国立新美術館で「テート美術館展 光ーターナー、印象派から現代へ」が開催中です。
英国・テート美術館のコレクションから「光」をテーマにした作品120点を展示。
本展は中国、韓国、オーストラリアー、ニュージーランドで話題となってきた世界巡回展。ウィリアム・ブレイクやターナー、コンスタブルから、モネなどの印象派、そしてジェームズ・タレル、オラファー・エリアソン、草間彌生ら現代アーティストまで、18世紀末から現代までの光を巡る表現や、技法の移り変わりを明かにしていきます。
個人的に一番の注目は光を用いた大型インスタレーションが見れるという点。ジェームズ・タレル、オラファー・エリアソン、ブルース・ナウマンといった東京ではなかなかお目にかかれないアーティストの大型インスタレーションが鑑賞できるということで、開催直後にすぐ行ってきました。
また、日本限定での出品となるマーク・ロスコやゲルハルト・リヒターの作品や、人物画のイメージが強いジュリアン・オピーの風景画が見れたり、現代アート好きの方にはとても楽しめる展覧会だと思います。
本記事は「テート美術館展 光ーターナー、印象派から現代へ」のチケットなどの概要、所要時間の目安、混雑状況、そしてグッズに私の個人的な感想をまとめたものになります。
開催してまだ間もないですが、SNSなどでもかなり話題の展覧会。気になっている方の参考になれば幸いです。
展覧会の概要
- 会期:2023年7月12日(水)〜10月2日(月)
- 休館日:毎週火曜日
- 開館時間:10:00〜18:00 ※毎週金、土は20:00まで、入場は閉館時間の30分前まで
- 会場:国立新美術館(企画展示室2E)
- 住所:〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
国立新美術館の会期が終わると、大阪へと巡回します。東京でしか見れないと思っている関西方面の方も、大阪中之島美術館で10月末から楽しめる予定です。
チケットについて
チケットの価格は以下になります。
一般 | 2200円 |
大学生 | 1400円 |
高校生 | 1000円 |
中学生以下 | 無料 |
本展は事前予約(日時指定)不要です。当日券は美術館の外にあるチケット売り場となるため、混雑時は暑い中並んで購入しなければなければなりません。
そこで事前にオンラインでチケットを購入しておくことをおすすめします。
オンラインでの購入は国立新美術館公式オンラインチケット、TBSチケット、チケットぴあで購入できますが、発券不要で手数料がかからず、お手持ちのスマートフォンからQRコードを提示するだけで入場できる公式オンラインチケットサイトでの購入がおすすめです。
板垣李光人(りひと)さんがナビゲーターを務める音声ガイド
本展には俳優の板垣李光人さんがナビゲーターを務める有料音声ガイドも用意されています。
さらに解説ナレーターに声優の羽田野渉さん、番外編として主催する TBS、テレビ東京から人気の田村真子アナウンサー、田中瞳アナウンサーがコラボレーションしたトークも楽しめます。
音声ガイドは機器ごとレンタル式で650円。会場の入り口で申し込めます。
収録コンテンツ数は22個。収録時間は約35分です。
私は音声ガイドをレンタルしましたが、借りなくてもよかったなと思っています。
なぜなら、展示室や作品ごとに結構な頻度で解説がついていて、文字が小さくて読めないという方のためにも、ご自身のスマートフォンで会場にあるQRコードを読めば、同じ内容がスマートフォンでも読めるようになっています。
もちろん、同じ音声ガイドとは内容が異なる部分もあるので、情報を網羅したいという方は借りた方がいいですが、概要がわかれば良いという方は会場に書かれている解説だけでも十分に楽しめると思います。
混雑状況や所要時間、写真撮影について
私は展覧会開催直後の土曜日の10時に行きました。事前にオンラインでチケットは購入済みです。
会場に着いたのは開場15分前くらい。すでに50人くらいは並んでおり、10時には200人以上は並んでいたと思います。
10時になったら、すんなり会場に入れましたが流石に会場内は混雑していました。しかし、大型の作品が多いからか進みはスムーズです。
写真撮影は一部作品を除いて可能です。思った以上に撮影可能な作品が多いですが、混んでいるので他の人が入らないように撮影するのはなかなか難しいです。
また、動画撮影は禁止なので気をつけましょう。
全部の作品を見て、最後のグッズショップに辿り着くまでの所要時間は1時間弱でした。大型の作品が多かったり、映像作品がほとんどないからか、思ったより短時間でびっくりしました。
公開時間が決まっている作品
