新潟県十日町市と津南町で世界的なアートの祭典「越後妻有 大地の芸術祭2022」が開催中です。
開催期間は2022年4月29日から11月13日までと半年以上もあるのですが、展示作品数は300点以上。
とても1回では見切れないので、5月に1泊2日で、8月にも1泊2日で合計2回行ってきました。
今回は時系列に見て回った作品やランチ、宿泊施設などを簡単にご紹介したいと思います。
長いので5月編、8月編それぞれ1日目、2日目に分けて合計4回分けて書いています。大地の芸術祭の回り方や見どころ、各作品ごとへの移動時間や所要時間、宿泊や食事などの参考にしていただければ嬉しいです。
本記事は5月の後編(津南、松代、十日町エリア)になります。
5月前編(中里、十日町、松之山エリア)をまだ読まれていないという方はこちらから。
津南エリア
ニュー・グリーンピア津南を出発し、最初に向かったのは津南エリアにある「Invisible Grove 〜不可視の杜〜」に向かいます。
会場の苗場酒造は検温スポットにもなっていて、この日の検温を済ませて10時ぴったりに会場に入ります。
駐車場は数台分なので時間帯によっては埋まってしまうかも。
1階はお店で2階に作品が展示されています。
<M073 Invisible Grove 〜不可視の杜〜>早崎真奈美
滞在時間は10分くらい。
続いて車で15分ほど移動して向かったのは竜ヶ窪温泉にある作品。
駐車場はかなり広いですが、会場までは少しだけ歩きます。
<M079 廃材水族館:竜ヶ窪>加治聖哉
サメやカニ、イワシなどが廃材で作られています。
滞在時間は5分くらい。
ここから30分くらいかけて松代エリアへ移動します。
松代エリア
松代エリアも見どころがたくさん。先ずは西端にある奴奈川キャンパスに向かいました。
奴奈川キャンパス
奴奈川キャンパスは2013年に閉校した奴奈川小学校をリニューアルしたものです。
棚田に囲まれた小学校のグラウンドでは農業をやりながら、地域で暮らす女子サッカーチーム「FC越後妻有」が練習もしているそうです。
教室を使って作品が展示されています。
レストランもありますが、オフィシャルツアーの方だけ限定のようです。
残念ながら校庭のトロッコには乗れませんでした。
<D332 大地のおくりもの>鞍掛純一+日本大学芸術学部彫刻コース有志
奴奈川キャンパスのエントランスホールの壁面全体が彫刻による森になっています。
<D348 彩風>ウー・ケンアン
階段の踊り場や廊下の先に展示されている作品。
金属をくり抜き着色したパーツを組み立てたモビールで、風の中を舞う妖精や精霊に見えます。
<D340 南極ビエンナーレ–フラム号2>キュレーター=アレクサンドル・ポノマリョフ
2017年に開催された南極ビエンナーレの未来の生活を想像させる空間を作り上げています。
<D334 レミニッセンス(おぼろげな記憶)>ターニャ・バダニナ
標本や実験道具などを、教室内に展示。
シルエットだけ見えたり、ちょっときれい。
<D341 天上大風>コウ・ユウ
無数の書が書かれた凧が教室内に揚げられています。
<D390 世界をつなぐメールアート・プロジェクト>前山忠×湯山メールアート・プロジェクト
世界のアーティストから送られたメールアートが所狭しと並べられています。
<D383 パラダイス>ツァイ・ツァンホァン
窓の曼荼羅のような模様が描かれた教室。
複数の宗教的要素を入れることで、教会のようなまるで庇護を受けているような場所に変えていく試みをしているそうです。
教室ごとに作品があって、結構ボリュームがありますが空いていてゆっくりと見れました。
滞在時間は30分くらい。
脱皮する家
ここも個人的に好きな作品。
奴奈川キャンパスから車で15分くらいの場所にあります。
<D143 脱皮する家>鞍掛純一+日本大学芸術学部彫刻コース有志
家全体が彫刻刀で削られています。
企画から完成まで2年半かかり、作家たちは160日以上滞在したそうです。
もちろん天井も。
テーブルも。さすがに完成してから日が経っているので、少し彫刻の跡が薄くなってますね。
