写真家という枠を超え、映画、デザイン、ファッションなど多彩な活動をしている蜷川実花さんの展覧会「蜷川実花展-虚構と現実の間に-」が東京・上野の森美術館で開催中です。
全国10会場を巡回した展覧会の集大成で、これまでの展示作品を半数ほど入れ替えるだけでなく、書斎を再現したインスタレーションや映像作品も加わり、蜷川実花さんの作品世界を全身で体感できる内容となっています。
独特な色彩感覚と世界観を持つ蜷川実花さんの作品が全身で体感できる展覧会と聞いて、早速行ってきました。
本記事は蜷川実花展に実際行ってみて、どのような展示内容だったのか、混雑状況や所要時間、グッズに全体的な感想をまとめたものになります。
展覧会は11月14日(日)までの開催なので、これから行こうか気になっている方の参考になればうれしいです。
蜷川実花(にながわみか)について
写真家として木村伊兵衛写真賞ほか数々受賞。映画「さくらん」「ヘルタースケルター」「Diner ダイナー」「人間失格 太宰治と3人の女たち」では監督も務め、映像作品も多く手がけています。
2008年には「蜷川実花展-地上の花、天上の色-」が全国の美術館を巡回し、のべ18万人を動員。2010年、Rizzoli N.Y.から写真集を出版、世界各国で話題となりました。
2016年、台湾の台北現代美術館(MOCA Taipei)にて大規模な個展を開催し、同館の動員記録を大きく更新。2017年、上海で個展「蜷川実花展」を開催し、好評を博しました。
開催概要・チケットについて
「蜷川実花展-虚構と現実の間に-」開催概要
蜷川実花展の公式サイトはこちらから>>
「蜷川実花展-虚構と現実の間に-」チケットについて
本展は事前予約制を導入。平日は日付を、土日は日時(10:00~13:00、13:00~17:00※どちらも入場は30分前まで)を指定できます。空きがある場合は当日券も販売しているようですが、事前予約をしたほうが無難だと思います。
前売り券は美術展ナビチケットアプリで予約・購入します。
最近こういうアプリが増えてきましたよね。一つにまとめてほしいですね…。
展覧会の内容について
エントランスでチケットを見せ、赤いカーテンに囲われたロビーをくぐり抜けると、この展覧会で展示されている作品を次々と映し出す10個のスクリーンが。
さらに進むと、色鮮やかな花の作品が並ぶ空間「Blooming Emotions」に。
「Blooming Emotions」
蜷川さんが撮影する生花の多くは、自然の中にあるがままに咲いている花ではなく、誰かにむけて育てられた花です。花は本来は種子を運ぶために昆虫の目を引きつけるものですが、人間社会との共存の中で、人々の暮らしに多様な豊かさをもたらすパートナーという側面でも繁栄してきました。
蜷川さんは、その時々に自身が感じる情感とともに、人々に寄り添って咲く花々の姿を写し取ってきました。
作品と向き合う中で、蜷川さんが感じてきた様々な情感をともに体感することができ、鑑賞者がこれまでの人生で出会ってきた様々な感情と、作品の奏でる美しさが結ばれることで生まれる体感を探すこともこの展示の一つの見方であると解説には書かれております。
「Imaginary Garden」
造花やカラーリングフラワー(インクの色水を花に吸わせて作る多彩な色彩の花)、自然な組み合わせでは生まれない合わせで飾られた花を撮影した作品を展示室全体を使って展示しています。
ここでの蜷川のアプローチはありのままの美、自然の中にある美だけを認めるのではなく、人工物やそこにある人の想いや欲望も含めて、世界の美しさと向かいあうものだそうです。
全面を色鮮やかな作品に囲まれた空間は、人気の撮影スポットになっていました。
「I am me」
女性タレントのポートレイトが並ぶエリア。
見たことのある沢尻エリカや池田エライザの写真から、草間彌生や平手友梨奈まで、さまざまな女性タレントを写した作品が飾られていましたが、どれもかっこいい。
撮影禁止エリアのため、写真はありませんがもっとほかの人を写したものも見てみたくなります。
「Self-Image」
蜷川実花さんのセルフポートレートが並ぶエリア。こちらも撮影禁止。
一つ一つの自身を写した作品は、蜷川さん自身の感情のすべてをさらけ出したものとなっていて、同じ空間の中に笑っていたり、泣いていたりする表情の作品が混在しています。
言葉足らずでなんとも表現しにくいのですが、本人の内面が臆することなく表れているような気がして、心奪われるものばかりでした。個人的におすすめのエリア。