インスタレーション2作品、リリアン・レイン<液体の反射>、オラファー・エリアソン<黄色vs紫>は公開時間が決まっています。
<液体の反射>は展覧会中盤、<黄色vs紫>は後半に展示されていますが、どちらも絶対に見た方がいいです。
公開と非公開が大体1時間おきなので、入場した時間によって先に見るか後に見るか調整するのをおすすめします。
会場の様子
会場はRoom1〜7といった7つの展示室で構成されています。「光」をテーマに約200年の美術史を、名画・名作を通じて時系列に鑑賞できるようになっています。
ここから実際に会場の展示順に作品を紹介していきますので、ネタバレしたくない人はすっ飛ばしていただければと思います。
Room1
最初の展示室は宗教的な主題を光と闇によって表現した18世紀末のイギリスの画家たちの紹介から始まります。
イギリスで「光の画家」と呼ばれた「ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー」もここでは4作品を紹介。
後半にはジョゼフ・ライト・オブ・ダービー。
ジョン・マーティンの作品が紹介されています。
この展示室には撮影不可ですが、アニッシュ・カプーアの光と闇のコントラストが重要な彫刻作品<イシーの光>も置かれています。
Room2
続いての展示室ではターナーと共にイギリスの風景がに革新をもたらしたと言われる「ジョン・コンスタブル」の紹介から始まります。
この<ハリッジ灯台>は白い絵の具を散らし、水面のきらめきを表現しています。
その後は木の霊が放つ力強い声に着想を得た「ジョン・エヴァレット・ミレイ」
キリスト降誕を恐れたヘロデ王が無垢なる幼児たちを殺したことを知ったマリア、ヨセフ、幼子イエスがベツレヘムからエジプトへ逃げる場面を描いた「ウィリアム・ホルマン・ハント」
絵画のみでなくデザイン分野でも活躍した「エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ」など、19世紀のイギリス社会の劇的な変化に反発したラファエル前派兄弟団の作家の作品を紹介。
さらには、光の効果とその感情に訴える本質を絵画で表現した画家の1人「ジョン・ブレット」
光そのものを絵の主題としたフランスの印象派「クロード・モネ」
「カミーユ・ピサロ」
「アルフレッド・シスレー」
そして、その影響を受けた北米の画家「フィリップ・ウィルソン・スティーア」
「アルマン・ギヨマン」は自然の中で光の効果を捉え、表現しようとしました。
Room2にも現代アート作品が中央に展示されています。
鏡で構成された立方体のこの作品は草間彌生の<去っていく冬>。
穴が空いており、覗くと内部で鏡が光を反射する様子を見ることができます。
Room3
Room3では室内におけるささやかな光の表現に着目。
日常生活を詳細に記録し、落ち着きのある肖像画と精神性漂う室内画で知られる「ヴィルヘルム・ハマスホイ」と「ウィリアム・ローゼンスタイン」を紹介しています。
Room4
Room4は撮影禁止エリアです。ここには公開時間が決まった「リリアン・レイン」のインスタレーション作品<液体の反射>もあります。
撮影禁止のエリアでは主に「ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー」が遠近法(透視図法)の講義で使用した図や、「モホイ=ナジ・ラースロー」の映像作品(約5分)、「ヨーゼフ・アルバース」が色の光学的・心理的効果を研究した「正方形讃歌」シリーズの作品などが展示されています。
Room5
大きな展示空間のRoom5に出ると、天井から無数の紙が吊るされた「ペー・ホワイト」のインスタレーション作品<ぶら下がったかけら>が現れます。
現実世界の表象から解放され、音楽のように鑑賞者の感覚に訴える芸術を追求した「ワシリー・カンディンスキー」
知覚の本質を追求するために幾何学的な形体と色彩を用いた「ブリジット・ライリー」
これは宇宙の踊り手として描かれてきたヒンドゥー教のシヴァ神をイメージしているようです。
さらに先に進むと、宇宙とのつながりを感じさせるイメージを作り上げるために特定の事物を描くことをやめたという「マーク・ロスコ」の3作品を見ることができます。(撮影不可)
ぼんやりと浮かび、振動するような長方形を配置した作品で、個人的にはとても好きな作家です。DIC川村記念美術館のロスコルームにまた行きたくなりました。
昨年の個展がまだ記憶に新しい「ゲルハルト・リヒター」の大きな抽象絵画もここで見ることができます。
カンヴァス全体に絵の具を塗り、削り、引っかいて新しいイメージを作り上げる<アブストラクト・ペインティング>シリーズのかなり大きな作品が展示されています。
