六本木の森美術館で「Chim↑Pom(チンポム)展:ハッピースプリング」が開催中。
最もラディカルなアーティスト・コレクティブとも称されるChim↑Pom初の本格的回顧展となっています。
改めてChim↑Pomはどのようなアーティスト集団なのかを知る良い機会だと思い、早速行ってきました。
展示作品数は多く、展示方法も斬新で興味深いものばかり。3時間近くも会場で過ごすくらい個人的には大満足の展覧会でした。
本記事は「Chim↑Pom(チンポム)展:ハッピースプリング」に実際行ってみて、どのような展示内容だったのか、混雑状況や所要時間、グッズに全体的な感想をまとめたものになります。
展覧会は2022年5月29日(日)までなので、これから行こうか気になっている方の参考になればうれしいです。
※本記事の内容は2022年2月下旬時点のものとなります。
Chim↑Pomについて
Chim↑Pomは2005年に東京で結成されたアーティスト・コレクティブです。
メンバーは、卯城竜太さん、林靖高さん、エリイさん、岡田将孝さん、稲岡求さん、水野俊紀さんの6名です。
世界各地の展覧会に参加するだけでなく、自らもさまざまなプロジェクトを企画し、注目を集めてきました。
2015年、アーティストランスペース「Garter」を東京、高円寺にオープン。2016年には歌舞伎町商店街振興組合ビルにて個展「また明日も観てくれるかな?」を開催。
また、東京電力福島第一原子力発電所事故による帰還困難区域内で、封鎖が解除されるまで観に行くことができない国際展「Don’t Follow the Wind」(2015年3月11日~)の発案と立ち上げを行い、作家としても参加するなど、多彩なプロジェクトで知られ、注目を集めています。
今回の展覧会は、Chim↑Pomのこれまでの活動を総覧するものとなっており、ユーモア溢れる小作品、参加型・体験型作品など代表作を網羅的に紹介しています。
過去にChim↑Pomはその体当たりな方法が時に物議を醸してきました。特に広島と東日本大震災を主題とする作品は論争に発展しました。
それらの作品について、作品そのものだけでなく、年表や関連資料などの展示や作品にまつわる賛否両論も紹介するなど、複数の視点で論争を再検証しています。
開催概要
会期 | 2022年2月18日(金)~ 5月29日(日) ※会期中無休 |
開館時間 | 10:00~22:00(最終入館 21:30) ※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30) ※ただし5月3日(火・祝)は22:00まで(最終入館 21:30) |
会場 | 森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)ほか |
住所 | 〒106-6150 東京都港区六本木6丁目10-1 六本木ヒルズ森タワー 53階 |
チケットについて
森美術館では事前予約制(日時指定券)を導入しており、専用オンラインサイトから日時指定券の購入や予約が可能です。
当日、日時指定枠に空きがある場合は、事前予約なしでも入れるようですが、オンラインで購入したほうが料金もお得ですので、事前にオンラインで予約することをおすすめします。
チケット料金は以下になります。
平日 当日窓口 | 平日 オンライン | 土・日・祝日 当日窓口 | 土・日・祝日 オンライン | |
一般 | 1800円 | 1600円 | 2000円 | 1800円 |
学生 (高校・大学生) | 1200円 | 1100円 | 1300円 | 1200円 |
子供 (4歳〜中学生) | 600円 | 500円 | 700円 | 600円 |
シニア (65歳以上) | 1500円 | 1300円 | 1700円 | 1500円 |
音声ガイドについて
また、上記チケット料金+500円の音声ガイド付のチケット販売されております。
