世界中で愛されるフィンセント・ファン・ゴッホ(1853–1890年)の特別展が、2025年9月12日から東京都美術館で開催中です。
本展はゴッホ自身ではなく、彼の家族のコレクションに焦点を当てたユニークな内容が特色。
弟テオ、その妻ヨー、甥のフィンセント・ウィレムが生涯をかけて作品や手紙を守り抜いた歴史を、30点超の名画や日本初公開の手紙4通などを通じて追体験できます。
2025年は日本各地でゴッホ展が続々企画される“ゴッホ・イヤー”ですが 、中でも本展は家族の絆に光を当てた切り口がひときわ興味深いものでした。
本記事では上野にある東京都美術館で開催中の「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」について、アクセスやチケットなどの概要、所要時間や混雑状況、販売されているグッズ、そして個人的な感想をまとめています。
展覧会の概要
会期 | 2025年9月12日(金)~12月21日(日) |
開室時間 | 9:30~17:30(金曜は20:00まで) ※入室は開室の30分前まで |
休室日 | 月曜日、 9月16日(火)、 10月14日(火)、11月4日(火)、 11月25日(火) ※9月15日(月・祝)、9月22日(月)、10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)、11月24日(月・休)は開室 |
会場 | 東京都美術館 |
住所 | 〒110-0007 東京都台東区上野公園8−36 |
チケットについて

チケットの料金は以下になります。
一般 | 2,300円 |
大学生・専門学校生 | 1,300円 |
18歳以下、高校生以下 | 無料 |
土日,祝日および12月16日(火)以降は日時指定予約制となります。

空きがあれば当日窓口で購入もできるようですが、予め公式オンラインチケットサイトや各種プレイガイドにて事前に購入がおすすめです。
音声ガイドについて

本展には有料の音声ガイドが用意されています。
音声ガイドのナビゲーターは俳優・アーティストの松下洸平さんと、俳優の中島亜梨沙さんです。
コンテンツ数は19、収録時間は約35分です。
音声ガイドの料金は会場レンタル版だと650円。アプリ配信版だと700円となります。
私が行った時は会場での音声ガイドレンタルは50円お得ではありますが少し並んでいたので事前にアプリでインストールがおすすめです。
アプリ版はアコースティガイド公式アプリ「聴く美術」をダウンロードいただき、アプリ内で「ゴッホ展」の音声ガイドコンテンツを選択して決済、ダウンロードするだけで利用できます。
ゴッホについて
フィンセント・ファン・ゴッホ(1853–1890年)はオランダ出身の画家で、わずか37年の生涯で約2000点もの油彩画と素描を残しました。
生前は評価が低く、画商だった弟テオが唯一の理解者でしたが、フィンセント没後にテオも間もなく他界。
残された膨大な作品と手紙は、テオの妻ヨーによって整理・発表され、やがて甥フィンセント・ウィレムが財団を設立して美術館開館に尽力しました。
ゴッホはパリ滞在中に日本の浮世絵にも深く魅了され、鮮やかな色彩や大胆な構図を自身の画風に取り入れました。
作家本人は「100年後の人々にも自分の絵が見られること」を願ったと伝えられ、その“夢”は家族の尽力によっていまに至るまで守り継がれています。
所要時間に混雑情報