また、最奥部にはスティーヴン・ウィラッツのインスタレーションが展示されています。
Room6
Room6はインスタレーション作品が中心となります。
撮影不可ですが「ブルース・ナウマン」の板と板で細い通路を作り、上から蛍光灯で光を当てるインスタレーション作品や「ジェームズ・タレル」の<レイマー、ブルー>なども見ることができます。
特にタレルの光を用いたインスタレーションは金沢や新潟、直島などに行かないと見れません。そして、私が現代アートを好きになるきっかけを与えてくれたのもタレルの作品です。まだ見たことがない人には是非見てもらいたいです。
他には「ピーター・セッジリー」の色付きの照明が絵画面と反応する作品<カラーサイクルⅢ>
次々と色が変わり、作品が動いているかのような錯覚を受けます。
抽象的な人物画で知られる「ジュリアン・オピー」の風景画もあります。
コンピューターを用いて描写し、実際に存在する風景を単純化しています。
なんかやたら映り込みが激しいのが残念。
蛍光に光る箱が高く積み上げられているこちらの作品は「デイヴィッド・バチェラー」の作品。横に置かれているのも同作家の作品です。
隣には作家のインタビュー映像<スタジオ訪問>(4分23秒)が流されています。
Room6で忘れていけないのは公開時間が決まっている「オラファー・エリアソン」のインスタレーション<黄色vs紫>。
狭い展示空間が公開時間直後はとても混雑していたので、少しずらした方が良さそうです。
Room7
最後の空間には作品が3つ。
蛍光灯を建築空間に配置する作品で知られる「ダン・フレイヴィン」の<ウラジミール・タトリンのための『モニュメント』>。※撮影禁止
「リズ・ローズ」音とモノクロの映像を使ったインスタレーション作品<光の音楽>(25分)。
そして最後を締めくくるのは巨大なミラーボールのような作品「オラファー・エリアソン」の<星くずの素粒子>。
シンプルな作品ですが、光と影が空間を照らしてとても見入ってしまいます。
テート美術館展特設のグッズショップ
展示室を抜けると、特設のグッズショップがあります。
図録やポストカード、ポスター、Tシャツやトートバッグなどの定番グッズはもちろん、面白い限定品も多数並んでいます。
インパクト抜群のポーチ
シャワーサンダル
カラーサイクルの形をしたトート
あとはテート美術館のあるイギリス繋がりのものが多数置かれていました。
どんなラインナップがあるのかは公式サイトでもざっくり確認できるようになっていますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
ちなみに展覧会図録は楽天ブックスで購入可能となっています。
楽天ブックス「テート美術館展 光」展覧会図録 はこちらから期間限定で「WEDGWOOD(ウェッジウッド)カフェ」がオープン
国立新美術館2階にあるミュージアムカフェ「サロン・ド・テ・ロンド」がテート美術館展開催中は期間限定で英国王室御用達の食器ブランド「WEDGWOOD(ウェッジウッド)」とスペシャルコラボレーションしたカフェに変身しています。
各種ケーキセット、マカロンセット、パウンドケーキセット、各種サンドイッチセットが楽しめます。しかも人気のウェッジウッドの食器を使用し、アートの余韻とともに、素敵なティータイムが過ごせます。
すんなり入れたら私もカフェを満喫しようと思っていましたが、展覧会を見終えて11時過ぎにカフェに行ったら、すでに満席で長蛇の列だったので諦めて帰りました。
並ばずにカフェを利用したいという方はオープンすぐを狙った方が良いかもしれませんね。
展覧会の感想
テート美術館のコレクションから「光」をテーマに集めた作品が約120点を展示。
18世紀後半から現在まで、光の表現を軸に200年の美術史を振り返れます。
時系列に紹介していますが、合間に現代アートの作品が入っていたり、大型のインスタレーションが後半畳み掛けるように展示されていて、現代アート好きの方にも楽しめる内容だと思います。
特にジェームズ・タレルの<レイマー、ブルー>やリリアン・レインの<液体の反射>、オラファー・エリアソンの<星くずの素粒子>はぜひ見ておきたい作品。
充実した内容ですが1時間前後で見れるボリューム感もちょうど良かったと思います。
ということで、「テート美術館展 光ーターナー、印象派から現代へ」の超個人的なオススメ度は…。
★★★★☆
あくまで私個人の感想ですが、参考にしていただければ幸いです。
これからも少しずつアートやファッション関係の記事を書いています。
Instagramで記事の告知を行なっていますので、よかったらフォローお願いします。
コメント