東京国立博物館の表慶館で「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展― 美と芸術をめぐる対話」が開催中です。
カルティエと日本、そしてカルティエ現代美術財団と日本のアーティストという2つの絆を紐解くものとなっています。
ジュエリーブランドの展覧会なので貴重なアーカイブコレクションが見れるものかと思っていましたが、実際はレアンドロ・エルリッヒや横尾忠則、杉本博司、宮島達男から北野武や香取慎吾まで、ゆかりのあるアーティストの作品展示の方がボリュームが多く、とても見応えがありました。
会場は表慶館。歴史を感じる造りはもちろんのこと、その左右対称の構造を活かした展示方法ととても興味深かったです。
本記事では「結 MUSUBI」展について、アクセスやチケットなどの概要、展示作品に混雑状況や所要時間、販売されているグッズなど、そして個人的な感想をまとめています。
これから行こうと検討している方の参考になれば幸いです。
展覧会の概要
展覧会名 | カルティエと日本 半世紀のあゆみ 「結 MUSUBI」展― 美と芸術をめぐる対話 |
会期 | 2024年6月12日(水) ~ 2024年7月28日(日) |
時間 | 9:30~17:00 ※金・土曜日は19:00まで ※入館は閉館の30分前まで |
休館日 | 月曜日、7月16日(火) ※7月15日(月)は開館 |
会場 | 東京国立博物館 表慶館 |
住所 | 〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9 |
チケットについて
チケット料金は以下のようになっています。
- 一般 1,500円
- 大学生 1,200円
- 高校生以下 無料
チケットの購入はアゾビュー、イープラス、チケットぴあといった各種プレイガイドから購入が可能。
もちろん、会場での購入も可能のようでした。
また、本展のチケットがあれば観覧当日に東京国立博物館の総合文化展も見ることができます。
ちなみに音声ガイドは用意されていませんでした。
トイレやロッカーについて
会場の表慶館にはロッカーはありません。大きな荷物がある場合は本館のロッカーを利用するかインフォメーションカウンターで預けることができそうです。
トイレは男女共にありますが、いずれも1階に個室1つずつのみ。混んでいたら裏の資料館にあるトイレを利用するのが良さそうでした。
写真撮影について
撮影不可マークのついた作品以外は写真撮影可能です。
ただし三脚やフラッシュを使った撮影、動画撮影は禁止です。
混雑状況や所要時間
私は展覧会が開幕して最初の土曜日の10時ごろに行きました。
思った以上に空いていて、かなり作品もゆっくり見れて、写真も撮りやすかったです。
展示室はそこまで多くありませんが、作品数はかなり多いため所要時間は1時間半くらいでした。
インタビューなどの映像作品もいくつかあるので全部見たらもっと時間が必要かもしれません。
会場の様子
展覧会は表慶館の特徴である左右対称の構造を活かした2部構成となっています。
会場内のデザインも注目ポイントです。内装は世界中の美術館や展覧会のデザインを手掛けてきた「スタジオ アドリアン ガルデール」が担当。
表慶館の伝統的な意匠を引き立てながらもセクションテーマに沿った素晴らしい作りとなっていました。
それでは実際に撮影してきた写真を中心に、どのような作品が展示されていたかご紹介させていただこうと思います。
Rotunda 1F
会場に入ってすぐの円形の大広間には澁谷翔のインスタレーション<日本五十空景>が展示されています。
歌川広重の<東海道五十三次之内>をオマージュしており、日本各地の地方新聞紙の一面に空の景色を描いたものとなっています。
また、周りの壁には4つモニターがあり、カルティエ、カルティエ現代美術財団とコラボレーションを行ってきた日比野克彦、石上純也、川内倫子、ビートたけし、松井えり菜、宮島達男、森万里子、森村泰昌、森山大道、村上隆、澁谷翔、杉本博司、束芋、横尾忠則、吉岡徳仁の15人のビデオポートレートが流されています。
入って右側の部屋に進むと第一部「カルティエと日本ー芸術と美を称える文化」をテーマとした作品の展示が始まります。
Room1
最初の部屋では1898年からメゾンの事業経営に参画し、美術品のコレクターとしても知られるルイ・カルティエが収集した200点以上もの日本美術コレクションから着想を得て制作された作品を展示しています。
手鏡の形からインスピレーションを得た置き時計や神社の建築を想起させる、ビリケンが乗ったミステリークロック。
印籠を着想源とするヴァニティケース、トンボをモチーフとしたブローチや時計の文字盤。
日本を象徴する素材である竹をイメージしたもの。
籐細工を想起させることで生まれたさまざまなモチーフなど、とにかくすごい種類の展示で最初の部屋から見応えがありました。
Room2
続いての部屋では杉本博司の<春日大社藤棚図屏風>が中央に展示。
その作品を囲うように動植物をモチーフとした作品が並びます。
そして2階へ続く階段の壁には束芋による<flow-wer arrangement>が展示されています。
ウォールドローイングにプロジェクションを掛け合わせされた作品でこちらも表慶館の雰囲気にとてもマッチしていて素敵でした。
2階に上がると踊り場には杉本博司の<数理模型025 クエン曲面:負の定曲率曲面>が展示されています。