まさかのサンダルまで。これと同じものが商品として売られていたそうです。
しかもここには宿泊することもできます。
私以外に鑑賞者がいなかったので、スタッフの方に脱皮する家について詳しく説明していただいたり、この後向かう場所などについていろいろアドバイスもらいました。
ここだけじゃなく、スタッフの方がとても親切なのも大地の芸術祭はいいですよね。
滞在時間は20分くらい。
星峠の棚田
脱皮する家の近くには、十日町市に点在する棚田の中でも最も人気がある棚田スポット<星峠の棚田>があります。
歩いていくには登り坂でちょっと遠いので車で移動。駐車場もあります。
天気がよかったらもっとキレイなんだろうなと。そういえば一度もいい天気の時に来たことがなかったです・・・。
滞在時間は5分程度。
まつだい雪国農耕文化村センター「農舞台」
星峠の棚田から20分ちょっとかけて、松代エリアの拠点となる農舞台に向かいます。
農舞台に向かう途中にあった作品も1つだけ寄っていきます。
<D194 帰ってきた赤ふん少年>関根哲男
コロナ禍ということで、マスク着けてますね。
顔出しパネルもあるので、記念に撮っておきました。
農舞台は妻有を象徴する棚田を背に、イリア&エミリア・カバコフの作品群を中心に展示しています。
また、周辺の里山にも多くの作品が展示され、「まつだい『農舞台』フィールドミュージアム」としてアートを体感できるエリアになっています。
ここもまともに全作品見ようとすると、丸一日かかってしまいます。
人も今まで訪れた会場の中ではダントツに多いです。
「越後まつだい里山食堂」でランチ休憩を、と思っていたのですが、満席で断念。
気を取り直して昨年から新しくできた松代城に向かいます。
松代城
松代城は松代城山の頂上にあります。
近くに駐車場はないので、農舞台から出ている送迎バスを利用します。
スタッフの方に話しかけたらすぐに出してくれました。
シャトルバスの停車場から、松代城までは徒歩10分くらい。
結構急な坂道を登るので、暑い日は大変です。
松代城は1階から3階までそれぞれ別々の作品空間となっています。
<D377 憧れの眺望>エステル・ストッカー
1階には白い空間と黒い線、そして中央には丸められた紙のような物体が浮いた作品空間が広がっています。
見る角度によって動いているように見えたり、時空が歪んでいるような感覚になります。
<D378 樂聚第>豊福亮
2階には銀箔を施した空間の中心に金箔を施した茶室が設置されています。
茶室の中はさまざまな絵図が描かれています。
<D379 脱皮する時>鞍掛純一+日本大学芸術学部彫刻コース有志
3階は脱皮する家を彷彿とさせるような全面が彫刻刀で削られた空間になっています。
金箔の貼られた礼盤に座ると、静かな時間にさまざまな思いを巡らせることができます。
とても見晴らしがよく、松代の自然や街並みが広がります。
滞在時間は20分くらい。
農舞台の混雑状況と違って、松代城は空いていました。
まつだい「農舞台」フィールドミュージアム
松代城から農舞台まで徒歩で戻って行きます。
その間の山道に展示されているさまざまな作品を見ながら降って行きます。
農舞台までの道は2手に分かれているため、見たのは半分くらい。
全作品見ようと思うとかなり大変です。
<D070 まつだいスモールタワー>ペリフェリック
地面から屋上までの4階建てでかなり大きい作品。登ることもできます。
<D016 木>メナシェ・カディシュマン
<D066 米の家>チャン・ユンホ+非常建築
<D312 人生のアーチ>イリヤ&エミリア・カバコフ
人生それぞれの段階を視覚化しているそうです。
<D365 手をたずさえる塔>イリヤ&エミリア・カバコフ
こちらは今回からの新作です。
搭上のモニュメントは日没後に点灯し、地域の状況を反映して、色が変わるそうです。
中に入ることができ、先ほどみた<人生のアーチ>の6枚の絵が飾られています。
<D366 手をたずさえる船>イリヤ&エミリア・カバコフ
塔内部に展示されている船の模型。
世界中の子どもたちの絵を組み合わせて帆を作り学ぶという世界各国で実施されているプロジェクトで、今回はその模型が展示されているそうです。
