖い」と話し合いながら観るのもおすすめだそうです。
夏休み期間中に会場は毎日開館しているので、興味のある方は早めにチケットを押さえて足を運んでみてはいかがでしょうか。
ということで、「恐怖心理展」の超個人的なオススメ度は…。
★★★★☆
あくまで私個人の感想ですが、参考にしていただければ幸いです。
これからも少しずつアートやファッション関係の記事を書いています。
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