「もの派」の代表作家・李禹煥(リ・ウファン)の大規模回顧展「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」が開催中です。
李禹煥自らが展示構成を考案し、初期の作品から最新作まで、60年以上におよぶ創作の軌跡をたどることができると、開催前から注目度の高い展覧会でした。
先日早速行ってきましたので「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」の会期やチケット、音声ガイドなどの概要、展示内容の簡単な紹介、所要時間や混雑状況、グッズなどの紹介と、私個人の感想をまとめました。
展覧会の概要
会期 | 2022年8月10日(水)~11月7日(月) ※毎週火曜日休館 |
開館時間 | 10:00~18:00 ※毎週金・土曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで |
会場 | 国立新美術館 企画展示室1E |
住所 | 〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2 |
国立新美術館は東京メトロ千代田線乃木坂駅から直結なので、猛暑日でも外の暑さを気にせず足を運べます。
チケットについて
チケットの価格は以下の通りです。
- 一般:1,700円
- 大学生:1,200円
- 高校生:800円
- 中学生以下:無料
チケットは当日会場で購入できますが、チケット購入で並ぶこともあるので事前にオンラインでチケットを購入するのがお勧めです。
オンラインでは「国立新美術館オンラインチケットサイト」または「チケットぴあ」から購入できます。
チケットぴあは事前に発券が必要ですが、国立新美術館オンラインチケットはスマートフォンでQRコードを表示するだけで入場できます。
音声ガイドについて
「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」では無料で音声ガイドが利用できます。
お手持ちのスマートフォンを使い、開場QRコードを読み取るだけで簡単に利用できます。
ナビゲーターは俳優の「中谷美紀」さん。
収録時間は約30分で、李禹煥さん本人や担当キュレーターによる解説も収録されており、とても充実した内容になっています。
一見難解な作品も多いので、無料の音声ガイドが利用できるはとても助かりました。
集中して音声ガイドを聞きたい方はイヤホンやヘッドホンをぜひ持って行ってください。
※ご希望の方には音声ガイド機の貸し出しもあるそうです。
李禹煥について
1936年に韓国慶尚南道に生まれ、ソウル大学校美術大学入学後の1956年に来日しました。
その後、日本大学文学部で哲学を学び、1960年代末から始まった戦後日本美術におけるもっとも重要な動向の一つ「もの派」を牽引した作家として広く知られています。
2010年には直島に李禹煥美術館が開館し、他にも韓国釜山、フランスアルルと世界中に3つの個人美術館があります。
本展は日本では17年ぶりの美術館個展となっており、直島の李禹煥美術館や原美術館、東京国立近代美術館、国立国際美術館、東京都現代美術館、神奈川県立近代美術館、世田谷美術館、豊田市美術館など日本中の美術館から李禹煥の作品が集合しています。
展示内容について
会場は前半の彫刻と後半の絵画の2つのセクションに大きく分かれています。
彫刻と絵画の展開の過程が、それぞれ時系列的に理解できるように展示されています。
会場内は撮影不可。撮影可能なのは野外にある2作品のみとなります。
前半の彫刻作品の紹介では、1968年頃から制作された主に石や鉄、ガラスを組み合わせた立体作品の〈関係項〉シリーズを中心に紹介。
展示室の床面に石の板が敷き詰められた作品<関係項―棲処(B)>や、土のうえに透明のアクリル板が敷かれた床に3つの透明の円筒形の容器が置かれた作品<関係項─プラスチックボックス>、鏡面仕上げの細長いステンレス板の両側に石が置かれ、その上を歩きながら、鏡面に映る風景の移り変わりを体験することができる<関係項─鏡の道>など、空間全体が作品となっており、体全体で体感できるものもあります。
瓦礫や砂利など足元が不安定だったり、鏡のようになっている床面があるのでスカートやヒールなどでの鑑賞は注意が必要です。
後半の絵画作品の紹介は、地塗りされたキャンバスに規則正しく線や点が描かれている<点より><線より>から始まり、描く行為が極端に限定され、筆跡と空間の余白のあいだに緊張感が生まれ、描かれたものと描かれていないものの響き合いを感じることができる<照応><対話><応答>シリーズへと続きます。
展覧会の最後には展示室の壁面に描かれた作品<対話-ウォールペインティング>が展示されています。
唯一の大きなストロークが壁から浮遊しているように見え、余白が展示室全体に及んでいるように感じられる作品です。
撮影可能な野外作品
撮影可能な作品は2点。
1つは展示のちょうど中間地点にある野外展示場にある<関係項ーアーチ>です。
2014年にフランスのヴェルサイユ宮殿で初公開された巨大なアーチ状の野外彫刻<関係項―ヴェルサイユのアーチ>の別バージョンとなっており、2019年にはそのバリエーションとして直島の李禹煥美術館に2019年に設置された「無限門」があります。
ステンレス製のアーチの両脇には石が置かれ、さらにその下には鏡面仕上げのステンレス板が設置されています。
その上を歩き、巨大なアーチを通り抜けると、日常の空間が非日常の空間へと変わり、周りの風景に新鮮な印象を受けることが実感できます。
見る向きを変えるだけでも印象が変わります。
違う天候、時間で見てもまた表情が変わりそうなので機会があればまた観に行きたいと思います。
もう1つの作品は国立新美術館正面入口前に展示された<関係項─エスカルゴ>です。
先日まで吉岡徳仁の茶室「光庵」が設置されていた場所にあり、入場料不要で誰でも鑑賞できます。
ステンレスの円筒形のものが、エスカルゴつまりカタツムリのように渦を巻いています。砂利から先へは入れないように見えますが、実は作品の内部へ入れます。
作品内部は鏡面仕上げになっており、入る込むことで人間の無限への恐れ、希望を体感できます。
作品リストやガイドマップにが、この作品の位置については書いておらず、猛暑を避けて地下鉄乃木坂駅の直結した改札口から美術館へ向かう見逃してしまうかもしれないので、要注意です。
グッズショップについて
会場の最後にはグッズショップがあります。
グッズショップには展覧会図録をはじめ、ポストカード、Tシャツにトートバック、ポスターなどさまざまなグッズが販売されています。
コーヒーのドリップパックや、和菓子が売っているのが意外でした。
ポスターは展示されていた作品のものがあったら欲しかったけど、ありませんでした。残念。
所要時間や混雑状況、個人的な感想
私は祝日の午前中に行ってきました。
会場前での並びはなく、展示室内もそこまで混んでいないので作品をじっくり見ることができました。
所要時間はだいたい1時間。作品数はそれほど多くないので早い人は30分かからないかも。
空間全体を使っている作品が多いので、混雑していない時間帯を狙っていくのが良さそうです。
さまざまな美術館などでよく目にしていた李禹煥の作品。
正直いままで難解だと思っていた作家でしたが、無料の音声ガイドも利用でき、作品を時系列に見て、かなり理解を深めることができたと思います。
無料の音声ガイドが付いた回顧展なので、李禹煥を知らなかった人や現代アート初心者にも楽しめると思います。
ということで、「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」の超個人的なオススメ度は…。
★★★★☆
あくまで私個人の感想ですが、参考にしていただければ幸いです。
これからも少しずつアートやファッション関係の記事を書いています。
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