3年にわたる大規模改修工事を経て、リニューアルオープンした横浜美術館。
そのリニューアルオープン記念として「おかえり、ヨコハマ」が開催中です。
「横浜」をキーワードに、様々な人々を迎え入れたいという想いが込められた本展覧会。
「多様性」という観点のもと、絵画、写真、工芸、映像などの作品や資料を通して、新たな視点で横浜の意外な歴史を深堀し、セザンヌやピカソから、マグリットに奈良美智などの近代美術の名作から現代美術の作品まで楽しむことができます。
また、子どもがゆっくりと作品に向き合える「子どもの目でみるコーナー」も設置。
親子で楽しめる展覧会となっていました。
本記事では横浜美術館リニューアルオープン記念展「おかえり、ヨコハマ」について、アクセスやチケットなどの概要から、会場の混雑状況に見終えるまでの所要時間、そしてミュージアムショップで買えるグッズ、そして個人的な感想をご紹介していきます。
アクセスしやすい場所にあり、近くにはいろいろな商業施設や観光地もあるのでお出かけや、デートに立ち寄るのにもってこいの横浜美術館。
ぜひ皆さんも足を運んでみてください。
展覧会の概要

会期 | 2025年2月8日(土)~6月2日(月) |
開館時間 | 10時~18時 ※入館は閉館の30分前まで |
休館日 | 木曜日(ただし3月20日[木・祝]は開館) 3月21日(金) |
料金 | 一般:1800円 大学生:1500円 高校・中学生:900円 小学生以下:無料 |
会場 | 横浜美術館 |
住所 | 神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1 |
横浜美術館はみなとみらい線みなとみらい駅から徒歩5分以内。JR桜木町駅からも徒歩10分程度。ともに新宿や渋谷といった都内の主要な駅から電車で30〜40分くらいの場所にあります。

美術館のまわりにはマークイズ、クイーンズスクエアといった商業施設や、少し歩けば赤レンガ倉庫、横浜中華街、山下公園といった観光スポットにもアクセスしやすいです。
商業施設施設内の飲食はもちろん、街中には美味しいお店もあるので、美術館だけでなくいろいろな場所に足を運ぶのもおすすめです。
ロッカーやトイレ、撮影について
ロッカーは美術館入り口に2箇所あります。

どちらも100円玉返却式のものとなります。
スーツケースが入るような大きいサイズのロッカーは少なかったです。

グランドギャラリーの天井は天気がいいと日が差し込んでとても開放的です。
椅子やテーブルが置かれており、ラウンジとして自由に使えます。

トイレは展示室の合間に設置されており、展覧会の会場入った後にも使うことができるので安心でした。

写真撮影は撮影禁止マークのついた作品以外は可能でした。

ただ、フラッシュや三脚の使用、動画の撮影は禁止となります。
会場の様子

展覧会は全8章から構成されております。
「横浜」をキーワードに「多様性」という観点のもと、絵画、写真、工芸、映像などの作品や資料を通して、新たな視点で意外な横浜の歴史を深堀りしていきます。
複数の展示室に分かれてますが、順路はしっかりと矢印で案内してくれています。

また、子どもが楽しめる5つのミッションが書かれた「こどもミッションシート」や「びじゅつ探検カード」なども用意されております。

それではここから実際に写真を中心に展覧会の様子をご紹介していきます。
第1章 みなとが、ひらく前
港の街というイメージの強い横浜ですが、縄文時代から開港前までのことを知らない人も多いと思います。
第1章では横浜市歴史博物館の特別協力を得て、各時代の横浜人たちが残してきたものを紹介しています。


