横浜美術館は3年以上にわたる大改修を経て2025年2月にリニューアルオープンしました。その記念展のひとつとして、佐藤雅彦(1954~)の回顧展が開催中です。
広告、子ども番組、ゲーム、テレビ番組など多様なメディアでヒット作を連発してきた佐藤氏の展覧会は今回が世界初の大規模展覧です。展覧会タイトルは『新しい×(作り方+分かり方)』で、一人の人間が生み出した多彩な作品群を眺める驚きから、「どうやって作っているのか」を探る楽しみに誘います。
会場にはNHK『ピタゴラスイッチ』や湖池屋「スコーン」「ポリンキー」、NHK教育『0655/2355』、サントリー「モルツ」、NEC「バザールでござーる」など、佐藤氏が関わった代表作の展示や関連資料が並び、彼の「作り方を作る」というクリエイティブ哲学を体感でき、子どもも大人も楽しめる内容となっております。
本記事は横浜美術館で開催中の「横浜美術館リニューアルオープン記念展 佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)」について、チケットやアクセスなどの概要、所要時間や混雑状況、販売されているグッズ、そして個人的な感想をまとめています。
これから行こうと検討している方の参考になれば幸いです。
展覧会の概要

タイトル | 横浜美術館リニューアルオープン記念展 佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方) |
会期 | 2025年6月28日(土)〜11月3日(月・祝) |
休館日 | 木曜日 |
開館時間 | 10:00〜18:00 |
会場 | 横浜美術館 |
住所 | 横浜市西区みなとみらい3-4-1 |
横浜美術館はみなとみらい線「みなとみらい」駅から徒歩すぐ(JR桜木町駅からも約10分)というアクセスの良さも魅力です。
チケットについて
入場料は以下のとおりです。
- 一般:2,000円
- 大学生:1,600円
- 高校・中学生:1,000円
- 小学生以下:無料
当日のコレクション展(常設展)も本展チケットで観覧できます。
チケットは当日窓口での購入のほか、オンラインで事前購入が可能です。
開催時点では日時指定はありませんでしたが、人気の展覧会なので、当日窓口でのチケット購入に並ぶ可能性があるため、事前にオンラインでこの購入がおすすめです。
※週末は混雑のため、入場制限がかけられています。また日時指定制が導入される予定です。
公式サイトのお知らせ「佐藤雅彦展」入場制限について(7月5日・6日)
なお、展覧会固有の音声ガイドは発表されていませんでした。
佐藤雅彦氏について
佐藤雅彦(さとう・まさひこ)氏は1954年生まれのクリエイティブディレクター・映像作家で、東京大学教育学部卒の数学教育専攻出身です。
1977年に広告大手・電通に入社し、のちにCMプランナーとして独立。現在は東京芸術大学名誉教授も務めています。
キャリア初期から定規1本でグラフィックデザインの実験を重ねるなど「作り方を作る」姿勢を貫き、慶應義塾大学で教鞭を取るかたわらNHK教育『ピタゴラスイッチ』の監修など多方面で活躍しました。
広告業務時代には、湖池屋「スコーン」「ポリンキー」「ドンタコス」、サントリー「モルツ」、NEC「バザールでござーる」など数々のCMを生み出し、平成25年には紫綬褒章も受章しています。
またPlayStation用ゲーム『I.Q Intelligent Qube』(1997)など映像・ゲーム作品の企画も担当し、世代を超えて親しまれるコンテンツを手がけてきました。
所要時間に混雑状況

展覧会開幕すぐの週末お昼過ぎに行きました。
かなり混んでいて、入場まで多少並びます。
チケットを事前に購入しておかないとチケット購入にも少し待ちそうでした。
展示室もかなり混んでいて、設置されているシアターは座ってみるのは困難でした。
所要時間はだいたい2時間弱。全映像作品を見たわけではないので、すべて網羅するとしたら4時間以上は必要だと思います。
ちなみに写真撮影は一部可能ですが、動画撮影や、映像作品は撮影禁止です。