Room3
2階最初の部屋ではカルティエがこれまで日本で開催してきた5回の展覧会を遡りながら、日本との関係性を掘り下げています。
1988年、表参道のスパイラルホールで行われた「カルティエ・ミュージアム」展から、1995年には東京都庭園美術館での「フランス宝飾芸術の世界」展。
2004年、京都・醍醐寺「エットレ ソットサスの目がとらえたカルティエ宝飾デザイン」展。
2009年の表慶館での「「Story of… カルティエ クリエイション~めぐり逢う美の記憶」展、2019年は国立新美術館での「カルティエ、時の結晶」展。
それぞれその時代に合わせたコンセプトや展示方法でメゾンの魅力を伝えてきたのがわかります。
Room4
続いての部屋では1974年に原宿で日本初のブティックをオープンしてからの歩みを紹介。
1997年に日比野克彦を招いて制作した、トリニティを想起させる一連の作品。
田原桂一や川内倫子、ホンマタカシに水谷吉法といった日本人写真家との作品。
村瀬恭子のドローイングと絵画のアンサンブル。
ほかにもレアンドロ・エルリッヒや
2017年にタンクウォッチ100周年記念で書き下ろした香取慎吾の作品も展示されております。
この部屋の後半の展示には2022年にsacai(サカイ)の阿部千登勢によって新たに解釈された「トリニティ」のコレクションも加えられていました。
Rotunda 2F
大広間の2階は左右の塔を結ぶ通路となっているのですが、そこには横尾忠則が描いた、アーティストのポートレートシリーズを展示しています。
この展覧会でも作品を見ることができる、カルティエが長年コラボレーションしてきたアーティストたちが描かれています。
Room5
左側の部分を第二部「カルティエ現代美術財団と日本のアーティスト」をテーマに、ガラッとここから展示の内容が変わってきます。
写真、絵画、建築、彫刻、映像、ファッションといった芸術分野からそれぞれ関わってきた日本人アーティストとの活動を大きな映像で紹介。
この部屋にはファッションデザイナーである三宅一生の手がけけたインスタレーションや、コレクションのピースを中心にマネキンとして登場した森村泰昌。
そしてビートたけし、横尾忠則、中川幸夫の作品が紹介されています。
Room6
続いての部屋では写真にフォーカス。写真の作品ではないですが杉本博司の彫刻作品<数理模型023 回転楕円面を覆う一般化されたヘリコイド曲面>が部屋の中央に展示。
荒木経惟、森山大道、そしてウィリアム・エグルストンの写真作品を展示。
そしてもう一つの部屋には川内倫子の232枚の写真を組み合わせたスライドショーが展示されています。
1階へと降りるこちら側の階段にも束芋によるビデオインスタレーション<Haunted House(お化け屋敷)>が映し出されています。
Room7
カルティエ財団と縁の深いアーティスト、北野武の新作を含む絵画作品が中央に展示されています。
左右にも小さな部屋が展開され、森山大道のモノクロ作品を2冊の本に見立てたスライドショーと
暗闇の中で1から9の数字が浮かび上がる、宮島達男のインスタレーション<Time Go Round>が展示されています。
こちらの作品は30分稼働後に10分くらい休憩が入るみたいなので、真っ暗の時はしばらく待っているとよいでしょう。
Room8
最後の展示室では絵画以外にも彫刻オブジェや数学ゲームまでも創作する北野武の作品を中心に、創作の自由を提供するカルティエ財団とその機会を活用するアーティストたちを紹介。
村上隆や松井えり菜、石上純也といった個展開催や書籍の出版などの支援をしてきたカルティエ財団とアーティストたちの繋がりを見ることができます。
特設のグッズショップも注目
展示作品を見終えたら1階のグッズショップへ。
図録をはじめ、トートバッグ、ノート、ポストカードなどの定番アイテムが売られています。
注目はカルティエジャパン50周年記念切手付きのレターセット。
2200円と買いやすい価格帯ですし、展覧会の記念にぴったりな商品かと思いました。
祝休日限定で「カルティエ ワゴン」が登場
祝休日限定で会場入り口には「カルティエ ワゴン」が登場。
LINE登録をして、自分とカルティエとのエピソードを投稿すると
WWDのスペシャルタブロイドと薔薇の花がプレゼントされます。
ぜひ展覧会を見た感想と合わせて投稿してプレゼントを貰って帰りましょう。
展覧会の感想
展覧会のタイトル通り、カルティエと日本の美と芸術の歩みを振り返る内容でとても面白かったです。
煌びやかなアーカイブを見ることもできるし、著名なアーティストたちとカルティエとの協業の歴史が見れます。
展示作品の数もかなりあり、表慶館の構造や意匠を生かした素晴らしいものとなっていたので空間自体もとても楽しめました。
最後には薔薇の花のプレゼントももらえて、正直かなり大満足して帰れました。
ということで、「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展― 美と芸術をめぐる対話」の超個人的なオススメ度は…。
★★★★☆
あくまで私個人の感想ですが、参考にしていただければ幸いです。
これからも少しずつアートやファッション関係の記事を書いています。
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