私は敬老の日の午後に行きました。日時指定制ですが、当日券購入窓口にかなり長い列ができておりました。
入場口前も列ができておりますが、そこまで待たずに入場できます。
会場内はかなり混雑していて、展示作品の前にはどれも人が集まっています。
解説やキャプションなど近づかなければ読めないのですが、会場内にあるQRコードより解説などもスマートフォンで確認できるようになっており、便利でした。
入場してから出るまでの所要時間は1時間半程度。混雑もあったので、思ったより時間はかかりました。
ちなみに会場内での写真撮影は不可となります。
展覧会の内容
本展はゴッホ家に受け継がれてきたコレクションの歴史を、5章構成で紹介しています。
第1章では家族の手元に残った作品群、第2章ではフィンセントとテオ兄弟の共同コレクション、第3章でフィンセント自身の油彩と素描を並べ、第4章でヨーによる作品の公開・売却活動、第5章で甥のフィンセント・ウィレムが財団を設立して収集を拡大した歩みをたどります。
会場にはフィンセントの初期から晩年までの作品約30点が展示されており、彼が晩年に至る変遷を時系列で追えます。
また、ゴッホ兄弟が収集した500点以上の浮世絵版画や、同時代の作家との作品交換を通じて得た画家作品も展示され、画壇の背景も垣間見られます。
例えば、展示室ではゴッホ晩年の《画家としての自画像》(1887–88年) が目玉として並びます。
スカーフの青と服のコバルト色が目を引くこの自画像は、義妹ヨーも「最も本人に似ている」と評した傑作です。
実際に作品の前に立つと、肉筆の筆づかいと絵具の質感が迫ってきて圧倒されます。
また、アルル時代の風景画も印象的です。
《浜辺の漁船、サント=マリー=ド=ラ=メールにて》(1888年6月)は南フランスの漁村の情景を大胆な遠近法と鮮やかな色面で描いており、画面から潮風が感じられそうでした。
この作品には浮世絵の影響も色濃く表れており、構図の大胆さや色彩感覚に日本的な要素が垣間見えます。
さらに《オリーブ園》(1889年11月)は、プロヴァンスの朝夕の澄んだ光を受けるオリーブ畑を詩情豊かに描いた作品です。
幾重にも重なるオリーブの木々がリズミカルに並び、地中海の香りまで漂ってくるような風景です。
この作品を描いたゴッホ自身も「田舎らしさを感じさせる作品になるはず」と手紙に書いており、自然への深い愛情が伝わってきました。
展示の最後には、日本初公開となるゴッホの手紙4通も注目ポイントです。
前衛画家ラッパルト宛ての書簡には新聞挿絵や芸術論が書かれており、ゴッホとテオ兄弟の18年にわたる交流や芸術観を知る貴重な資料となっています。
これらの展示によって、家族の献身がいかにゴッホの遺産を今日まで支えてきたかを実感できます。
撮影可能なイマーシブ・コーナー

ゴッホの描く世界観を特別に提供された高精細画像によって、イマーシブ(没入)空間でのデジタルアートとしてご覧いただけます。こちらのコーナーだけ写真撮影、動画撮影可能です。

高さ4メートル、横幅14メートル、奥行き5メートル以上というイマーシブ空間の新たなアート体験、未来絵と繋がれていくファンゴッホの世界を楽しめます。
販売されているグッズ

出口付近の特設ショップには、本展限定のオリジナルグッズが豊富に揃っています。

定番のクリアファイル(495円) や刺繍キーホルダー(2420円) 、ポストカード、図録などの文具から、ゴッホ作品をデザインしたトートバッグやTシャツまで幅広いラインナップです。


ミッフィーやリラックマなどサンエックスの人気キャラをゴッホ風に編みぐるみにしたアイテムもあり、子どもから大人まで楽しめます。

特に会場限定の「ひまわり缶」(1350円) は、本展ならではのお土産として大人気。SOMPO美術館の「ひまわり」をモチーフにしたクッキー缶で、会場での一番人気グッズでした。

また、オランダのファン・ゴッホ美術館公式コレクション「SKETCH!」の日本限定グッズや、浮世絵調のファンシー雑貨など、多彩な商品が用意されています。

またグッズショップを出たところにはラバーストラップのガチャポンも設置されていました。
美術館のレストランやカフェではコラボメニューも

東京都美術館内のカフェやレストランでは展覧会コラボメニューも楽しめます。
せっかくなので1Fにある「カフェ アート」でコラボメニューの<リンゴのタルト バニラアイス添え>をいただきました。
同じく1Fにあるフレンチダイニング「レストラン サロン」と2Fにあるカジュアルレストラン「レストラン ミューズ」ではコラボメニューが楽しめるのでランチなどにご利用してみてください。
展覧会の感想

本展を通じて、ゴッホの鮮烈な作品世界とそれを守り抜いた家族の物語が一層身近に感じられました。
画面いっぱいにのびのびと描かれたゴッホ絵画の迫力はもちろん、展覧会全体が「画家の夢」を大切に伝えようとするストーリー性にあふれ、見応え十分です。
私も実際に会場で鑑賞して、コバルトブルーや黄色の鮮やかな絵具と熱い筆致に圧倒されました。
絵画ファンはもちろん、ゴッホを初めて知る人にも強く印象に残る展覧会だと思います。
ぜひ会場で、家族の手で後世へ受け継がれたゴッホの「夢」を感じ取ってみてください。
ということで、「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」の超個人的なオススメ度は…。
★★★☆☆
あくまで私個人の感想ですが、参考にしていただければ幸いです。
これからも少しずつアートやファッション関係の記事を書いています。
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