ただ、音声ガイドは事前に音声ガイド付きのチケットを購入していなくても現地で購入も可能のようでした。
音声ガイドは自分のスマートフォンを使用して聴くタイプのものです。
Chim↑Pomのメンバー6人による作品解説付きで、ナビゲーターは自らChim↑Pomのファンを公言する和田彩花さんが務めています。(全12件、約30分)
展覧会の内容について
長いエレベーターを昇るとポップなデザインの受付が見えてきます。
ここで音声ガイドを購入した方、する方はQRコードを読み取っておきます。
この展覧会は年代順に作品を展示する一般的な回顧展とは異なり、「都市と公共性」「道」「Don’t Follow the Wind」といった10のセクションに分かれて展示されています。
また、作品鑑賞のための動線を複数設けることで展覧会の多様な読み解きを可能にしています。
一番驚いたのは展示室を二層構造にし、上層部にアスファルトで舗装した“大きな道”が出現させていた点です。
そのほかにも展示室丸ごと一室使って、多数の作品を1つの巨大インスタレーションのように構成したりするなど、ダイナミックな展示空間を体感できます。
展覧会場は一部作品を除いて写真撮影が可能です。動画は1分以内まで。三脚や自撮り棒の使用、フラッシュ撮影は禁止です。
私は音声ガイドを購入しましたが、解説の付いている作品も多く、展覧会サイトの作品解説も充実しています。
ここから下は展覧会の内容をセクションごとに分けて簡単にご紹介します。
自分の備忘録用でもあり、面白い作品が多かったのでかなりボリューミーになってしまっていますが、ご興味ありましたらお付き合いいただければと思います。
ネタバレしたくない人はすっ飛ばしてください。
くらいんぐみゅーじあむ
入口付近には託児所として利用できる作品<くらいんぐみゅーじあむ>があります。
Chim↑Pomメンバーや彼らと同世代の親の子育て事情、子連れで外出する際に経験するさまざまなバリアから着想を得た新たなアート・プロジェクトとして、会場内に託児所を開設しています。
こちらの利用には事前予約が必要です。子育て中の方はぜひ利用してみてください。
都市と公共性
Chim↑Pomは結成初期から都市を舞台にプロジェクトを多数行っています。
作品は主に建設現場のような二層構造の下層部分に展示されており、そのいつもの森美術館と違った雰囲気だけでもワクワクしてきます。
<スーパーラット>
駆除薬剤に対して抵抗力を増し、巧妙化・強靭化するネズミ、「スーパーラット」。
東京の渋谷や新宿といった繁華街で、メンバーがスーパーラットを網で捕獲。展示は、剥製と、捕獲の様子を記録した映像とで構成されています。
オリジナル作品は黄色く彩色し、頬に赤い丸、背中に黒い縞を施し、尻尾はジグザクにした「ピカチュウ」に模したものなのですが、ここでは最新版である<スーパーラット ハッピースプリング>が展示されています。
小さな模型の中にもよく見るとスーパーラットがいました。
<ブラック・オブ・デス>
渋谷の繁華街や国会議事堂前などでカラスの剥製を手に、カラスが実際に仲間を呼ぶ際の鳴き声を拡声器で流し、大勢のカラスを呼び集めた様子を映像と写真で記録した作品。
ビックリするくらいにカラスが集まっきて、人間に捕らえられた仲間を救い出そうと追いかける姿に、カラスはこんなにも仲間意識の強い鳥なんだと感心しました。
<ビルバーガー>
取り壊しが決まっていたビルの床部分を四角く切り抜き、そのまま真下の1階に積み重ねたのが本作。
家具や備品や貼り紙など各階に残されていたものを床と床の間に挟み込みながら、重力により落下して出来たハンバーガーのようにも見えます。
<性欲電気変換装置エロキテル6号機>
これは性欲を電気に変換することで安定したエネルギーを供給するために発明された発電機という設定の作品です。
作品のキャプションに書かれている「チ○ポム♡エロキテル」のステッカーに書かれている電話番号が書かれていますので、その電話番号にかけると、その着信がライトを光らせる仕組みになっています。上層にもライトがあり、そちらも点灯します。