<D006 かかしプロジェクト>大岩オスカール
棚田の中に立ち並んでいる赤いカカシの作品。
<D005 関係–大地・北斗七星>
<D353 hi 8 way>ジョン・クルメリング
<D003 ○△□の塔と赤とんぼ>田中信太郎
青空に羽ばたくランドマークとしてつくられた赤とんぼの彫刻。
高さは約16メートルもあります。これも有名な作品ですよね。
<D184 リバース・シティー>パスカル・マルティン・タイユー
逆さに吊るされた大きな鉛筆の群れ。
これも人気作品で、映えを狙っていっぱい撮影している人がいました。
<D002 塔61>クリスチャン・ラビ
<D248 イエローフラワー>ジョゼ・デ・ギマランイス
ここまでくれば農舞台まであと少し
<D359 廻転する不在>東弘一郎
ここからは農舞台周辺の作品。
階段を登って、ペダルを漕ぐと、自転車がぐるぐると回ります。
ペダルは思ったより軽くて簡単に回ります。
<D155 ゲロンパ大合唱>大西治・大西雅子
<D060 かまぼこアートセンター>小沢剛
<D054 まつだい住民博物館>ジョセップ・マリア・マルティン
<D061 花咲ける妻有>草間彌生
妻有は気高い土地であり、美しい陽光が注がれる妻有の空気を賛美したいという思いをもとにつくられた花の野外彫刻作品です。
他にもいくつか見たのですが、キリがないので続いて農舞台内の作品を見て行きます。
農舞台内の作品
農舞台の中はイリヤ&エミリア・カバコフの新作が数多く展示されています。
<D363 プロジェクト宮殿>
<D364 アーティストの図書館>
<D362 10のアルバム 迷宮>
<D380 自分をより良くする方法>
<D001 棚田>
これは新作ではないですが、大地の芸術祭を代表する作品でよくネットや雑誌で見る機会も多いと思います。
棚田の中に農作業する人の姿の彫刻が置かれ、農舞台の展望台に配置された文章を合わせて読むことで、棚田への理解がさらに深まります。
<D058 関係ー黒板の教室>河口龍夫
教室全体が黒板になっていて、置かれたチョークで自由に落書きされた空間。
机の中も実は作品になっています。
<D218 引き出しアート>河口龍夫
すべての机の引き出しに別々の作品が仕込まれていますのでお見逃しなく。
農舞台に到着してからの所要時間は1時間半程度です。
写真撮り忘れて紹介できてない作品もありますが、農舞台周辺はかなり作品があるので1時間半ではぜんぜん足りません。
本当はここでランチも取りたかったので、たっぷり時間をかけて回るのが良いと思います。
十日町エリア
昼飯を食いそびれたのでコンビニで軽く腹ごしらえをして、再び十日町エリアに入り、まずは<うぶすなの家>に向かいます。
うぶすなの家に向かう途中の「下条 神明水辺公園」にある作品を1つだけ鑑賞。
<T112 バタプライパビリオン>ドミニク・ペロー
写真だと分かりにくいですが、反射素材の屋根が付いた東屋。
神明水辺公園には他にも作品があるのですが、雨が降ってきたのでスルーして先に進みます。
うぶすなの家
公園から15分くらい車で到着。
築100年を迎える茅葺き屋根の古民家を陶芸家たちが囲炉裏・かまど・風呂・洗面所をしつらえてやきもの美術館として再生しました。
レストランにもなっていて、地元の食材を使った料理が食べられます。
<T122 かまど>鈴木五郎
<T121 風呂>澤清嗣
<T123 表面波/囲炉裏>中村卓夫
<T124 洗面台>吉川水城
さまざまな場所に陶芸作品が組み込まれています。
2階に上がると神秘的な白い紙の作品が展示されています。
<T399 うぶすなの白>布施知子
うぶすなの家に宿る精霊のようなものに対する尊敬を白い紙を折ることで表しているようです。
10分程度滞在し、近くにある作品に徒歩で移動。
<T134 胞衣ーみしゃぐち>古郡弘
うぶすなの家から緩い坂道を登ること10分くらい。
畑に囲まれた場所から掘り出された遺跡のような作品。
土の中で何かに護られたような神聖な空間です。
うぶすなの家の駐車場に戻り、次の作品に向かいます。
