東京都現代美術館で「岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ」展が開催中。
国内初の大規模個展となる本展は、1955年生まれの造形作家・岡﨑乾二郎が2021年の大病以降に迎えた制作の「転回」と、それ以前の代表作を一挙に展観する貴重な機会です。
本記事では東京都現代美術館で「岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ」展について、アクセスやチケットなどの概要から所要時間や混雑状況、販売されているグッズ、そして個人的な感想をまとめております。
岡﨑乾二郎とは

岡﨑乾二郎は1955年10月24日、東京都に生まれた造形作家・美術批評家です。
多摩美術大学彫刻科を中退後、1982年のパリ・ビエンナーレ招聘以降、絵画・彫刻・建築・ランドスケープデザインから舞台美術やロボット作品まで、多岐にわたる表現領域で活動を展開してきました。
教育者としても活躍し、東京大学大学院および武蔵野美術大学の客員教授を務め、四谷アート・ステュディウムを創設してアート教育に寄与。
2002年にはヴェネツィア・ビエンナーレ第8回建築展で日本館ディレクターを務め、2007年には現代舞踊家トリシャ・ブラウンとのコラボレーションを実現するなど国際的なプロジェクトにも率先して関わってきました。
近年は2021年の脳梗塞を機に制作の〈転回〉を迎え、新たな表現局面を切り拓いています。
受賞歴としては、2018年の文部科学大臣賞(芸術選奨評論等部門)をはじめ、多数の国内外の賞を獲得しています。
展覧会の概要

会期 | 2025年4月29日(火・祝)~7月21日(月・祝) |
開館時間 | 10:00~18:00 ※入場は閉館30分前まで |
休館日 | 毎週月曜 ※5月5日・7月21日は開館 |
観覧料 | 一般:2,000円 大学生・専門学校生・65歳以上:1,400円 中高生:800円 小学生以下:無料 |
会場 | 東京都現代美術館 企画展示室(1F/3F) |
住所 | 〒135-0022 東京都江東区三好4丁目1−1 東京メトロ半蔵門線「清澄白河駅」B2出口より徒歩9分 |
「転回」とは?──変化の核心を読み解く

2021年秋に脳梗塞で倒れた岡﨑は、リハビリを経て右半身に残る麻痺と向き合いながら制作を継続し、この出来事を機に思考や身体認識が大きく揺さぶられた局面を「転回」と呼んでいます。
この「転回」を境に、従来の即興性を装いつつ計算されたアクリル画には、画面の厚塗り化や英文長文キャプションの増加といった新たな仕掛けが加わり、身体と時間のズレを作品自体に可視化するようになりました。
展覧会タイトル「而今而後(ジコンジゴ)」は『論語』の一節から取られ、「これから先、ずっと先も」を意味し、自身の造形活動が未来へ続く覚悟を示しています。
展覧会の内容

本展は1階と3階の二層構成で、1階に1980年代~2020年までの代表作を、3階に「転回」以降の新作約100点を中心に展示しています。
初期の「ひらがな」造形

あかさかみつけシリーズなど、地名を冠したタイトルとポリエチレン小構造体が響き合うカラフルな空間が1階で迎えます。




〈転回〉前の大作

1989年のベルギー出品作《Blue Slope》《Yellow Slope》は、断片化と大型化を通じて認識の枠組みを問い直す立体作品です。

長文キャプション付きアクリル画

1992年以降の絵画には、詩のような長文キャプションが配置され、鑑賞者の視線を誘導しながら色彩と構造の相互作用を際立たせています。


後半にはタイルの作品や、よせ裂れといったプリント生地のパッチワーク手法を用いた作品。



彫刻作品に、ポンチ絵、手がけてきた絵本。




参加したさまざまなプロジェクトなどを紹介しています。






ロボット作品

1階の最後のスペースと中2階の展示スペースには2015年発表の自動描画ロボット『T.T.T.Bot』では、体験者の操作を通して画家の動きを体感する仕組みが取り入れられ、生成AI時代を先取りする実験的装置になっています。

また、脳梗塞に見舞われ6ヶ月間の入院中の記録も展示されています。


病後の新境地──〈転回〉が開いた立体表現

3階の展示スペースには、絵画の厚塗り表現に加え、彫刻作品も数多く並びます。


中でも注目は、巨大な彫刻作品群。


とてもダイナミックな造形と再生の痕跡ともいえるテクスチャーが新たな深みを添えています。


所要時間や混雑状況
私は展覧会開催初日の10時に行きました。
その日は年パスの発売日の影響もあり、窓口はかなり並んでいましたが、展覧会場前には並びはなく、会場内もそこまで混雑していませんでした。

会場内は禁止マークのついた作品以外は写真撮影が可能となっています。
動画撮影やフラッシュを使った撮影、三脚や自撮り棒などの利用は禁止となっています。
作品鑑賞の所要時間ですが、約1時間半でじっくりと全作品を味わうことができました 。
作品数が多いので早い人でも1時間くらい、ゆっくり見たいという人は2時間以上かかると思います。
ミュージアムショップではオリジナルグッズも

ミュージアムショップ「NADiff contemporary」では、本展公式図録『岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ』をはじめ、MOTオリジナルのロゴTシャツやトートバッグ、ポストカード、ステッカーなど多彩なグッズが手に入ります。

また、ミュージアムショップ奥のスペースでも小展示を行っています。

猫をモチーフにした作品が展示されていました。

ぜひ合わせてご鑑賞ください。
展覧会の感想
「転回」という劇的な転換点を経て生まれた新作と、40年を超えるキャリアの代表作が同時に示す造形の連続性と変貌──本展は、岡﨑乾二郎の探究の軌跡を俯瞰しつつ未来への問いかけを感じさせる内容でした。
ということで、「岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ」展の超個人的なオススメ度は…。
★★★☆☆
あくまで私個人の感想ですが、参考にしていただければ幸いです。
これからも少しずつアートやファッション関係の記事を書いています。
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