東京オペラシティ アートギャラリーで開催されている「アルフレド・ジャー あなたと私、そして世界のすべての人たち」に行ってきました。
結論から言うと、「ただ見るだけではなく、身体で体験し、深く考えさせられる」非常に強度の高い展覧会でした。
きれいな絵画を眺めてリラックス…というよりは、世界の現実を突きつけられて背筋が伸びるような感覚です。
今回は、実際に足を運んで感じた見どころや感想、気になる混雑状況・所要時間についてまとめました。
これから行こうか迷っている方の参考になれば嬉しいです。
展覧会の概要
| 会期 | 2026年1月21日[水]─ 3月29日[日] |
| 休館日 | 月曜日(ただし2月23日は開館) 月曜祝休日の翌火曜日(2月24日) 2月8日[日](全館休館日) |
| 開館時間 | 11:00 ─ 19:00(入場は18:30まで) |
| 入場料 | 一般 1,600円 大・高生 1,000円 中学生以下無料 |
| 会場 | 東京オペラシティ アートギャラリー |
| 住所 | 〒163-1403 東京都新宿区西新宿3-20-2 (東京オペラシティタワー3F) |
オペラシティアートギャラリーは京王新線「初台駅」東口直結。
初台駅は新宿から1駅とアクセスもよく、駅直結なので雨の日でも傘いらずです。
(※京王線ではなく「京王新線」の乗り場なのでご注意を!)
日本初となる大規模個展

本展は、世界的に活躍するアーティスト、アルフレド・ジャーの日本初となる大規模な個展です。彼の活動初期の作品から最新作まで、約40年にわたるキャリアを総覧できる貴重な機会となっています。
この展覧会の大きな特徴は、単に海外の作品を持ってくるだけでなく、「日本との関わり」に深く焦点が当てられている点です。
ジャーと日本の絆
彼はこれまでに何度も来日しており、東日本大震災の被災地や広島などを訪れています。
重要なテーマ

本展では、ジャーナリスティックな視点で捉えた世界の諸問題に加え、広島や福島をテーマにした作品も展示されており、私たち日本人にとって非常に意義深い内容になっています。
タイトルにある「あなたと私、そして世界のすべての人たち」。

この言葉通り、遠くの世界の出来事を「自分ごと」として捉え直すための装置が、会場全体に仕掛けられています。
アルフレド・ジャーとは

「アルフレド・ジャー(Alfredo Jaar)」という名前を初めて聞く方もいるかもしれません。
彼の作品を理解する上で、知っておくと面白いポイントが2つあります。
元「建築家」であること

彼は1956年チリ生まれですが、もともとは建築家としての教育を受けています。その後ニューヨークへ渡り、アーティストとしての活動を始めました。

そのため、彼の展示は「壁に写真を飾る」だけでは終わりません。

「空間そのもの」を設計(デザイン)し、光の強さ、部屋の暗さ、順路、鑑賞者が立つ位置まで計算し尽くしています。

「作品を見る」というよりも、「彼が作った建築空間の中に入り込む」感覚に近いのはそのためです。
世界を飛び回る「ジャーナリスト」の視点


彼は、ルワンダの虐殺、ブラジルの金鉱山、ベトナム難民など、世界の紛争地や被災地へ自ら赴き、徹底的な取材を行います。


しかし、彼はそこで撮った悲惨な写真をそのまま見せることはあまりしません。
「私たちは、悲劇のイメージを消費しているだけではないか?」

そんな問いを投げかけるために、あえて写真を見せなかったり、見るための条件(緑のランプが点灯するまで待つなど)を課したりします。
「イメージは無実ではない(Images are not innocent)」
これが彼の信念であり、作品の根底に流れるテーマです。
実際に鑑賞した見どころ(体験レポート)
会場に入ると、建築家ならではの空間構成に圧倒されます。個人的に特に心に残った3つのポイントを紹介します。
身体で感じる「報道写真」:《サウンド・オブ・サイレンス》

本展のハイライトとも言える作品です。
展示室にある巨大な直方体の「箱」。入り口のランプが「緑」に変わった瞬間だけ、中に入ることができます。
(実際は10分程度の入れ替え制で日本語版と英語版を交互に上映)
中では、ある有名な報道写真(ハゲワシと少女)にまつわる物語が、映像と照明の演出で語られます。
ただの写真として見るのとは違い、暗闇の中で情報のフラッシュを浴びるような体験は、「見る」という行為の暴力性や責任を私たちに突きつけてきます。
鏡と対峙する空間:《ゴールド・イン・ザ・モーニング》

ブラジルの金鉱山での過酷な労働を捉えた写真作品ですが、展示方法が特殊です。
写真と共に配置された「鏡」や「ライトボックス」。
作品を覗き込むと、必然的に「鏡に映った自分」と目が合います。

遠くの悲劇を見ている、安全な場所にいる私。
その対比を視覚的に突きつけられる、建築的なアプローチが光るエリアです。
日本への眼差し

概要でも触れましたが、特に新作の《ヒロシマ、ヒロシマ》などは、静謐ながらも強いメッセージを放っており、日本人である私たちがどう受け取るかを試されているようでした。
忘れないで!無料で「持ち帰れる作品」

この展覧会には、もう一つ見逃せない大きな特徴があります。
それは、「私たち観客が持ち帰ることができる作品」が用意されていることです。
会場の一角に、ポスターがうず高く積まれている場所があります。
一見すると「ご自由にお取りください」のチラシのように見えるかもしれませんが、これもれっきとしたアルフレド・ジャーの作品の一部です。
ジャーは、「美術館という閉じられた箱の中でアートを完結させるのではなく、観客がそれを外の世界へ持ち出すことで、メッセージが広がっていく」と考えています。
つまり、私たちがそのポスターを手に取り、家に持ち帰ったり、誰かに見せたりすることで、初めてこの作品は完成するのです。
このポスターは紙製で、サイズもそこそこ大きいです。
※丸めるための輪ゴムが用意はされています。
「作品をもらえる」というお得感だけでなく、「メッセージを受け取る」というバトンのような体験。
ぜひ忘れずに手に取ってみてください。
所要時間に混雑状況

私は展覧会開始直後の週末午後に行きました。
展示室にある程度人は入っていますが、混んでて作品が鑑賞しにくいということはなかったです。
ちなみに映像作品以外は写真撮影可能です。
映像は10分程度のものなので、全体的にテンポよく鑑賞できます。
《サウンド・オブ・サイレンス》は入れ替え制となりますが少し待てばすぐに入れます。
ですので所要時間としてはサッと見るなら40〜60分、じっくり見るなら90〜120分くらいではないでしょうか。
仕事帰りや、休日のちょっとした隙間時間でも十分に満足できるボリューム感です。
「見る」というより「体感する」展示なので、集中力が途切れにくいのもポイントです。
展覧会の感想

「アルフレド・ジャー展」は、世界の現実に触れる「重さ」と、アートとしての空間体験の「美しさ」が同居する稀有な展覧会でした。
決して難解ではなく、直感的に心に響く作品ばかりです。
ということで、「アルフレド・ジャー あなたと私、そして世界のすべての人たち」の超個人的なオススメ度は…。
★★★★☆
あくまで私個人の感想ですが、参考にしていただければ幸いです。
これからも少しずつアートやファッション関係の記事を書いています。
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