国立新美術館で「遠距離現在 Universal / Remote」展が開催中です。
国立新美術館が5年ぶりに自主企画したグループ展で、現在の社会のあり方に取り組んできたアーティスト8名と1組の作品を紹介しています。
本記事ではチケットやアクセスなどの概要、所要時間や混雑状況、そして個人的な感想をまとめています。
これから本展覧会に行こうと検討している方の参考になれば幸いです。
展覧会の概要
タイトル | 遠距離現在 Universal / Remote |
会期 | 2024年3月6日(水)〜6月3日(月) |
休館日 | 火曜日 ※4月30日(火)は開館 |
開館時間 | 10:00〜18:00 ※毎週金・土曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで |
会場 | 国立新美術館 企画展示室1E |
住所 | 〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2 |
本展覧会は新型コロナウイルスのパンデミックを起点に計画されました。
熊本市現代美術館や広島市現代美術館とともに企画され、熊本でスタートして東京に巡回してきました。
東京での会期終了後は広島へと巡回(6月29日〜9月1日)する予定となっています。
チケットについて
チケットの料金は以下の通りです。
- 一般 1,500円
- 大学生 1,000円
- 高校生・18歳未満 無料
チケットは国立新美術館の会場入り口で当日券を購入するか、オンラインで事前購入できます。
日時指定制ではなく、当日でも、オンラインで購入しても価格は同じです。
混雑状況、所要時間について
私は展覧会始まってすぐの土曜日、午前中にいきました。
そこまで混んではいなく、快適に作品鑑賞できます。
ちなみに映像作品が多く、全て見ようとすると3時間は必要になります。
私は短い映像作品は全部見ましたが、所要時間は1時間半くらいでした。
尚、写真撮影はほとんどの作品で可能でした。
展覧会の内容について
少しずつ忘れ去られようとしているパンデミックの日々を、展覧会で振り返るという試みをしています。
それではここから実際の展覧会の様子を紹介されているアーティスト順にご紹介していきます。
井田大介
最初の展示室には井田大介さんの作品が3つ展示されています。
紙飛行機が落ちそうになりながらも円を描きながら飛び続ける<誰が為に鐘は鳴る>
気球が燃えながら飛んでいく<イカロス>
ブロンズ彫刻にひたすら炎を浴びせ続ける<Fever>
徐冰(シュ・ビン)
ネット上に公開されている監視カメラの映像の繋ぎ合わせで作られた<とんぼの眼>
こちらは81分の作品で上映時間が決まっております。
上映時間以外は約10分間のメイキング映像が流されています。
トレヴァー・パグレン
トレヴァー・パグレンは3シリーズの作品群を展示しています。
大陸間を海底でつなぐ通信ケーブルの上陸地点の風景を撮影した<上陸地点>シリーズと
作家自身が海に潜り、海底に敷設されているケーブルを撮影した<海底ケーブル>シリーズ。
どちらも見えないインターネットの物質的な存在感を明らかにする作品です。
また、AIが他のAIのために作ったイメージ<幻覚>シリーズも展開しています。
池主麻衣子
映像、インスタレーション、パフォーマンス、テキストなどさまざまな手法を組み合わせて、新しいかたちの文学的な体験となる作品を制作している地主麻衣子。
本展では作家自身が「心の恋人」とする詩人・小説家のロベルト・ボラーニョに宛てた手紙のような5章からなる約40分の映像作品<遠いデュエット>を展示しています。
ティナ・エングホフ
デンマーク出身で日本初出品の作家ティナ・エングホフ。デンマークでは孤独死した人の身元引受人を探すために新聞に小さな記事を掲載するそうです。
そこから着想を得た<心当たりあるご親族へ>シリーズを展示しています。
色鮮やかな壁紙など、明るい印象を受けますが、よく見ると不自然な染みなどが見つけられ、その場としを結びつけます。
ジョルジ・ガゴ・ガゴシチェ、ヒト・シュタイエル、ミロス・トラキロヴィチ
2019年にベルリンで開催されたヒト・シュタイエルの個展で発表されたインスタレーション作品<ミッション完了:ベランシージ>を再構成して展示しています。
ファッションをキーワードに格差という風景を永遠に見せ続ける資本主義の堂々巡りの旅を説いています。
木浦奈津子
一貫して風景、特に日常の景色を描き続ける木浦奈津子。
<うみ><こうえん><やま>とシンプルなタイトルの油絵たちはどこか見たことがあるような不思議な魅力を持っています。
作家自らの生活圏を中心に心を捉えた風景をまず写真に収め、じっくりドローイングを重ね、そのまま迷いなく一気に油彩を仕上げているそうです。
不用意なものが削ぎ落とれ、実際に存在している風景が元ですが、匿名性を帯びて鑑賞者の記憶の中の景色と重ね合わさります。
大小さまざまな作品が展示されていますが、この配置も作者自ら考えているそうです。
エヴァン・ロス
自身のコンピューターのキャッシュに蓄積された画像を用いたインスタレーション<インターネット・キャッシュ自画像>シリーズで知られるエヴァン・ロス。
本展で展示されている<あなたが生まれてから>は、作家の次女が生まれた日以降にキャッシュされた画像が用いられています。
そこには作家が閲覧したであろうニュース記事や動画配信サービスのサムネイルなどが並びますが、同じページ内にあってもほとんど目を留めない企業のロゴやバナー広告の画像も同等に含まれています。
チャ・ジェミン
多岐にわたる媒体で制作を続けているチャ・ジャンミンも日本初出品の作家です。
本展には約15分の映像作品<迷宮とクロマキー>を展示。
配線というめに見えないインフラを作る作業員の姿から、大量の情報を支える個人の労働を浮かび上がらせています。
展覧会の感想
パンデミックの日々を作品を通じて振り返るというテーマの本展。誰しもがこの数年前に体験してきたことなだけに、とても入り込みやすくて面白かったです。
解説も充実していたので、現代美術は難しい!となる人も少ないと思います。
ということで、「「遠距離現在 Universal / Remote」」の超個人的なオススメ度は…。
★★★☆☆
あくまで私個人の感想ですが、参考にしていただければ幸いです。
これからも少しずつアートやファッション関係の記事を書いています。
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