作者16名の個性を堪能「アナザーエナジー展」【感想や所要時間】

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作者16名の個性を堪能「アナザーエナジー展」【感想や所要時間】 アート
作者16名の個性を堪能「アナザーエナジー展」【感想や所要時間】
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 森美術館で開催されている「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人」。最年長は105歳。今なお世界各地で挑戦を続ける、70歳以上の女性アーティスト16名の作品を集めた展覧会です。

 しかし、これだけを聞くと

  • ジェンダーや人種など、メッセージ性の強い作品が多そう
  • 16名の作品が一挙にまとめられているので1人ずつの紹介は少なそう
  • 16名分の作品全て見終えるのにはかなり時間がかかりそう

などの疑問から、展覧会まで足を運ぶのはちょっと…と思う方もいるかもしれません。

 そんな疑問に、「現代アートにハマり15年以上」「年間巡るアートスポットは50か所以」「小難しい作品より単純にすごいと感じられる作品が好き」な私が、実際に展覧会に行ってきた感想と共にお答えします。

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アナザーエナジー展を見た率直な感想

 まず、素直に思ったのがタイトルの通りに「エナジー溢れる作品」が多いです。たしかに展覧会のテーマを知るまで、70歳以上のアーティストたちを集めた展覧会だと想像もしていませんでしたが、実際に作品から溢れる作者たちのエナジーを受けとめ、若々しさすら感じました。それが全て70歳以上の作者のものだと知り、改めて驚きます。

 そして、懸念していたようなメッセージが強く、小難しい作品は少なかったように思えます。ダイナミックだったり、繊細だったりと,一目で「すごい」と思える作品が多かった印象です。

 ここで個人的に気に入った作品・作者を少しだけご紹介。

フィリダ・バーロウ <アンダーカバー2>

フィリダ・バーロウ <アンダーカバー2>
フィリダ・バーロウ <アンダーカバー2>

 高さの異なる28本の脚によって支えられた、キャノピーのような構造の大型彫刻作品。一見不安定に組み合わされた工業用素材と赤とオレンジといった鮮やかな色の布の組み合わせは勢いがあり、力強いエネルギーを感じさせるとともに、遊び心あふれる印象を与えます。

リリ・デュジュリー <無題>

リリ・デュジュリー <無題>
リリ・デュジュリー <無題>

 2本の鉄の棒が直立した鉄板に両側からよりかかっています。鉄と棒と金属板は溶接されておらず、互いに支えあうことでバランスを保ち、そこで生まれる絶妙な均衡が、静謐な詩情を作り出します。森美術館のこの展示スペースは毎回素敵ですよね。

アンナ・ボギギアン <シルクロード>

アンナ・ボギギアン <シルクロード>
アンナ・ボギギアン <シルクロード>

 天井から無数の絹糸とともに吊るされた絵画。そこにはシルクロードを通る商人や機織りする人々などが描かれています。ゆらゆらと揺れ動き、下に置かれた鏡に映りこみ、とても幻想的です。

センガ・ネングディ <ワープ・トランス>

センガ・ネングディ <ワープ・トランス>
センガ・ネングディ <ワープ・トランス>

 ジャカード織機に使うパンチカードでできたスクリーンに映像を投影。映像と音声は、織物工場を訪れ収集して組み合わされています。パンチカードを通した光がキレイで、独特なリズムの音声がとても心地良かったです。

ミリアム・カーン <美しいブルー>

ミリアム・カーン <美しいブルー>
ミリアム・カーン <美しいブルー>

 メインビジュアルにも選ばれていたミリアム・カーンの作品はどれも衝撃的でした。この作品は上部に余白を残し青く塗られ、両手を上げた人物がぼんやりと浮かんでいます。2015年のシリア難民をはじめとする欧州難民危機に応答した作品のひとつで、地中海を彷彿とさせる水色と、力なく海に沈んでいく人々の姿が同居しているようです。

 ご紹介した以外の作品も印象深いものが多かったです。雰囲気でも伝わればと思い、写真をいくつか抜粋して掲載しておきます。

(左)ロビン・ホワイト (右)アンナ・ベラ・ガイゲル
(左)ロビン・ホワイト (右)アンナ・ベラ・ガイゲル
(左)カルメン・ヘレラ (右)宮本和子
(左)カルメン・ヘレラ (右)宮本和子
(左)ベアトリス・ゴンザレス (右)三島喜美代
(左)ベアトリス・ゴンザレス (右)三島喜美代

アナザーエナジー展の作品の見せ方

 大体1つの展示室に1アーティストといった感じに作品とアーティスト紹介をしていました。展示室を分けることでしっかりとそれぞれのアーティストの世界観を表現しています。

 展示室のはじめにはアーティストの紹介文とインタビュー映像が流されており、限られたスペースでもしっかりと気になったアーティストを深堀りすることができます。またQRコードも用意されており、スマートフォンで作者についての紹介文を確認することができます。

作者紹介とインタビュー映像が用意されている
作者紹介とインタビュー映像が用意されている

 主要作品には説明文も用意され、作品の背景や作者のメッセージなど汲み取ることができます。

作品を全て見終えるまでの所要時間

 私が全ての作品を見終えるまでに要した時間は、だいたい2時間でした。私は作品を見るペースは早い方だと思うので、かなりのボリュームといってもよいでしょう。インタビュー映像を飛ばした作者もあるので、しっかり見るには3時間以上は必要かもしれません。時間がそんなに無いという方は、インタビュー映像を飛ばせば1時間くらいで見終えられるかもしれません。

最後に

 展覧会の概要を下記にまとめておきます。

展覧会概要
  • 会期:2021.4.22(木)~ 9.26(日)2022.1.16(日)会期中無休
  • 開館時間:10:00~20:00(最終入館 19:30)※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)
  • 会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
  • 料金 ※()内はオンラインサイトで購入時
    • [平日]
      • 一般        :2,000円(1,800円)
      • 学生(高校・大学生):1,300円(1,200円)
      • 子供(4歳~中学生) :700円(600円)
      • シニア(65歳以上) :1,700円(1,500円)
    • [土・日・休日]
      • 一般         :2,200円(2,000円)
      • 学生(高校・大学生):1,400円(1,300円)
      • 子供(4歳~中学生) :800円(700円)
      • シニア(65歳以上) :1,900円(1,700円)

 本展は、事前予約制(日時指定券)を導入しています。当日、日時指定枠に空きがある場合は、事前予約なしで入館できるそうですが、事前に専用オンラインサイトから「日時指定券」を購入したほうが安心です。私は日曜の13時~予約しましたが、混雑なく快適に見て回ることができました。

 エナジー溢れる16名ものアーティストの作品が一挙に見れる機会はめったにないのではないでしょう。私的にはボリュームたっぷりな内容で大満足でした。もし、この記事を見て「アナザーエナジー展」に興味を持ってもらったら幸いです。

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