石鏃や土器に土偶に埴輪。



それに呼応するような絵画作品群。



また、真福寺や山田神社に奉納された小絵馬などが展示されています。

第2章 みなとを、ひらけ
1859年に開港した横浜。
貿易開始に伴った物価高騰や外国人襲撃事件に薩英戦争など騒然とした世の中を作品によって紐解いていきます。

日本大通り駅付近に上陸したペリー一行を描かれた作品。

開港に伴い、西洋の文化がどんどん入ってくる様子が伺えます。

こちらは新橋と横浜を結ぶ日本初の鉄道が開業後に新橋駅に近い愛宕山からの眺めを写した絵画作品。

横浜へ出発した列車の煙が奥に小さく見えます。
また、この章では開港後に開業した横浜の遊郭についても紹介しています。


第3章 ひらけた、みなと
港ができたことで多彩な文化が衝突し、さまざまな新しいものが生まれてきた横浜。


訪日外国人向けのみやげものとして、輸出品として絵画や工芸品が盛んに作られたそうです。

陶器は明治期の輸出品の花形だったそうで、ここにも色とりどりの陶器が展示されています。

写真館も早くに開業したそうで、当時の様子を写した写真もいくつか展示されていました。

また、この章ではみやげものとしての絵画を制作する家に生まれ、のちにパリ留学を果たした洋画家の五姓田義松に

同じく画家である妹の渡辺幽香などの作品によって、150年前の横浜に生きた一家の姿が生き生きと描かれています。

第4章 こわれた、みなと
土木や輸出入の仕事を求めて、各地から続々と人が集まり、市制が敷かれた1889年には11万人にもふくれた横浜の人口。

その時期に活躍した牛田雞村などの画家の作品を紹介。

また、発展を続ける横浜を1923年に襲った関東大震災の様子が描かれた作品や資料が展示されています。


第5章 また、こわれたみなと
徐々に震災から復興を果たしていく横浜。
1930年には山下公園が完成し、破損した橋も架け替えられます。
そんな震災復興から戦時下までの横浜の姿をアーティストの作品のうちに探ります。

小学校の教員を務めた日本画家片岡球子。

横浜駅近くの月見橋を描いた洋画家、松本竣介。

戦前日本の映画界を代表する女優、原節子などが紹介されています。
第6章 あぶない、みなと
空襲を受け、戦後は港や繁華街を含む広い範囲が占領軍に接収され、長く復興が遅れました。

ここでは占領下の横浜の様子を紹介しています。

写真家の常盤とよ子は女性の職業に焦点を当て、赤線地区で働く女性たちを捉えています。

石内都はかつての高級アパートだった互楽荘を写しています。

また、クリス・チョン・チャン・フイによる戦後、簡易宿泊所や売春宿が集まった黄金町をテーマにした映像作品が展示されています。

第7章 美術館が、ひらく

1983年、みなとみらい21地区の開発がスタート。1989年には横浜博覧会が開かれ、これに合わせて丹下健三設計の横浜美術館が開館します。
この章では横浜美術館が誕生するまでの様子をまずは紹介。