電話番号はなかなか気づかないので見逃さないように。
<ERIGERO(エリゲロ)>
一気飲みコールで煽り煽られながら、Chim↑Pomのエリイさんがピンクの液体を飲んでは吐くという行為を繰り返す初期のパフォーマンス作品です。
<酔いどれパンデミック>
イギリス・マンチェスターで19世紀のコレラ流行時に感染・罹患して亡くなった人々が埋葬されたという歴史を持つ地下の廃墟でオリジナルのビール「A Drop of Pandemic(パンデミックの一滴)」を醸造し、移動型公衆トイレを改装したパブで一般の人々に販売・提供しました。
これは、コレラ禍の当時、煮沸して生産されるビールは生水よりも安全だとみなされたことに着想したものです。
パブのトイレで集めた来場者の尿混じりの汚水を消毒し、セメントを混ぜてブロック状の建材に成形し、マンチェスターの街路や家屋の修復材として提供したそうです。
<ゴールド・エクスペリエンス>
黒いビニールのゴミ袋を模した作品。この作品は実際に中に入ることができます。
体験時間は1組1分間。作品付近の係の方に体験希望を伝えて体験時間を予約することができます。
ゴミ袋の中はトランポリンのようになっていますが、飛んだり跳ねたりはしないでくださいとのことでした。ヒールなどの靴の人は脱いで入る必要がありそうです。
私が行った土曜のお昼前では予約時間は30分後。先に進んで全て見終えてから戻ってくるくらいかなと思っていましたが、展示ボリュームがたっぷりなので同じエリアを回っているだけでもあっという間に予約時間になりました。
ゴミ袋の中はこんな感じです。
ふわふわして心地よいです。
実際のゴミ袋はギュウギュウで臭いもあったりと心地よくないんだろうなとちょっと想像を巡らします。1分間だけですが貴重な体験でした。
道
二層構造にした展示室の上層部にアスファルトで舗装した大きな道が現れています。
この「道」は、この展覧会のために建築家の周防貴之さんとの協働で構想・制作された大規模なインスタレーションです。
ここは会期中に行われるイベントやハプニングのプロジェクトスペースとして機能し、鑑賞者と一緒により自由で開かれたものに育てていくことが期待されているそうです。
私が行ったのは開催直後だったので、特に何もなかったのですが、また時間が経てば色々と変化してるのかもしれません。
<プッシー・オブ・トーキョー>
上層の「道」と、その下層空間に通じる穴を塞ぐマンホール蓋です。
なかなかマンホールの中からひょっこり顔を出すこともないので、ひょっこりさせていただきました。
近くにアルコールスプレーがあるので、手指の消毒をしてから利用します。
スカートの人は注意が必要かもしれません。
ちなみに上層と下層の行き来は階段やスロープなどの別の場所からもできます。
西尾康之<稲岡展示居士>
上層にはもう一つマンホールの蓋があり、そこを覗くと見ることができる作品です。
メンバーの稲岡さんが断食を行い「即身仏」になろうとするプロジェクトが行われ、鑑賞者に見守られながら18キロも減量。その姿をアーティストの西尾康之さんが彫刻化したものがこちらの作品となっています。
Don’t Follow the Wind
福島県の帰還困難区域で現在も開催されている国際展「Don’t Follow the Wind」。
Chim↑Pomが発案し、12組の作家が参加しています。
当然ながら、避難指示が解除されるまで一般の人々は見に行くことができない展覧会です。
本展では外の景色が見える展示室で本プロジェクトを紹介し、来場者に東京の風景を眺めながら福島の今を想像してもらうことを促しています。
<サイレント・ベルズ>
<Don’t Follow the Wind>の前にあるドアとドアベル。
こちらは10分に1度、福島県の帰還困難区域内にある民家のドアベルが鳴り続けるインスタレーション作品です。
ドアベルを押していいのか悩んでしまいますが、押して大丈夫な作品のようでした。