展覧会の内容

本展は0〜4の全5章で構成。佐藤氏自身が語る「作り方を作る」という創作哲学が随所に表現されています。

第0章の「方法論の萌芽」は、グラフィックデザインの手法を用いて制作活動をスタートさせた佐藤氏によるポスターやDM、雑誌エディトリアルなどが展示されています。










第1章の「ルールの確立」では、佐藤氏が定めた「方法論」と、それをもとに制作されてきた数々のプロジェクトを紹介しています。

約70本のCMをシアタールームで観た後、隣のシアタールームで「音から作る」というCM作りの基本ルールをわかりやすく教えてくれます。

第2章の「ルールからトーンへ」では1990年代のテレビCMやプロモ映像に焦点を当て、「トーン」によるブランディングを紹介します。
オート・ティーチィング・マシンと名付けられた自立型モニターなどを用いて代表的なルールを紹介しています。
同エリアには手がけたノベルティなども紹介しております。


第3章の「トーンがもたらした転機」では1994年に電通を退社し、商品から解き放たれて純粋に表現を追求してきた活動をフォーカス。

代表作であるゲーム「I.Q」の開発資料や、「だんご3兄弟」の誕生秘話が聞けるDシアターなどがあります。



第4章は「佐藤雅彦と佐藤雅彦研究室」というテーマで、大学での授業を通じて続けてきた活動をプロジェクト別に紹介しています。









書籍もまとめて展示。

最後には余分な劇場が設置されており、そこでは佐藤雅彦選抜映像作品集が観ることができます。


本展には特別展示として、あの「ピタゴラ装置」の現物が展示されています。

残念ながら撮影は禁止。
実物を前に映像を流しているので、どのように動くのか予想しながら見るのが楽しいです。
展示室と展示室を結ぶ空間にも展示がたくさんあります。
2014年にdddギャラリーで開催した「指を置く」展のアーカイブも展示されています。

スマートフォンのカメラで撮影する運勢がわかる「開運たなくじ」。

そのほかにも、自分の指紋をスキャンするとそれがディスプレイの中を魚のように泳ぐ<指紋の池>。

企業ロゴなどを用いて勝手に広告を作る実験的アート作品「勝手に広告」も面白いです。


注目は広いグランドギャラリー(無料ゾーン)に設置された、《計算の庭》。

入り口で数字カードを首から下げてゲートをくぐると計算が行われ、親子で楽しめる体験型作品となっています。
ミュージアムショップで販売されているグッズも注目
ミュージアムショップ「MYNATE」では本展に関するグッズも販売されております。
展覧会の公式図録は限定特典のステッカー付で販売。
ピタゴラ装置でお馴染み、小さな旗「ピタゴラもじもじ Flag」。

かなり人気ですでに完売中の文字もありました。
Flagを模した楽しいシールセットも販売。

また、佐藤雅彦氏の関連書籍なども販売されておりました。
ちなみに図録は会場以外でも購入できますので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。
展覧会の感想

1人のクリエイターがメディアの枠を超えて生み出してきた作品世界を一望できる貴重な機会 です。
CM映像やキャラクターの展示だけでなく、そこで培われた「作り方」の仕組みを体験を通じて学べるのが何よりユニークでした。
子どもから大人まで親しめる工夫が随所にあり、楽しみながら創造のヒントを受け取れました。
横浜美術館はみなとみらい線「みなとみらい」駅から徒歩すぐ(JR桜木町駅からも約10分)というアクセスの良さも魅力です。
新たに生まれ変わった館内は広々としており、併設カフェやショップも充実しています。
夏休みのお出かけにも最適ですので、ぜひ佐藤雅彦展で「作り方の秘密」に触れに行ってみてください。
きっとこれまでとは違う視点で「身近な映像作品」を楽しめるはずです。
ということで、「横浜美術館リニューアルオープン記念展 佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)」の超個人的なオススメ度は…。
★★★★☆
あくまで私個人の感想ですが、参考にしていただければ幸いです。
これからも少しずつアートやファッション関係の記事を書いています。
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