そして開館前後に収蔵され、親しまれてきたコレクションを紹介します。
横尾忠則のY字路。

エドワード・ウェストンやイモージェン・カニンガム、そしてマン・レイの作品。



マン・レイの作品に登場している、メレット・オッペンハイムの作品。

マックス・エルンスト。

セザンヌが夫人を描いた作品。

そのセザンヌの作品と似た構図で描かれた、チャールズ・ワーグマンの作品。

パブロ・ピカソの2作品。


サルバドール・ダリの作品。

ヴァシリィ・カンディンスキーの作品。

ガブリエーレ・ミュンターの作品。

フランシス・ベーコンの作品。

第8章 いよいよ、みなとが、ひらく
最終章の前半はこどもたちのために選んだ作品を集めています。

鑑賞の手がかりとなるよう、簡単な問いかけがついています。
展示されているのは、横浜美術館といえばこの作品、ルネ・マグリットの<王様の美術館>。

もう一点マグリットの作品<青春の泉>も展示されています。

ジョアン・ミロの<花と蝶>。

マックス・エルンストの作品2点。


桂ゆきの<はだかの王様>。

マリア・ファーラーの<ルームサービス>。

後半は横浜美術館の新しい船出を飾る、2010年以降の作品が紹介されています。
折元立身の作品。

横浜に新しい表現の学習システムをつくろうと小林昭夫がつくった「Bゼミ」に関する資料群。

松田修の映像作品<奴隷の椅子>。

百瀬文の映像作品(約30分の上映、完全入れ替え制)にジュン・グエン=ハツシバのビデオインスタレーション作品。


石川竜一の作品。

そして奈良美智の作品で締めくくられています。


作品リストを見ると、グランドギャラリーに展示されている檜皮一彦のインスタレーション作品も記念展によるもののそうです。

この空間にはマグリットなどの彫刻作品なども展示されていますのでお見逃しなく。


コレクション展も入場できる
記念展のチケットで開催中のコレクション展も見ることができます。
今回は横浜にゆかりのあるアーティスト、淺井裕介による新作<八百万の森へ>と、1980年以降の現代アートをテーマに構成されています。

<八百万の森へ>は9枚のパネルを組み替えることでさまざまに変化する作品となっており、今回の構成は作者が設定した7つのパターンのうちのひとつとなります。

横浜の各地から集められた土を絵の具として描かれています。
後半の展示では休館中に新たに美術館に加わった作品を中心に紹介。
こちらの作品は吉澤美香によるもの。


こちらは平林薫の作品。

福田美蘭に椿昇、辰野登恵子。




名画や歴史的な写真に登場する人物に扮した作品を発表してきた森村泰昌。

カンヴァスに自分自身のヌードを焼き付けた石原友明の作品。


ヘルナン・バス、クリス・ヒュン・シンカンの作品。


岩崎貴宏の作品が展示されています。


岩崎貴宏の作品はグランドギャラリーの柱に設置されているものもあり、通路の望遠鏡から鑑賞できるようになっています。



展示室との間のスペースにはイサム・ノグチの彫刻作品が並んでいます。





美術館入り口付近にあるギャラリー8にもコレクション展が続いており、ここではひっくり返す、ひっくり返るをテーマに作品を紹介。

















エッシャーなど、ここにも面白い作品が多数あるので見逃さないようにしたいです。
所要時間と混雑状況

人の集まる場所に位置する横浜美術館。私は土曜日の13時ごろに行きましたが、そこそこ混雑していました。
作品間隔が空いており、鑑賞体験はとても快適でした。
しかし、帰る頃にはさらに人が入っていっていたように見えました。
記念展とコレクション展をすべて見た所要時間はだいたい2時間くらいでした。映像作品をもしすべて見るなら3時間は必要かと思います。
ミュージアムショップとカフェ「馬車道十番館 横浜美術館 喫茶室」

美術館内にはミュージアムショップとカフェがあります。
ミュージアムショップでは今回紹介されている作者の関連商品のほか、所蔵作品のポストカードなどさまざまなグッズが並んでおります。





横浜ご当地のお菓子や飲み物なども販売されていました。
ミュージアムショップ奥のスペースにはカフェ「馬車道十番館 横浜美術館 喫茶室」があります。


こちらは馬車道にある歴史のある喫茶店とおなじケーキやデザート、ドリンクなどが楽しむことができます。

丸いショートケーキ、とてもおいしかったです。
展示会の感想

横浜美術館のリニューアルオープンを記念した展覧会。横浜の歴史を作品を通じて振り返ることができ、とても勉強になりました。
また、横浜美術館を代表する所蔵作品も見ることができるので、シンプルに楽しかったです。
また、リニューアルした横浜美術館もとてもよく、日が差して開放的なグランドギャラリーはいるだけで気持ち良い、そんな素敵な空間でした。
ということで、横浜美術館リニューアルオープン記念展「おかえり、ヨコハマ」の超個人的なオススメ度は…。
★★★★☆
あくまで私個人の感想ですが、参考にしていただければ幸いです。
これからも少しずつアートやファッション関係の記事を書いています。
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