ドアベルを押すと、その民家で録音された最新のドアベルの音が聞こえてきます。
ヒロシマ
「ヒロシマ」はChim↑Pomが継続的に取り組んでいるテーマです。
広島の原爆ドーム上空に飛行機雲で「ピカッ」という文字を描いた作品<ヒロシマの空をピカッとさせる>は、現代の日本社会における「平和」への無関心を戯画的に表現したものを意図していましたが、誤解を生み、憶測も入り混じって大きな議論を呼びました。
Chim↑Pomは被爆者とその関係者に対して事前告知の不徹底を謝罪し、その後はさらなる対話を重ね、市民たちと協働してきました。
「ヒロシマ」と次の「東日本大震災」のセクションではChim↑Pomに関連する報道資料なども閲覧できるスペースが設けられています。
<パビリオン>
現在でも広島市には平和を祈願した無数の折り鶴が世界中から送られてくるそうです。
人々の念が込められたものだからこそ、市は増え続ける折り鶴の保管に苦慮していたそうですが、それを知ったChim↑Pomは広島市から大量の折り鶴を借用し、2013年の旧日本銀行広島支店での個展「広島!!!!!」の際に、膨大な量の折り鶴を高さ7メートルの山状に積み上げて制作されたのがこの作品です。
この巨大な山の内部に入って、無数の折り鶴に囲まれるという特異な体験をすることができます。
<ノン・バーナブル>
こちらも広島市から大量の折り鶴を借用して制作する、鑑賞者参加型の作品です。
世界各地から届いた折り鶴に書かれたメッセージをエリイさんが読み上げつつ、それらを淡々と四角い折り紙へと折り戻す作業をしている映像が流れています。
展示室には折り鶴を四角い折り紙に戻したものが置いてあり、それを再度折り鶴にして広島に戻すことで、保管場所が必要となる折り鶴の数は増やさずに、人々の平和を祈る気持ちだけが蓄積されるという気持ちのリサイクルプロジェクトです。
この近くの壁には広島に落とされた原爆の残り火である「平和の火」を用いて制作された絵画シリーズ<平和の日>も展示されています。
<ウィー・ドント・ノウ・ゴッド>
「平和の火」とも呼ばれる広島に投下された原爆の残り火を展示室内に灯し続けるインスタレーション作品です。
Chim↑Pomは<平和の日>をはじめとして、原爆の残り火を用いてさまざまな作品を制作していますが、本作では火そのものを白い壁と組み合せて作品化しています。
<不撓不屈>
東日本大震災発生直後に、広島の被爆者団体代表である坪井直さんから送られたFAX用紙を、福島県南相馬市で廃棄されていた泥だらけの額縁に収めた作品です。
震災後にChim↑Pomが初めて作ったもので、核をめぐる2つの大惨事を結ぶ作品となっています。
東日本大震災
2011年東日本大震災発生直後、Chim↑Pomは震災と津波、原発事故に関するさまざまなプロジェクトを立て続けに行ないました。
大きく壁に描かれている作品は、渋谷駅にある岡本太郎さんの<明日の神話>にゲリラ的に原発事故を描いた絵を足した作品<LEVEL 7 feat.「明日の神話」>です。
原子炉の建屋からドクロ型の黒煙が上がる様子を壁画と同じタッチで描かれています。
個人的に一番印象に残っている作品が、このセクションにある<気合100連発>です。
撮影禁止作品のため、画像はありませんがどんな作品なのかというと、福島県相馬市で知り合った被災者の若者たちと共同で制作した映像作品です。
津波の爪痕が痛々しく残る屋外で若者たちと円陣を組み、自分たちを鼓舞しようと100の言葉を順番に叫んでいます。
お互いを励まし合うという行為を見ているだけで胸の奥から熱くなり、自分の頑張らなきゃと思いました。
<リアル・タイムス>
東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生した1ヶ月後に、発電所から700メートルほど離れた東京電力の敷地内で撮影した映像作品。