「GO Journal」
パラスポーツの選手を写した作品。
蜷川さんはパラアスリートたちの精神の強さが人間の持つ力の本質で、そして人々の希望の源泉になるのではないだろうかと考えています。
精神の強さは彼らの肉体を輝かせる。その輝きを捉えようとシャッターを押し、精神の美しさ、強さに向き合うためのアプローチとしての撮影だそうです。
蜷川さんが体験したこの強さと美しさの光り輝く瞬間を、みんなと共有したいという思いが込められています。
「TOKYO」
2017年に出版された「うつくしい日々」が蜷川さんにとって初めて日常をテーマに作品を手がけたものですが、それに続く日常の題材として選んだものが生まれ育った場所である東京です。
「写ルンです」を使って撮影された作品には、身近な世界から都市を構成する骨格までが映し出されています。
東京のもつ新たな美しさを見出し、彼女が大切にする人たちが生きる都市との関係を再構築していきました。
コーナーの最後には、作品をスライドショーにして大きなスクリーンに映し出したものを見ることができます。
「うつくしい日々」
父・蜷川幸雄が病に倒れ、ゆっくりと死に向かう一年半の日常を撮影した作品から構成。
写真に加えて蜷川さんの言葉も添えられています。
ここの作品は、鮮やかな色使いが印象的だった蜷川さんの作品イメージとは異なり、柔らかな光が印象的でした。
不安や悲しみを感じ取りながらも、空の青さや芽吹く若葉に輝くような生を感じとることができ、本作品はいのちの終わりについての物語だけでなく、そのいのちを未来へ紡いでいく物語でもあることが受け取れます。
「光の庭」
2021年春に撮影された桜と藤により構成された作品。
これまで展示されてきた作品は、追憶や夢、幻想や心象風景など、さまざまなフィクションと多層的なイメージが結ばれてきていましたが、白い光で曖昧化するイメージが、明確な形が定まらない未来を反映するというように、未来というフィクションとイメージが結びついた作品となっています。
こちらも展示室全面作品となっているので、なかなかの撮影スポット。
「Chaos Room」
藤の花が咲き乱れるような木を中心に、多彩な写真や映像に、蜷川さんが映画でも使用したオブジェクトの数々を展示。
蜷川さんのこれまでの活動をまとめたコラージュのようです。
とても官能的でちょっとグロテスクな雰囲気。
さすがに人気のエリアでかなり混雑していました。
ミュージアムショップではグッズも販売
展示を見終えると美術館内のショップにたどり着きます。ショップでは蜷川実花展にちなんだグッズが多数販売されています。
図録にポストカードやノートなどの定番アイテムもあれば、金魚が戯れるマッキー、色鮮やかなプリントがされたアパレルや不織布のマスクなどの目新しいアイテムもあり、大変賑わっていました。
混雑状況に所要時間について
私は祝日の10:00~13:00のチケットを購入し、10:30頃に会場に入りました。
最初は空いているなと思ったのですが、ゆっくり写真を撮りながら進んでいると徐々に人が増えていき、人が入らないように写真を撮るのがなかなか難しい状況になりました。
特に「Imaginary Garden」と「Chaos Room」は大人気でした。
全て鑑賞して、グッズショップを後にしたのは11:15くらいです。写真を撮りながらゆっくり見て回っていたのでボリュームは少なめの展覧会なのかなと思いました。
展覧会を見て終えた感想
写真作品だけでなく、空間自体が作品だったりと蜷川実花さんの作品世界を全身で体感できる内容となっていました。色鮮やかなイメージが強かったですが、色々な作風も見れて蜷川さんについてより深く知ることもできます。
混雑状況は注意が必要となりますが、写真撮影可能なスポットも多く、「映える」写真が撮りたいという方にもおすすめな展示ではないでしょうか。
上野の森美術館は上野駅からも近く、展覧会の1時間かからず見れるボリューム。他の上野の美術館をハシゴしたり、上野公園やアメ横にフラッと出かけるついでに寄るのも良いと思います。
ということで、「蜷川実花展-虚構と現実の間に-」の超個人的なオススメ度は…。
★★★☆☆
あくまで私個人の感想ですが、参考にしていただければ幸いです。
これからも少しずつアートやファッション関係の記事を書いています。
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