車で15分程度移動し、下条駅の前にあるこちらの作品を鑑賞。
<T253 下条茅葺の塔>みかんぐみ+神奈川大学曽我部研究室
高さ11メートルの茅葺の塔。
中にも入れます。
中には地元住民が持ち寄った民具が収められています。
滞在時間は5分程度。
次は5分ちょっと移動して十日町市利雪親雪総合センターに。
<T431 意識と自然の探索>井橋亜璃紗
十日町の自然をテーマに写真を集め、テキスタイルプリントにして、かつての温泉で休憩室や宴会場として使用されていたであろう大広間の空間を彩っています。
ここも1作品のみなので滞在時間は5分程度。
車で10分程度移動して、旧上新田公民館にある作品へ。
2階建てになっていて、まずは2階の作品から鑑賞。
<T428 農具の時間>河口龍夫
黄色一色で塗られた空間に地域の農夫たちがかつて使用し、納屋に眠っていた農具に種子を植えつけ、農夫の作業姿をトレースして吊るされています。
この吊るされた農具には触れることができます。
人が従っていた農具に、逆に人が従うというコンセプトが込められているそうです。
続いて1階の作品を鑑賞。
<T201・200 妻有田中文男文庫/天の光、地の光ーⅡ>カン・アイラン
1階には大工棟梁で木造建築を行った田中文男の蔵書を所蔵し、そこに7色に光る本のインスタレーションを制作。
滞在時間は10分程度。
次に向かったのは車で15分程度移動したところにある七和防災センター。
<T423 スノータワー>深澤孝史
雪かきに欠かせないスノーダンプを使って制作したスノータワー。
新座で開発された十日町になくてはならない除雪具「クマ式」のスノーダンプを使って建てられています。
滞在時間は3分程度。
30分くらい車で移動して市ノ沢集落の空き家となった古民家に作られたインスタレーション作品を鑑賞。
<T424 ゆく水の家>椛田ちひろ
空き家に残された建具を使って、古い流れと新しい流れが同居してきた市ノ沢集落の歴史を表現しています。
また、会場近くにある古い神社の参道階段前の大木には、集落の人々が来場者をもてなす思いを込めて銀の着物が着せられています。
滞在時間は5分くらい。この時点で16時45分。あと1作品見れるかどうか。
ここから車で20分くらい移動した場所にある作品の場所に移動。
ちょっと17時過ぎてしまい、スタッフの方は帰り支度をしていたのですが、快く鑑賞させていただけました。
<T214 もうひとつの特異点>アントニー・ゴームリー
部屋の至る所からコードが張り巡らされています。
ゴームリーといえば、自身の身体を型取りして作った彫刻作品で知られていますが、この作品も中央部分をよく見ると作家自身の身体のシルエットが浮かび上がります。
これも個人的にはとても好きな作品。見れて良かった。
滞在時間は10分程度。
時間気にせず見れる屋外作品をちょっとだけ見ようと思い、越後湯沢駅に戻る途中にある作品に寄っていきます。
もうひとつの特異点から30分くらいの場所にある鍬柄沢大沢山トンネル前にある作品。
<T076 モミガラパーク>日本工業大学/小川次郎研究室+黒田潤三
<T154 マッドメン>小川次郎/日本工業大学小川研究室
サッと鑑賞してから30分くらいかけて越後湯沢駅に戻ります。
越後湯沢駅で夕食。そして帰宅
レンタカーを返却し、18:30くらいに越後湯沢駅に着きます。
まともにランチを取っていなかったので越後湯沢駅内の<CoCoLo湯沢>のがんぎどおりにあるお店で夕食を取りました。
結局新潟っぽいご飯を全然食べれていなかったので、<越後国魚沼ごはん 天地豊作>で、新潟たれかつ丼を。
写真撮り忘れましたが、カツも米も美味しかったです。
あとは新幹線の時間まで越後湯沢駅でお土産をみたりして過ごし、新幹線の中では爆睡して帰ってきました。
かなりタイトな旅程だったので疲れましたが、見たい作品は結構見れたと思います。
次は8月中にまだこの時期に公開されていなかった作品を1泊2日で見てまわりたいと思います。
8月編はこちらから
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