Chim↑Pomのメンバーが防護服に身を包み、日の出の名所とされていた展望台へ向かう道中と、展望台で白旗に赤のスプレーで日の丸→放射能マークへと変化させ、まるでエベレスト登頂や月面着陸の瞬間であるかのように旗を振る様子を映しています。
<ひとかけら>
東日本大震災で被災した遺族が流した涙を凍らせて、冷凍ケースに収めて展示されています。
<被曝花ハーモニー>
東京電力福島第一原子力発電所から30キロ圏内の警戒区域周辺で採取し除染した草花を、フラワーアーティストの柿崎順一さんが生け花へと構成した作品です。
植物だけでなく、津波で流された日用品や、こけしといった漂流物も重要な構成要素となっています。
<レッドカード>
2011年10月から2か月間、東京電力福島第一原子力発電所の作業員として収束作業に従事していたChim↑Pomの水野俊紀さんが、ある日の休憩時間に大爆発で損壊した3号機を目の前に「フェア・プレイ・プリーズ!」と書かれたレッドカードを掲げて、セルフタイマーで撮影したものだそうです。
ジ・アザ―・サイド(向こう側)
アメリカ-メキシコ間の国境問題をテーマとしたプロジェクトです。
タイトルは、アメリカ国境沿いに住むメキシコ側の人々がアメリカを呼ぶときの通称です。
メキシコにある国境沿いのスラム地域「リベルタ」を訪れ、同地の人々の協力を得て国境の壁のすぐ横にツリー・ハウス<USA ビジター・センター>を制作しました。
この展覧会ではツリーハウスの再現展示が行われています。
階段を登って、靴を脱いで入るビジター・センターはかなり狭いため、一組ずつの訪問に限定されています。
<ゴールド・エクスペリエンス>のように予約は不要(混んでたら予約制になるのかもしれませんが)で、私が行ったときは前に1組だけ並んでたので、すぐに入ることができました。
ツリー・ハウスの中はこんな感じ。
同エリアには、メキシコ側の国境沿いのある地点の地中深くに穴を掘り、米国に入国できないエリイさんが、米国とメキシコの境界にあたる土底に合法的に足跡を残す<ザ・グラウンズ>も展示されています。
May, 2020, Tokyo
新型コロナウイルス感染症拡大により、日本の歴史上初めての緊急事態宣言下の東京で制作された平面作品シリーズです。
青写真の感光液を塗ったキャンバスを都内各所の大型看板に設置し、キャンバス上に紙でマスキングをして感光を抑止した部分が、「TOKYO 2020」と「新しい生活様式」という白い文字のスローガンとなって浮かび上がっています。
先が読めない状況になってしまった現実をシンプルな言葉を使って表現してます。
エリイ
Chim↑Pomのメンバー「エリイ」さんに焦点を当てたセクションです。
マスメディアにも登場する一方で、文学作品を連載するなど様々な活動を行うエリイさんの多様な側面にフォーカスしています。
まずこのセクションでひときわ目に留まるのがエリイさん自らの結婚祝賀会として行われた路上パフォーマンス<ラブ・イズ・オーバー>の当時のパレードの様子を再現したインスタレーションが圧巻です。
結婚制度を社会的に検証するために、デモ申請を行い、自らの結婚パレードを路上で開催し、それを作品として残しています。
その他にも破天荒なエリイさんの言動や、既存の女性像に当てはまらないパーソナリティーを視覚化する試みを見ることができます。
オバマ元米大統領(実際は蝋人形)の股間に触れてるかのような写真はついつい笑っちゃいました。
あと、エリイさんと言えば、展覧会開幕数日前にエリイさんが放ったこのツイートがかなり印象的で、ついついポスターをガン見してしまいました。
<サンキューセレブプロジェクト アイムボカン>
海外セレブが発展途上国へのチャリティを行う様をパロディ的に扱いながら、実際に地雷爆破と寄付を行った初期のプロジェクトです。
不発弾処理を行う地元住民の協力を得て、エリイさんの私物や、エリイさんの身体を模した等身大の石膏像などを地雷とともに爆破し、それらの爆発物を作品として販売し、利益はすべてカンボジアに寄付しています。
カンボジアでのその活動を記録した映像や、爆破物などで構成され、DVDにもまとめられています。
<サン>
エリイさん著作「はい、こんにちは―Chim↑Pomエリイの生活と意見―」の一部を朗読し、死と生への深い考察へと鑑賞者を誘う展示です。
月が細胞分裂しているような映像が暗い通路に照らされています。
少し進むと靴を脱いで上がる展示室があります。ゴロっと寝転がり、リラックスした状態でエリイさんの朗読する声に耳を傾けることができます。
長時間の作品鑑賞で疲れた身体に優しすぎます。
金三昧(かねざんまい)
Chim↑Pomのショップ・プロジェクト「金三昧(かねざんまい)」が、展覧会会期中、「森美術館 ショップ53」の一角に登場。
本展オリジナルの新作グッズのほか、さまざまなアイテムが並んでいます。
まさかの軽自動車まで販売しています。
ポストカードはもちろん、Tシャツなどのアパレル、トートバッグにノート、キーホルダーなどのグッズは個人的にデザインがツボで散財しそうになるのを必死に抑えました。
気になったのはこの1千円ガチャ。試しに回してみたら…
くしゃくしゃの1千円札が出ました。
ミュージアム+アーティスト共同プロジェクト・スペース
金三昧までですでに3時間近く経過するほどの大ボリュームですが、さらに虎ノ門にも別会場も用意されています。
ただし、こちらは当日予約制。森美術館展示室出口前の受付カウンターで当日予約をする必要があります。
虎ノ門会場の開場時間は11:00~17:00までとなっています。
1時間区切りの予約制で、1時間ごとの入れ替え性となっており、受付で予約をすると、地図付きの引換券をもらうので、各自会場まで移動します。森美術館からは電車と徒歩で30分かからない程度の場所になります。
当日予約ということだったので、満席になっていないか心配でしたが、私が行ったときは全然空いており、私ともう1組しか会場にはいませんでした。気付いていない人も多いのかもしれません。とはいえ、森美術館と違い開場時間が17時までなので注意が必要です。
虎ノ門の開場は撮影禁止となります。ここではピカチュウを模したネズミの剥製<スーパーラット(千葉岡君)>と、森美術館でも流れていたスーパーラット捕獲の映像、そしてChim↑PomがコミッションしたEDI MAKIによる映像作品<ハイパーラット>の3点が展示されています。
虎ノ門会場の作品をすべて見るのに30分もかからないですが、時間があれば<ハイパーラット>だけでも見にくることを強くお勧めしたいです。
こちらの開場は本展準備期間中に作家と美術館のあいだで生じた立場や見解の相違をきっかけに、表現の自由をはじめとする社会的課題について専門家を招いて語り合うことを目的に作られたスペースということで、今後はこちらで行われた議論の様子も上の作品に追加して流すことになっているようです。
混雑状況や所要時間について
私が行ったのは開幕直後の土曜の午前中でした。
会場の人はまばらで、1つ1つの作品をゆっくり見ることができました。
森美術館の作品をすべて見終えるのに3時間、虎ノ門会場でさらに30分くらい。
虎ノ門会場への移動を含めると4時間くらいの大ボリュームの展覧会でした。
展覧会の感想
注目のアーティスト・コレクティブ「Chim↑Pom」がどういう集団なのかを知ることができる大回顧展。
展示会場自体が一つの作品のようになっており、すごい展示ボリュームですが、自由で斬新な発想の作品たちが私には刺激的であっという間に時が過ぎていました。
「Chim↑Pom」のことを知っている方も知らない方も楽しめるのではないかな?
ということで、「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」の超個人的なオススメ度は…。
★★★★☆
あくまで私個人の感想ですが、参考にしていただければ幸いです。
これからも少しずつアートやファッション関係の記事を書いています。
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